調子に乗ってもしかたないじゃんm9(`ロ´;)
「クク………クックック………。さぁさぁどうした? そこでじっとしていても始まらないぞ?」
ニヤリ、と俺は笑う。
笑みとは本来、獰猛な物である―――。そんなナレーションが聞こえてきそうな笑みを浮かべる俺。今の俺はシマウマを狩るライオン。いや、鼠をいたぶる猫だ。
「う………うぅ」
「おやぁ? なぁんにも、言う言葉が無いの? 何かあるんじゃない?」
「う、う、う」
ゲヘゲへと笑う俺は完全に悪役だった。ヒーロー物なら四番目くらいに出てくる姑息な手を使う怪人くらいに悪役だった。
「フフフ、ハハハ、フハハハハハハハハ! そんな、そんなお粗末な物かね。考えて考えて考え抜いた結果がそれ!」
「う、う、うるさぁーい!」
ドンガラガッシャーン!
「あぁ!! 俺が超圧倒的に勝ってたのに!! って言うか詰んでたのに! 敗けが確定したからって盤ひっくり返すとか狡い上に汚い!」
「ふーんだ。私が絶対に勝ってたもん!」
「王と歩三枚で何ができたのかじっくり教えてほしいもんだがな」
そう言ってまた駒を並べ直す俺。メイは頬を脹らましながら正面に座る。
俺達は将棋をしていた。それもこれもきっかけは数年前に遡る。
☆☆☆☆☆
「依頼内容は、『我が退屈しない物を寄越せ』との事です」
俺は固まっていた。偉い奴は大抵横暴だって言うのはファンタジーにありがちだが、だからってそれに納得行くかと言えばそうではない。誰だって命令されれば反発したくなるし、それが上から目線ならなおのことである。
「なんだって王子様がこんな依頼を?」
とはいえ、相手が偉すぎれば別である。これで相手が村長とか町長とか都知事なら、うっせーハゲ! とか返すところだが、王子様だとそうは行かない。王子様ハゲじゃないらしいし。
「なんでも、フルバー王国史上最高の頭脳を持っているらしく、かつ冒険者としても強く、政治も出来るてモテモテな方らしいですよ」
「もう十分じゃん。それ以上何を求めるって言うんだよ。二兎を追うもの一兎も得ずってことわざがあるんだぞ」
「何でもできてしまうからこそ、つまらないのですよ」
なんて嫌みな奴だ。しかも王子様だと? それで退屈とか人生なめてるんじゃ無かろうか。一回、裸一貫でスラムで暮らせば良いんだそんなやつ。
まぁ依頼には関係ないから今は無視するけど後で覚えてろよ。チクショウ。
楽しめるものねぇ、全然思い付かない。鬼ごっことかやってろよ。とも思うけど流石にそんな遊びで楽しめる歳でも無いだろう。
遊び? ………Σ(´□`;)ハッ!?
「そんなわけで手作りオセロバージョン1」
「何ですか、これ?」
不思議がるネクストに説明する。
「なるほど、面白そうな遊びですね」
「次の品。手作りチェスプロトタイプ1」
「これも挟むんですか?」
「いや、これは違う」
チェスのルール説明
「へぇ。良く考えてますねぇ」
次々と説明する。トランプに将棋にバックギャモンに花札など覚えている限りのゲームをとりあえず再現した。
そして、それをネクストが王子様に届け、なんとか満足してくれたみたいだ。
「………で? アリスはどうしたの?」
首だけ振り替えると、アリスが目をキラキラさせてこっちを見ていた。手には将棋盤と駒がある。
「やりましょう!!」
………クックック………良い度胸じゃないか。
実は将棋やその他ボードゲームは俺の得意なゲームなのだ。反射神経やその他臨機応変に対応する必要の無いゲームは超得意だ。だからゲームでは生産職になったなんて事は無い。無いったら無い。
そうしてアリスと将棋を指しているとわらわらと皆が集まってきた。興味がある様子なのでいくつか将棋盤を生産して駒の動きを教えながらアリスと指す。残念だったな。いくらINTが高くても初心者じゃ将棋は勝てないんだよ!
俺は美濃囲いに対して相手は居玉。悠々と華麗に詰めた。
「も、もう一回お願いします!」
「何度でも来るが良い、相手になってやる」
ざわ……
ざわ………
な、なんだ!? バーニィが王者の風格を………!?
