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トリニティアイ -転生平民魔術師の王城勤務-  作者: 栗木下
3:第二属性の魔術師たち

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67/97

67:手土産とは難しい物である

本日は三話更新となります。

こちらは三話目になります。

ご注意ください。

「折角でございます。基本的なところから確認しましょう」

「はい」

 グロリアブレイド王国ではお茶会は男女問わず開かれるものである。

 王国の歴史、500年ちょっとの長きにわたって少しずつ洗練されていった礼儀作法の内容は時代ごとに異なるが、主催者が茶会に必要な物を一通り揃え、他の参加者が必要なら手土産を持ってくると言う部分については変わることない部分である。


「お茶会の手土産と言うのは、自己紹介の一つでございます。どのような品を持ってきたかによって、その方がどんな人物なのかが分かりますし、主催者の方々とどのような付き合いをしたいのかも示されます」

「主催者の顔を潰すような手土産なら、主催者とは今後付き合いたくない。他の招待客と被らせるなら、その招待客とは仲良くない。そう言っているのと同義。と言う事ですね」

「逆に主催者や他の客を立てるような手土産なら、今後も仲良くしたい。そう言っている事になります。ただ、そこで手土産の数が足りないと、手土産が渡されなかった方との関係は悪化するわけですが」

 だが、長い間に洗練された結果として、手土産については色々とあるようで……手土産一つとっても、かなり真剣に考えなければいけない状態であるらしい。

 うん、実に面倒くさい事である。

 しかし、それでも持って行かないと言う選択肢はない。


「今回のお茶会の参加者はワタシ含めて9人。となると、予備や事前の毒見への提出も含めて、15人分くらいは必要ですよね」

「その通りでございます。そして、参加者は正妃殿下を始めとして、ミーメ様の今後を考えると親しい間柄になっておいて損はない方々です。ミーメ様が嫌でない限りは人数分の手土産をしっかりと考えて準備しておくべきでしょう」

「数が揃えられないにしても、正妃殿下、側妃殿下のお二人には渡しておきたいですね。そうでないとミーメ嬢の常識が疑われることになるでしょうから」

 初参加であるのに手土産を持っていかないと言うのは、今後付き合いたくないと言っているに等しく。

 そうでないなら、主催者か参加者、そのどちらかの常識が疑わざるを得ないからである。


 うん、ワタシの常識が疑われて、ワタシが貶されるだけなら別にどうという事は無いのだけれど……。

 ワタシの場合、ワタシを教育してくれているヘルムス様とグレイシア様の常識まで疑われることになる。

 そちらはお断りだ。

 なので、何かは持って行かないといけない。


「問題は何を持っていくかでございます。普通の茶会ならば茶葉、菓子、果実が一般的でございますが……。今回は王族主催であり、他の方も錚々たる顔ぶれでございますので、並大抵の品では見劣りする事になるでしょう」

