プロローグ
ありきたりですが
「もぅこの『玩具』いらないよね。」ポイッ。ガチャ。
その木で出来た『玩具』は子どもをあやすという役目を終え
今日ゴミ捨て場に捨てられた。新しい『玩具』を与えられた子どもは
もぅその『玩具』の事を忘れてしまったかの様に過ごしている事だろう。
「あーぁ。もったいないなぁ。まだ使えそうなのに。」
俺は高校に登校途中偶然その『玩具』をゴミ収集前のゴミ捨て場で見つけた。
「あら、その『玩具』欲しいの?持って行っていいわよ。」
俺がその『玩具』を拾い上げて状態を観てた時、
偶然またゴミを捨てに来た母親らしき人物に声を掛けられた。
「いいんですか?これ」
本来ゴミ捨て場に捨てられた物でも勝手に持っていくのは不味いのだが、
元持ち主の母親が良いというのだから良いのだろうが一応聞いてみる。
「いいのいいの。あの子からも捨てていいって許可貰ってるし。」
とゴミを置きながら俺に言う。
「それじゃ遠慮なく・・・。」
と俺は置かれたゴミの中を素早く見回して他に部品の様な物が落ちてないか確かめる。
どうやらこの『玩具』に必要な部品も見当たらない様なので、
ペコリと母親に軽く会釈してその『玩具』をナップサックを兼ねた学生鞄の中に仕舞い込む。
俺は思いがけない幸運を手にしたみたいなウキウキした気分で学校に向かって行った。
途中“あんな事”に巻き込まれる事になるとは知らずに・・・。
ゴミとは言え勝手に持ち帰ってはいけないんだってね