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相手の利権侵害したら拙いじゃんm9(>ε<)



ダンジョンにおける共通にして絶対的なルールが二つある。


一つ。ダンジョンの壁や床は壊せない。


一つ。ダンジョンを制覇しなければダンジョンの向こう側には渡れない。


そんなルールがあるのだ。


いや、ゲームじゃそもそもシステム的に無理だったけど現実でも無理だなんて思わないじゃん。本当に見えない壁があって通れないなんて全然思わなかった。いやはや凄いトンデモ設定だわ。


とりあえずポートで繋がってるからいちいちダンジョンをクリアして外出する必要は無いが、みんながレベルアップの為にダンジョンに行くんだよ。それで、


『あー、ダンジョン疲れたー』


『でも楽しいよねっ』


『ダンジョンにはいると滾る!』


とか言ってるわけ。


いやー、若いね。青い青い。


俺はほら、基本的に店に出す品とかを生産し続けてるわけで。引きこもらざるを得ない状況だから別に俺はダンジョン行きたく無いってわけじゃ無いんだけど仕事があるから仕方なく行けないわけだけどもひょっとするとみんなが勘違いして『お前ビビってんじゃねーの』みたいな事思うかもしれないけれどそんなことは全く全然ちっとも無いっていうか事実無根の根も葉も無い様なわけわかんないあれだから別に俺はダンジョン制覇とか(へそ)で茶を沸かすレベルの超楽勝って話。


「でも今日はお腹痛いから勘弁な」


「この前もお腹痛いってゆってたー」


「メイ、俺はほら、生産しなくちゃならないし迷宮行くとなるとMP無駄に消費するし、そもそも俺はこれ以上レベルが上がらないからすなわち行く意味が無いわけ。メイ達は伸び代があるけど俺はもう成長限界だから。後は下がるだけだから。だから別に行きたく無いってわけじゃ無いけど行く意味が無いっていうかー、みたいなー」


「大丈夫! 私達がバーニィには指一本触れさせないから!」


「………結局俺、迷宮行く意味無くね?」


とまあなんやかんやのすったもんだとあった挙げ句、俺は迷宮に行く事になってしまった。


「っていうか外出る時も思ったけど、迷宮逆走するとか信じられないくらい鬼畜。ラスボス倒した後にまぁまぁ強い敵と戦うとかどう考えてもポーションが足らない」


「えー? 当たらないからどうってこと無いよー?」


そんなふうに軽く答えるメイは今、ルシファーデーモンという名前の、俺が作ったダンジョンのラスボスと戯れていた。ランク外モンスターとも言われるくらいめちゃくちゃ強いモンスターのはずなのに。しかも希少種だから普通のルシファーデーモンの10倍の強さのはずなのに。


迷宮ポイントかなり割り振ったのになぁ。


なぜか悔しい。よーし、改造してメイとかがクリア出来ない様な迷宮にすることを目標にしよう。今決めた。


とりあえず彼女達に小判鮫した俺は生産で作った料理を広げた。ちなみに今、迷宮の森丘エリアにいるのでちょっとしたピクニック気分だ。


サンドイッチを食べながらキャッキャッウフフしてる面々の周りには花が咲き乱れている気がする。ボッチの俺の周りには食虫植物が咲き誇っている気分だ。


「なんかこのハムしょっぺぇ」


「バーニィ!? 何で泣いてるの!? 本当にお腹痛かったの!?」


そう言って心配そうにこちらを見る彼女達は本気で俺を心配してくれているのだろう。良い子に育ったなぁ。生後一ヶ月だけど。


「いや、皆の優しさが目に染みて」


「そんな! バーニィったら大胆!」


瞬間。俺は物凄い衝撃を感じた。その後すぐに真後ろに引っ張られる感覚。メイ達が遠ざかっていく。


背中の、ぶよん、という衝撃を吸収してくれた何かに感謝しつつ、メイ達が遠ざかったんじゃなくて俺が吹っ飛んだのだと理解した。


☆☆☆☆☆




メイ達がアリスに怒られている所で目が覚めた。どうやら気絶してたらしい。


とりあえずアリスを宥めて、メイ達を次から気をつけるようにと叱り付けてから、そういえばお腹が空いてた事を思い出す。


「バーナード様」


「どうしたの?」


俺に声をかけたのはアリスだった。今は城の食堂に居る。自分で作るか誰かに頼むか暫し悩んでいたところ、アリスが俺の後ろに居たのだった。


「料理を作ってみたのですが、試食を頼んでもよろしいですか?」


料理………だと………!?