「それはそうでしょうね……」

「茶葉と果実なら王家御用達。菓子なら王城の専門家が作り上げたものですからね。その質は金があるだけではどうにもならない物でしょう」

 では何を持っていくか。

 まず市販の品ではどうにもならない。

 ヘルムス様の言う通り、いずれも王国国内で手に入れられる物としては最高品質の物になるはずなので。

 そこでワタシが今から市場で手に入れられる程度の物を持っていっても、今回の茶会に要求されている水準には届かないだろう。

 なお、言うまでもない事だが、ワタシ程度の腕では手作りの菓子など論外である。


「後は地元の特産品でございますが……」

「それは領地持ちの貴族ならば無難な品ですが、ミーメ嬢はそうではありませんからね」

 次に地元の特産品だが、こちらもヘルムス様の言う通りで、ワタシの地元は強いて言うなら王都とグロリベス森林である。

 この内、王都の物では駄目となると、グロリベス森林の物になるわけだが……。

 魔物の肉については先ほど却下されたばかりである。


「グレイシア様。地元の特産品と言うのは?」

「文字通りの意味でございます。茶葉、菓子、乳製品、果物、香水、酒、香草などなどですね。基本的にはその場で分けて、試すことが出来るものでございます」

「なるほど」

 では他の物ならどうなるかだが……グレイシア様の言葉を聞いて、ワタシの頭の中で幾つかの候補が挙がってきた。


 なおこれは余談となるが、こういう場で薬や魔道具を手土産として持ってくるのは、特産品であっても無しである。

 薬の場合は個人の体質との関係があってシンプルに危険であるから。

 魔道具の場合は高価な品物であり、手土産ではなく贈答品として贈るべき部類の品であるから。

 そう言う理由だ。

 閑話休題。


「……」

「ミーメ嬢。何か思いつきましたか?」

「そうですね。グロリベス森林の深層にある物でお茶会の場にも沿いそうな物は思いつきました。~~~と言う物なのですが」

 とりあえず思いつきはした。

 と言うわけで、ワタシは思いついたそれをヘルムス様とグレイシア様に話す。

 二人は少し考えて……それから口を開く。


「味と安全性の確認は必要だと思いますが、良いと思います。グロリベス森林の深層でしか回収できない物であれば、ミーメ嬢の価値を高める事にも繋がるでしょう」

「同感でございます。他の方の手土産とも被る事もないでしょうし、それで良いと思います」

 よし。

 どうやら候補としては問題は無いようだ。


「では問題は何時回収しに行くかですね」

 ワタシは目標となるそれがグロリベス森林の何処に居るかや、どうやって対処するべきなのかを思い出していく。

 回収そのものは、長くても二日あれば何とかなるだろう。

 グロリベス森林の深層で物を回収してくるのは宮廷魔術師の仕事でもあるので、大義についても問題なしだ。


「冷蔵、冷凍による保存であれば、わたくしが手伝う事が可能でございますので、何時でもよろしいと思います」

「そうですね。手に入れた品の安全を確認するためにも、出来るだけ早くに行った方が良いと思います」

「なるほど」

 お茶会が開催されるまではまだ少し時間がある。

 なので、鮮度を重視するならば、お茶会の直前に採って来ても良いのだろう。

 しかし、グレイシア様の手助けがあれば早期に採って来ても保存が可能で、ヘルムス様の言葉によれば早期に採ってきた方が後の処理が楽になる。

 となれば……それこそ明日や明後日に採りに行ってしまっても問題は無さそうだ。


「ミーメ嬢。その、もしも近日中に採りに行くのであればですね……」

 と、ここでヘルムス様が何かを懇願するように話しかけてくる。

 ああうん、もう察した。


「付いてきても構いませんよ。ただし、前回と同じように、森の中ではワタシの指示に従ってくださいね」

「勿論です。ミーメ嬢!」

 と言うわけで、ヘルムス様が付いてくることが決定。

 うーん、折角だから、深層の魔物を一匹くらいは狩ってもらおうか。

 ヘルムス様の実力を見るいい機会だ。


「ミーメ様。わたくしも良いでしょうか? 折角ですので、以前に言った、属性についての相談をこの機会にしたいのですが」

「構いません。なんなら、実戦を経つつ、確認させてください」

「よろしくお願いいたします」

 で、グレイシア様についても付いてくる事で決定。

 相談については、グレイシア様の実戦を見てから、かな?

 ワタシに対処できる範囲であれば良いのだけど。


「ミーメ嬢。他の方はどうしましょうか?」

「……。今回は止めておきましょう。今回は浅層と深層の境界から少し進んだ場所にまで踏み込む必要があります。ヘルムス様とグレイシア様のお二人ならば連れていく事は出来ると思いますが、他の方まで連れて行けるかは怪しいので」

「分かりました。ではそのように」

 他の方は今回は無し。

 人を連れて入る以上は、全員を連れて帰るのはワタシの役目の一つとなるので、これ以上は安全のためにも控えてもらおう。


「では必要な準備についてもう少し話し合いましょうか」

「分かりました」

「了解でございます」

 と言うわけで、その他必要な事を話し合い、するべき準備をして、この場は解散となった。

 では、それぞれの目的のためにもグロリベス森林の深層へと向かうとしよう。

なお、本話の話はグロリアブレイド王国内での、小規模なお茶会の場合の常識となります。

作中世界でもお茶会の規模や国が変われば、当然ながら常識も変わります。

ご留意くださいませ。


あ、三章は此処で一度ストップです。

再開は1月7日からです。

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― 新着の感想 ―
……これ、参加者のアレルギーとかも事前に調べた上で、手土産を考えないと面倒なことになりますね。……お茶会も大変だ……。 次回更新を楽しみにしております。
>どのような品を持ってきたかによって、その方がどんな人物なのかが分かりますし、主催者の方々とどのような付き合いをしたいのかも示されます ミーメの場合は魔術師としての何かを持っていくのが問題なさそうで…
ミーメ嬢には何やらあてがあるようで。 ファンタジーのいわゆる魔の森の産物というと、特殊な果物とか魔物蜂の蜂蜜あたりが定番ですが、さて何なのか。 >と言うわけで、ヘルムス様が付いてくることが決定。 …
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