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以上、こういったことを僅かに思うだけでありまして、歌の良し悪し、歌とはどうあるべきか、などについては私の口からは特になにも語ることなどできません。
ましてや歌の作法については、他家にもっと詳しい方が多く居りますが、私にはその内容は知りようもなく、わずかに知っておりますこともすでに皆さんご存知のようなことばかりでありまして……全くたいしたことなどないのです。
・君こずばひとりやねなんささの葉のみ山もそよにさやぐ霜夜を 藤原清輔
・難波人すくもたく火の下こがれ上はつれなき我身なりけり 藤原清輔
・思きやしぢのはしがきかきつめて百夜もおなじ丸ねせんとは 藤原俊成
・あたら夜を伊勢の浜荻折りしきて妹恋しらに見つる月かな 藤原基俊