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エルフ食神伝  作者: 秋野なのか
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序文

 世界最強の男になりたい――そう考えるのは誰しもが通る道だろう。

 俺も中学生以来その病を患っている。

 近所にあったキックボクシングジムの門をたたき、青春時代はひたすらサンドバッグを蹴っては叩く日々を送った。


 そして高校卒業のころには、プロを志した。

 近所のジムでは、敵なしの状態だったからな。

 何せ運動不足解消がメインの場所だったから、プロを目指して熱心に打ち込む俺が一番強かったのは当たり前の話だった。

 そして都内の有名なジムに移籍し、現実を知った。


 俺の体は、最強のプロを目指すにはあまりに貧弱すぎたのだった。


 体格差と言うのは無情なもので、身長こそ180を超えたが、筋肉がさほどつかなかった。

 ぎりぎり細マッチョと言えなくもないレベルにしか、俺の体は育たなかった。


「ヘビー級でやってくのは……厳しいなあ」


 苦い顔でトレーナーが言うのを、俺は死刑宣告のように聞いた。


「長身と体が柔らかいのは長所だがな? ハイキックは中々のもんだ。でもな、格闘技ってのは結局は縦も横も大きいやつが強いし、見栄えもする。金も稼げる。もちろんフットワークを駆使してって選手もいるし、何なら軽量級でやってみないか?」


 俺はNOと答えた。世界最強でなければ意味がない。

 ヘビー級王者こそが世界最強だと俺は思っていたのだ。

 失意の俺はそのままやけっぱちになってジムを辞めてしまった。


 そして、今俺はラーメンの屋台を引く準備をしている。

 たまたま親父の知り合いがラーメン屋台を廃業するとの事で、その機材から仕入れルートまですべて譲ってくれたのだった。

 とんでもない幸運――だったのだろう。


 しかし、本当にやりたいことを出来なかった人間に何ができるというのだろうか。

 格闘家への道をあきらめた瞬間から、この人生は俺にとって余生だ。

 ただ生きて、仕事をして、そしていつか死ぬ。

 それが人生だよ、と親父は言ったが、そうやって皆諦めていくのだろう。

 俺もそうなるしかないのか……。


 俺は今日からラーメン屋の親父だ。

 18歳にして親父と言うには若い気もするが、一応高校三年生の就活を捨てる代わりにラーメンの修行はしてきた。

 それなりのものを作れる店主ではあるはずだ。多分。

 最強を目指す必要はない。それなりのものを、コツコツ毎日作って売る生活を送ればいいのだ。


 そして日もとっぷりと暮れた深夜0時ごろ。

 初めての来客を迎えた。

 居眠り運転のダンプカーだった。


 悲鳴を上げる間もなく、ダンプは屋台に突っ込んできて、俺はぐちゃっと潰れた。

何とか頑張って書いていきたいと思っています。

感想などよろしくお願いします。

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