「最悪」
あるテレビで「最悪」という言葉が使われたとき、ふと思い立ったので文にしてみました。支離滅裂で訳のわからん文になっていますが、ご容赦を^^;
「まずいな…このままでは、最悪の状況になりかねない!」
「まだ希望は残っている筈よ!頑張りましょう!」
兄貴と部屋で映画を見てたとき、こんな台詞が交わされているシーンが有った。
どっかの国と国が戦争してる映画で、主人公の部隊が窮地に陥った、みたいなシーンだ。
その台詞を聞いて、何かおかしいな、と俺は首を捻る。
「どうした?」
俺の様子に気付いた兄貴が、訊いてきてくれた。兄貴なら分かるだろうか?
「いやさぁ、最悪の状況が何たら言ってるけど、これって何を基準にして"最悪"って言ってるんだろうなってさ。」
「そりゃお前、自分の頭の中で想像できる範囲で、最悪の事態ってことじゃねぇの?」
兄貴が溜め息混じりに答えた。何を言い出すかと思えばって感じだ。
「んじゃぁさ、兄貴はコイツの立場になったら、どんな事が"最悪"になると思う?」
ズダダダダダ、とマシンガンの音がテレビから聞こえるが、映画はそっちのけ。
今は"最悪"の事が気になってしょうがなかった。
兄貴は少し考えて、こう言った。
「やっぱ、自分の隊が全滅して、相手の国にやられる事なんじゃね?」
「それならさぁ、更に相手の国が自分の国を乗っ取って、それを足掛かりに全世界を支配するとかのほうが最悪じゃねぇの?」
まぁ、この映画の主人公がこんな銃弾飛び交う戦場で、そんな想像力を働かせているとも思えないが。って言うか、映画なんだし。
「うーん、そう言われればそうかもな。」
律儀にも兄貴は答えてくれた。
「それとかさぁ、よく『お前最悪じゃーん』とか言う奴居るけどさぁ、もしそいつが酔っ払って道のド真ん中に寝転がってるサラリーマン見ても、学校で掃除当番押しつけた奴が居ても、『アイツ、マジ最悪』って言うとするじゃん。」
なるべく、"最悪"と言われそうな奴をチョイスして言った。っていうか、多分言う奴は多い。
「最悪ってさ、最も悪いっていう意味な訳だろ?この場合、本当に最悪な奴ってどっちよ?っつーか、最悪の場所に位置付ける基準が分からんのだけど。」
兄貴が腕を組んで頭を捻る。もはや俺も兄貴も映画なんか見ちゃいない。
「酔っ払いリーマンと掃除当番押し付け野郎、比べてみれば、俺としては前者の方が悪いと思うのね。道路に寝転がったりしたら、俺以外の奴にも邪魔じゃん。でもさぁ、両方『最悪』って言われてる訳だろ。おかしくねぇ?」
更に俺が追い討ちをかける。兄貴が唸った。
「確かに、何かおかしいな。」
「な?一体どういう基準で最悪っつってんのか分かんないだろ?大量殺人者も勿論最悪って言われるんだろうけど、そんなのと一緒にされちゃ、リーマンも押し付けクンも可愛そうだべ?」
「そりゃ確かにあんまりだな。じゃあよ、最悪っていうのは範囲があるとか考えるのはどうよ。小悪い、中悪い、大悪いみたいな感じで。で、それじゃ言いにくいから、一括りにして"最悪"みたいな。」
「それじゃ日本語おかしくなるんじゃね?だって、最悪だろ?」
「そりゃお前、言葉なんてそんなもんだし…」
再び二人して、うーんと頭を捻る。
ふとその時、テレビから映画のエンディングテーマが流れてきた。
それを聴いた兄貴と俺は、バッと画面に向き直り、同時に
「ああああぁぁぁーーーッ!!」
と叫んだ。
二人とも床に手をつき、がっくりと項垂れた。
「折角この映画が放映されるの楽しみにしてたのに…」
「最悪だぜ…」
スランプ脱出を目論んで書いてみた駄文です。細かいツッコミは無しにしてください(苦笑)