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プロテインパワー?

 再び僕が目を覚ました時には日はすっかり沈んでしまい、星が空一面に輝いている

 周りを見ると狼達はスースーと寝息を立てている


 こうなったら野宿するしかないと思い狼達の中に再び潜り込もうとしたが、出来なかった狼達はいきなり飛び起きて周りに向かってグルルルと威嚇している


 あ、あれ?尻尾とか踏んじゃった?


 狼達は心の中で土下座している僕にお構いなしに、と言うか僕を守るように僕の周りをぐるりと囲んでいる

 狼達が何をしたいのかさっぱり分からないプラス、夜の寒さに震えている僕を気遣ってか、ずっと抱き枕にしていた青色の奴がまるで座れとでも言うように服の裾を引っ張っている

 促されるようにその場にちょこんと座った僕の上に青色狼がドサッと乗っかってきた


 さ、寒く無いけど嬉しいけど潰される……


 僕の五分の三ほどの大きさもあるのだ、筋力もたいしてないのだから潰されちゃってます僕が

 無駄な事考えいると茂みから、見るからに主食はプロテインと思える筋肉ムキムキの厳ついオッサン(上半身ノースリーブらしき物一枚)が飛び出したきた


「う、うわ、キモすぎるよ……」


「キモいとはなんだ! この筋肉みて何も思わないのか! 美しいだろう! 」


「美しいってキモさ倍増だね、プロテインさん」

「ぷ、プロテインだと……

まぁ良いだろう

俺の狙いはそこのフェンリルの子供だけだ! っと言いたい所だが嬢ちゃん口は悪いけど意外と可愛いじゃねぇか、後でお兄さんが可愛いがってあげるよ~」


 へ~、このモコモコ狼フェンリルの子供なんだ~

 ってフェンリル!? フェンリルってオーディンを食い殺したあの!? っあ、そうかここはゲーム又は異世界なのか何が起こっても良くは無いけど良いわけだ……

 そんでプロテイン(オッサン)の放った危なげな話は完全無視と言う方向で……


 プロテインは腰についている小さめなポーチに手を突っ込む、突如プロテインの腕には鎖鎌が表れた

 っえ!? 今のなに!? ポーチに手を突っ込んだだけだよね!?

 っあ! ゲームだからポーチにオブジェクト化した物を入れてるのか! ふふふ、此処来る前まではゲーム命だった僕の知識を舐めるなよ!

 乗っかっていた青色狼をペチペチ叩き、どいて貰うと腰にあったポーチに手を突っ込む


 お~! 半透明のウィンドウがでた!


 アイテム名が五、六個表示される良く分から無いアイテムが最初からあったが無視、ウィンドウに杖らしきマークがついた物を見つけたが装備の仕方が分からない、はぁ装備出来たらなぁと思うと突然手元に何かが現れる、びっくりし落としそうになりながらも頑張ってしっかりと握り現れた物体をしっかりと観察する

 ……へ? 武器がデッカい絵筆って何ですか?


絵筆は木でできた柄の部分、その先に真っ白な毛の筆、何とも味気ないごくごく普通の筆だった


 さっすがゲームだ、と関心してる僕をよそにプロテインとモコモコ狼改めフェンリル達が攻防を繰り広げていた

 フェンリル達はありがたい事に噛み付くなどをして此方に近づけ無いようにしてくれている

 ただ筆でどう戦えと、魔法の出し方すら知らないし、プロテインは僕の武器を見て笑いをこらえている


 ちくしょー、僕だって好きでこんなのだしたんじゃ無いぞ!


 ただ、いくら笑われても何も出来ないのではしょうがない、フェンリル達をがんばれーと応援するぐらいしか出来ないのだ

 戦闘の様子はと言うとフェンリル達はプロテインがグルグル振り回す鎖鎌を前に攻撃する事が出来ずじりじりと後退して来ている


 ……あれ? これって僕の貞操大ピーンチ! なパターン?

 ぼ、僕胸無いよ壁だよ壁! こんなキャラやってたからか完璧に忘れてたけど男だったんだよ!


 心の中でワーワー元気に騒いでいる僕だけれど実は泣き出したいぐらいになっちゃってます

 だって今フェンリル達が負けちゃったら僕、犯されちゃうんだよ!

 もっとイケメンだったらまだ許せるけどあんな厳ついオッサンなんかにはぜっっったいに犯されたくない!


 そんな事を言ったてフェンリル達が押され気味なのは変わらないのは分かっている、と言って逃げるにしてもフェンリル達は自分達もプロテインの狙いだと分かっていながらも命懸けて僕を守ってくれているのだ、逃げればフェンリル達のミッションが達成されるとしても逃げるのは僕の良心が痛む


 その内防御に徹するのに痺れを切らしたらしいフェンリルの内の一匹が勇敢にもプロテインに飛び交っていった、しかし鎖鎌の餌食となり体に鎖が巻きつき身動きが取れなくなってしまった

 しかし、ちゃんとこの一匹は隙を作ってくれた鎖鎌による壁がなくなり残る三匹が一斉に飛び交った、だが甘かったプロテインはフェンリルが絡みついた鎖鎌を投げ捨てニヤリと笑うとまたもやポーチに手を突っ込む

 取り出したのは網だった三匹ともそのまま網に捕らわれ捕まってしまった


 ど、どうしよう……筆?そんなのでダメージ与えれるかっ!


 泣き出しそうになりながらも筆を構え戦闘体勢に、プロテインはもう一個あったらしい鎖鎌を取り出すとまたもや振り回し始める

 結果は明らかだった

 魔法陣すら描けないのだ、筆じゃどうしようも無い


 あきらめかけたその時、プロテインの後頭部に青色のボールが直撃、不意打ちだったせいか体がぐらりと傾き前に倒れる、青色のボールは倒れ込んだプロテインに近付いてくる、良く見れば青色のボールはずっと抱き枕にしていた青色フェンリルだった

 青色フェンリルはプロテインにの首筋に噛みつくと首真後ろに一気に捻る、ッボキ! と嫌な音がするとプロテインの首は真後ろにねじ曲がっており見たく無くてもその苦痛に歪んだ顔が見えてしまう

 いきなり目の前で人が死んだのを目の当たりにして声が出ない

 ショックで全く回らない頭で考えて分かるのはプロテインは様々なゲームみたく生き返る事は出来ない事だ


 しばらくして落ち着いた僕は嫌々プロテインに近付きプロテインのポーチを奪いとり、プロテインが手に持っている鎖鎌を奪いとる、したくは無かったが生き残るために考えついた苦肉の策だった

 鎖鎌に縛られたり網に絡まっているフェンリル達を助け、その鎖鎌と網も回収

 特に行き先などは考えてかったがプロテインの死体からいち早く離れたかったため、西に傾いている月に向かって歩きだした

鎖鎌……鎌の柄尻に鎖をつなぎそれの先端に分銅を取り付けた物

敵の頭部・顔面・脛・小手の部分を狙って分銅を打ち付けたり、敵の武器を鎖で叩き落したり、敵の手首や足に鎖を絡めさせたりしながら、敵の動きを封じた後左手に持った鎌刃で斬りつけ止めを刺したりする


フェンリル……(Fenrir, 沼に棲む者の意)北欧神話に登場する狼の姿をした巨大な怪物。ロキが女巨人アングルボザとの間にもうけた

ラグナロクまでグレイプニルと言う紐によって縛られていたがラグナロクの時、解放されオーディンを飲み込む、その時トールによって真っ二つに引き裂かれる

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