他に好きな人ができた…そうなんですね
誤字脱字とかあったら教えていただけるとうれしいです
「すまない、スザンナ。他に好きな女性ができたんだ。婚約解消をしてくれ」
いつも通りのお茶会で、彼はそう告げた。
正直、そうなんだろうなくらいは察していた。
政略の婚約者ではあったが5年も婚約していればそれくらいわかる。
だがそれはそれである。
「一応聞きますがどなたですか?」
「リリーシュ嬢だ。」
あぁ、あの可愛らしい方。
彼とは同じクラスだったかしら。
「リリーシュさんとはどれほど仲がいいのですか?」
「うーん、友人かな。班活動で時々一緒になって、、」
「見込みはありますの?」
この場合の見込みとは、リリーシュさんと婚約できる可能性ではない。リリーシュさんは中立派と言われている伯爵の娘である。彼は賛成派の後継だ。
「どうだろう。僕は伯爵に会ったことがないからわからない。」
「…あの方は王都まであまり来られない方ですものね。しかし、あの方の妹様は反対派だったと記憶しております。」
「そうなのか、、」
「あなたがその点を踏まえて婚約解消したいのでしたら応じますが…」
しばらくして、彼は言った。
「だが、リリーシュ嬢は僕の好みどストライクなんだ。二人で国外に行くならすれば…」
「駆け落ちという名目でですか?それとも理由をつけて外交を引き伸ばすんですか?」
「帝国ならいけるんじゃないかな。」
彼のいう帝国とはホッカイドー帝国という北の方にある大きな国である。
「そうですね。可能性はあるかと」
私は紅茶を飲んで口を開いた。
「ところで少しお聞きしたいことがあるのだけれど。」
「なんだい?」
「リリーシュ嬢はどんな方なんですの?」
「そうだな…周りの人に親切で、お淑やかで、あと小柄なのもあって庇護欲をそそられるというか。」
「親切とはどういうふうに?」
「課題を忘れてしまった時にノートを貸してくれたり」
あなたの学力であれば課題ごとき暗算できると思いますが。
「消しゴムを拾ったらニコニコ笑ってお礼を言われて」
人として普通では。
「存在しているだけで空気がほわわんとなるような感じで…」
それはもう親切の説明には該当しませんがまぁいいでしょう。
「私、恋愛小説で興味深い一冊を読みまして。」
「珍しいね。君が恋愛ものを読むなんて」
「えぇ、侍女にすすめられたものですから。その中にですね、心理テストのようなものがあったのでやってもいいですか?」
「うん、いいよ。」
「あなたの思い人のことを考えてください。」
「それで?」
「彼女の魅力的なところを大事なだと思うことから二つ挙げてください。」
「笑顔が可愛いところと見ていて癒されるところかな。」
「つまり視的効果が高いと。」
「そうだね、、」
「…彼女の外見がもし奇異なものになったとしても彼女のことを愛するんでしょうか。」
「おそらくね。」
「ですが、外見が変われば笑顔の見た目も変わるのでは?」
「え、えっと…大丈夫だ。その変わった外見を直す方法を探せば!」
「そうなんですね。」
私が言いたかったのは直すという意味ではなかったのだがまぁ仕方ないだろう。
「婚約解消には応じますね。後日書類を送還してください。」
「あ、あぁ。今までありがとう。」
いきなり終わった心理テストに戸惑いながらも彼は帰って行った。
リリーシュ嬢はカバの獣人の血を引いているそうだが、獣化したらどうなるのだろうかと私はぼんやり思いながらお菓子を摘んだ。
彼は頭は悪くないくせに二つの選択肢から難しい方を選んだ。…新しい婚約者選びは難航するのかなと思いながら、口に運んだお茶はいつもより苦かった気がした。