女子の手料理!?


なんと甘美なる瞬間か。まだ俺は立っている。


正直ボディーブローをくらった気分だった。これほどの衝撃を感じたのはメイに突き飛ばされていらいだ。あれ?つい最近じゃね。


「頂こう。アリスの手料理なんて初めて食べるし楽しみだ」


「た、た、た、楽しみでですか」


「うん。楽しみだ。何を作ったの?」


「えぇ。うん。はい。私が作ったのは肉じゃがという料理です」


肉じゃが。うん。手料理の王道とも言えると思う。お菓子ならクッキー。料理なら肉じゃが。そんな感じの暗黙の了解的なものがあると思うんだ。俺はそう信じている。


あ、肉じゃがは旨かった。


褒めちぎったらアリスが倒れてしまったのだがなんなんだろうか。他の奴らもたまに同じ事するんだけど仕様なんだろうか?


☆☆☆☆☆




さて、俺がこの世界に来てから半年が経過している。


今では大規模な畑やら農場が出来ていて街にわざわざ買いに行く必要も無くなった。こっち来てから三ヶ月くらいは麦と米を手に入れるために結構頑張ったんだ。


まぁ手に入れたら生産:調合で『もの凄く凄い肥料』を使ってばんばん育てて三時間くらいで収穫出来るからもう店に卸す為の生産と趣味のお菓子作りとガーデニングくらいしかやることが無い。


『もう凄く凄い肥料』は凄いよな。米は土で育てるとかそんな感じの言葉があった気がするがガン無視。とりあえず食べ物ならなんでもすぐ育つ上に旨い。なにこれ凄い。


後はあれ。店が繁盛してる。今までの武器屋とは違って冒険者達が手に入れた素材を持ち込むことで通常より安く作るというモンハン形式で商売してる。普通の武器も売っていて、そちらも高品質だと評判だ。後は頼めばなんでも作る。前にテディベアの依頼が来ていたし、地域住民も利用しているようだ。


冒険者達のレベルがどれほどか知らないが、持ち込まれる素材を見るかぎり結構強いみたいだ。


いろいろ調べた結果、ギルドランクとかその辺はあまりゲームと変わっていないようである。


因みに、ランクはFランクからSSランクまである。俺は一応Cランクだが、討伐とかではなく納品クエストでそこまで登り詰めたのだ。それ以上は指定クエストをクリアしなきゃならないので無理だった。


とりあえず最高でAランク冒険者が持ってくるような素材が持ち込まれた事があるのでそれくらいの強さの冒険者が居ることは確かだろう。


商店の名前は『サイクロプス総合商社』スローガンは『無茶をやるのがサイクロプス』良いスローガンだと思わない?


で、この世界についていろいろ調べたわけなんだが、軽く説明する。


だいたい地球みたいな惑星。丸い。


南半球側に獣人やら妖精族やらが住んでいる。


北半球側に魔族と呼ばれる奴らが住んでる。


お互いに戦ってる。みたいな。


大陸の形は地球とは全然違う。


人間は、猿の獣人扱い。あとはネコ耳とか犬耳とか。竜人は妖精族扱い。


魔族ってのは魔物とか悪魔みたいな奴とか。


因みに俺は北半球側の東の方にある『最果て』と呼ばれる地域の、『混沌の森』の奥にある『終焉の山脈』を越えた場所に住んでる。


ややこしい。とりあえず魔族にしろ獣人とか妖精族にしろ終焉の山脈を越えた者は居ないらしい。


じゃあなんでワープ出来たんだよって話になるけど、外に出た時にアリスが出してた斥候がなんか物凄い遠くまで行ったみたいでそのおかげで南半球の中でも結構栄えている『商業都市ステイメン』にワープ出来たってわけ。


因みに距離にして5万km離れている。


おかしいと思った? そう、この惑星は地球より大きいのだ!