いつもは虎の威を借る狐なのに!?
フッ、
「無敗、故に、最強なのだ」
どーん!!
☆☆☆☆☆
みたいな事があって、調子に乗った俺は、
俺に勝てたら何でも言うこと聞いてやるよ(ドヤッ
とか言っちゃって、皆で何か切磋琢磨した結果俺は負けた。幼い見た目の奴らにはまだまだ勝てるがいずれ負けるだろうなぁ。
INTの高さなめてたわ。ナメプしながら戦略とか教えなきゃよかった。って言うか勝負中にレベルアップする展開とか相手からしたらただの悪夢だから。そういうのいらないんだよチクショウ。
☆☆☆☆☆
そういえば北側の戦国時代終結した。名前忘れたけど何か代々偉い魔族の貴族みたいな奴が統一したっぽい。それで、北側に来てた冒険者全員追い返したみたいだ。
それを機に勇者が来なくなった。まぁ門だか何だかを取り返されたらしいしこれないんだろうな。まぁ黄金ハットを倒すのを見てたけどあいつ化け物じゃね? 現実で『それは残像だよ!』とか聞くと思わなかった。あ、ファンタジーだった。
まさか黄金ハットが殺られるとは。武器は俺がちょいちょい作ったグレートの高い武器だったんだがなぁ。しかもアフロだと攻撃力が5倍なのに勇者ってば直撃しても全然ぴんぴんしてるとか本当になんなのさ。まぁでも良いさ。黄金ハットは我が迷宮では下から数えた方が早い。それにまだまだ迷宮十二神将にすらたどり着いていないんだ。全然余裕。
この前メイに十人殺られたから急いで補充しないとな。
さて、そういえば俺の居る場所って北側なんだよね。北側統一した人に挨拶に行くべきだろうか。
……………うーん。
行かないでいいや。必要なら書類でも何でも送ってくるだろう。そしたら行こうそうしよう。
俺は結論付けてから叫んだ。
「みんなー!! クッキー焼けたよー!!」
今日も平和である。
★★★★★
私はベルゼ家の第六代目当主、ライラ・ミッシェル・ベルゼ。
先代の父上が勇者とやらに殺られてしまい、その後に私が魔王になったのだが、後の戦国時代にはベルゼ家の信用は失墜していて、とてもじゃないが勝てる状況ではなく、統一された今、私や他の魔王族の人々は地方に左遷された。
私が任された土地は、最果て。利用出来る土地は少なく、環境も厳しく、無法地帯であり、流刑地であるここの統治を任ぜられた。
「はぁ」
「ライラ様。そんなに気を落とさずに」
侍従長のニナはそう言うが、私のお先は真っ暗だ。
私達の住む北側は環境が厳しい。不毛の土地や砂漠、雪が止まない土地などとてもではないが住めない場所が多い。そこにすめるのはそこの環境に適応した進化をした魔族のみだ。私の夢はその厳しい環境を直すこと。ものには必ず原因がある。それを解明し対応すれば住みやすい土地が増え、もっと発展するはずなのだ。
その為にも私は魔王になろうとしたのだが、運は私に味方しなかったようだ。
争い事が嫌いな父上が討たれ、侵略のみに腐心する現魔王が討たれない。なぜなんだ。
私は、ツイていない。
「あ、ライラ様! 城が見えましたよ!!」
城。城か。
「掘っ立て小屋の間違いだろう」
「贅沢言わないで下さい。屋根があるだけ有り難いと思いましょう。ここはあの最果てをなのですから」
それもそうだな。しかし、あんなに広い城からこんな小屋暮らしか。負けた者の末路は惨めだな。
「しかし、サイクロプスの新型馬車があって良かったですね。正直これがなかったら私達で台車引っ張るはめになってましたよ」
「そうだな。あの店にあったモンブラウンが忘れられん」
「ズムシ・ティーも良いお茶でしたよね」
「「はぁ」」
「今さら過去の事を思い出しても仕方がない。今日はさっさと寝て、明日からいろいろとしよう」
「そうですね。もう疲れちゃいました」
私達は新型馬車から降りた。馬が入らないから車といった方が良いのだろうか。
そんなことをやや考えて、どうでも良いかと結論付けてから眠った。
アルフレッド・イズルハがバーニィを呼ぶときの、
バァ(↑)ニィィィ(↑↑)
ってのが好きです。第六話だったっけあれ。