1時間
人間は自分の幸福を要求する。
至極当然のことだがそうは言っても想像とは程遠い選択を選んでしまうのが人間の弱さでもある。
つまりこれは「楽」と言う選択肢。
渡井隆という人生模様を観察するのが、
幸福を掴むことが以下に難しいのかが最も理解できる
手本となるだろう。
渡来は理想が高い。絶世の美女と枕を交わしたいし、グループの中心に常に腰を下ろしたい、会社では高い地位に就きたい、あわよくば独立を図って社長になり、上司という制約に縛られず労働に汗を流したい。
高い志は結構。だが考えている事と自分が実際できることには大きなギャップを感じるものだ。
「なんでこんなことも出来ないんだ!」
社内中に響く怒声が心に鈍い痛みを感じさせる。
彼だって好きで怒鳴り声を僕に上げているわけではないのだろう。
言われたことも遂行できない腑抜けた部下に当然の叱責を与えているだけ。
彼はなにも悪くない。
渡井は自席についてから再び自己嫌悪に落ちた。
なんて僕ははおこがましいのだろうか、と。
我を忘れて怒りに震えている上司を客観的、冷静に見て「この人は悪くはない」など善悪を説いている。
これは傲慢以外の何物でもない。自分の非を認めるにしてもこの考え方はいささか難ありなのではないか。まるで自分を神様の様に達観している素振りを、心の中で見せてしまう。
僕は、まさに、責任を自分で背負いこむ人間だろう。
かつて、