だいたい10倍以上は大きいって分かってるけどそれ以上はわかんない。調べるのも面倒だし。


とりあえず土地の広さに人の数が追いついて居ないからこそ冒険者という存在がある程度の地位を占めることができる。それに、各地域に点在している謎多き遺跡、『迷宮』。その遺跡内で見つかるオーバーテクノロジーの産物。


さぁ、世界を救い、世界の謎を解き明かすの君だ!




っていう『凄いよオンライン』の説明文通りです本当にありがとうございました。


★★★★★


おまけ『月刊揚げD』


今日は、今話題の『サイクロプス総合商社』の謎に迫ります!


商業都市ステイメンに突如として現れたサイクロプス総合商社に突撃インタビューをしてきました。


―――え? 取材、ですか?


店内に居たのは眼鏡をかけた超イケメン! この後食事に誘いましたがあえなく撃沈いたしました。グスン。


さて、それも私に取っては重要ですが仕事です仕事。


サイクロプス総合商社の商品を作っている人に会いに来たのです!


―――生産している人に会いに来たと? うーん。私は店長ですが社長ではないんですよね。しかし取材ですか………。少し待っていて下さいますか?


そう言ってカウンターの後ろの扉に引っ込む店長さん。私は店内に残されてしまいました。


ここで私は意を決して店内の出入口のすぐ近くに陣取っている巨漢のおじ様に話し掛けました。


あ、あの〜?


―――何か用かね?


威圧感ってこういう物なんですね。昔取材した冒険者さんが威圧感の説明してくれた事がありましたが百聞は一見に如かずとはこの事です。


あなたはどんな仕事をしているんですか?


―――私はこの店の用心棒を任されている。


まぁそうでしょう。戦いなんてド素人の私ですら、あぁ、この人は強いんだなと感じます。



用心棒さんと話をしていると店長さんがやってきました。


―――待たせてすいません。顔出しNGの代わりに取材を受けるそうです。


私は歓喜しました。実は断られたらどうしようとビクビクしていたのです。編集長が失敗したらボーナス無しとか言ってたので本当に嬉しかったです。


えー、では、あなたは何をやっている人ですか?


私は通信水晶に向かって話し始めました。普通なら通信水晶に相手の顔が映るのですが、相手側の通信水晶には布が被せてあるらしく、水晶は真っ暗です。


―――俺はサイクロプスの全ての生産を司っています。


若い声でした。純朴ていうか牧歌的な声と、あまりの若さに驚きました。声の感じからすると15、6くらいでしょうか。そんな少年とも言うべき歳の方がこれほどの物を全て作っているとは到底思えませんでした。


本当ですか? 俄に信じ難いです。


―――ハハッ、そう思うでしょう。それが、ロートルって奴ですよ。


彼はそのまま語りました。


―――画期的な発明をするのは若い世代だし、無茶な冒険をするのも若い世代です。そうして新しい発見があり、新しい時代を築く。時代を作るのは老人ではない。


しかし、彼らだって無能ではありません。例えばこの商業都市を発展させてきたのはあなたが言う今のロートル達ではないですか。


―――そうですね。そうして、今の商売方法が出来た。店先にある物を売る。それが彼等の商法だ。が、サイクロプスのやり方を真似する所も出てきている。新しい商法が出来てきているのですよ。海で言うなら波が来ているんです。若い世代ってのはビックウェーブに乗るんじゃない。ビックウェーブを作るんだ。例え、どんなに失敗したとしても。


彼はそう語り、私は何も言えないまま取材は終わりました。


乗るのではなく作る。


それがサイクロプスの発展に繋がり、商業都市に新しい波を作ったのかもしれない。


特別記事『新たな波、サイクロプス』



世界観の説明話。時間が飛ぶが問題無いさ。

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