第97話 特務! 消えた冒険者を探せ
「話は聞かせてもらったよ」
フーロンの後ろから半裸。ってもタンクトップで胸を強調した銀色の髪ぼさぼさ髪を持つ女がよって来た。
俺があえて女性じゃなく女が来たって思うほどワイルドさがあるからだ。
剛腕のウェンディ。
王国と違って帝国編に入ってから主要キャラに第二の名前? が付くのが多い。
きっとプロデューサーがこの辺で変わったからだろう。
そんなメタな考えはとりあえず置いておいて狭いカウンターなのに無理やり入って来た。
「ギルドマスター、こちらの仕事です取らないで」
「そうは見えなかったけどねぇ……アタシには婚活に苦しんだ鉄仮面が見えたよ」
「この筋肉ババア」
「はっはっは、ロリ鉄仮面」
子供の喧嘩か。
お互いに毒舌を言えるぐらいには仲がいいんだろう。
「面白うそうな男がいるって見えてね、君。フーロンの鑑定が効かない人間なんだろ? 素の魔力が高いのかね。とにかく仕事とマジックボックスが欲しいんだろ? こんな下っ端じゃだめだね、アタシならなんとかしようか?」
長い者には巻かれろ精神で、こういう時は素直に頼む事にする。
何万ゴールドもするマジックボックスを貰えるなら多少大変な事も引き受けたほうがいいだろう。
「何したらいい?」
「話が早くてたすかむぐ――」
「ギルドマスター私のほうが先です先、デートしま――」
「こっちの仕事が先!」
マジックボックスがむりなら仕事を頼みたい
目の前ではでかい女とロリ少女鉄仮面が胸で押し合っている。
ロリ鉄仮面フーロンが吹っ飛んだ。
そりゃそうだろう、物量的にも。
「さっアタシが勝ったって事で先かな。この近くであった魔物の暴走の話は知ってるかい? 1人の英雄が倒したって報告が上がってきてね」
「へぇ……そんな珍しい話あるんすね」
英雄とかまるでクウガみたいな奴だな。
「みたいよ。でそこから紫水晶が見つかったらしくて……あれ、変な顔してどうしたんだい?」
紫水晶に魔物の暴走、もしかして英雄って俺の事か!
ないないないないない。
「いや、続けてくれ」
「まぁいいか、紫水晶が大量にでたらしくそれの掘り作業。魔物の確認などで現在人手が足りないのさ」
「なるほど」
「で、あんたには特殊依頼で消えたパーティーの捜索をしてほしいんだ」
この辺のダンジョンというと、ヴァンパイアの洞窟か。
ボスはもちろんヴァンパイアの男。
仲間の血を吸い取って操り攻撃していく。
弱点は大量のニンニクである……普通はそんなものはない。
ゲームの中のクウガ達は普通に物理で倒した。
一応レベル1でも特殊効果ある杖などを連発すれば勝てる。
「南東の洞窟?」
「場所まで知ってるとはありがたい、どう? 実は姪っ子がいてね……もう生存は諦めてるからタグ……冒険者ギルド証だね、それだけでも」
うわぁ……。
そういわれると断りにくい。
「見にいくだけなら……」
「うん、それでいい。さすがナナの村の英雄さんだね」
「は?」
ウェンディが小さい声で俺に言うとニヤっと笑う。
「ナナの村で聞いた話。黒髪で冒険者に見えない冒険者が皆を助けたって話が入っていてね。安心しな、非公開な話だしアタシしかしらない」
「…………一応言うけど俺は英雄じゃない、他に相応しい英雄はいるしさ。そもそもナナの村だって俺が手に負えなかったら逃げるつもりだったよ」
「でも、逃げなかった」
「何とかなると思ったからね。ドラゴンの2匹や3匹でたら村人何て全員捨てる。人間そんなもんだよ」
絶対に勝てる自信ないもん。
クウガみたいなやつならともかく、命は1個しかないんだよ? 俺の回復魔法だって自己回復がメイン。
死なない限り復活できるアリシアみたいのがいないと倒す気にもならない。
「ふーん正直でいいね。よし、気に入った。はいこれ」
カウンターの上に魔力のこもった袋を出した。
「これは? マジックボックスか?」
「あたり、アタシの古いので良かったら前払いであげる。2人分の装備品なら入る」
「え、くれるの? 貰って逃げていい?」
「別にいいよ」
いいのかよ。
「その時はアタシの見る目がなかっただけ。ギルド規則で冒険者じゃない人には売れないけど、古いのを渡しても駄目な規則はないからね。で、これであんたの物だ。逃げてもいいし売ってもいい」
「次のマジックボックス手に入るまで売りはしない」
ありがてええ。
これ1個でさっきもいったけど数万ゴールドよ。
何十年遊んで暮らせる奴だ。
「それだけの力ありながら持ってないほうが珍しいよ。普通は有名な人物と知り合いで装備品なんて腐るほど貰うんだけどね」
「いやぁ負け組で本来は死んでもいい人間だしな」
「……意味が解らないけど頼んだよ。って事でフーロン交代だ」
ウェンディが席を立つと、背後から蹴りやパンチをいれて助走して蹴りをいれようとしていたフーロンが肩を揺らしてる。
「話が長い! さて、やっと私の番です。……そういえば名前を聞いてませんでしたね」
「クロウベル」
「素晴らしい名前です、子供の名前はどうしましょうか。2人からとってクーロン。とてもいい名前です」
「フーロンちゃん、俺は結婚しないからね……師匠……じゃない離れ離れなになった恋人の情報が欲しい」
「…………ちっ」
フーロンに師匠の特徴と伝え、その情報を探してもらう。
色々と書類をもってきてその中から一件の話を出してくる。
「三角帽子、胸とお尻は大きく髪は白色から銀髪。魔法使いと名乗っていてメルですが……33年前に1人いますけど。さすがに違いますね」
「そ、そうだね」
絶対に師匠なきがする。
「その昔の人はどんな記憶がある?」
「蜃気楼の古城が出たらしいんですけど、調査隊で生き残ったメンバーの中にいますね、その時のギルドマスターによって調査内容な伏せられていますが」
「なるほど……いやありがとう」
あの邪竜と師匠め絶対顔見知りとおもったが……教えてくれてもいいだろうにさ。
俺が礼をいうとフーロンは別の紙を出してくる。
「これが南東の洞窟までの地図です。ギルドマスターウェンディの姪はエール。神官で回復魔法が使えますが……私と友達でした。消息がたったのは数日前新しく仲間に入れた人と洞窟に行きましたが帰ってきませんでした。男性のほうはクロウベルさんと同じ鑑定の効かない人で……あの人も魅力的でしたがクロウベルさんの方がかっこいいです」
「どうも…………ん。全力は尽くすよ」
必要な情報だけを聞いて席を立つ。
あー……俺も精神年齢で言えば30近い。
どうもこういう湿っぽい話は好きじゃない。
冒険者ギルドを出て、ウェンディに紹介された宿に行く。
「でっか…………」
とても俺が泊まれるような宿ではなくボーイが2人俺にを見てはお辞儀をしている。
言われたままに紹介状を渡すと最上階への部屋を案内された。
ルームサービスで豪華な食事をし、明日に備えてゆっくり寝る。
朝が暗いうちから目が覚めて宿を出る。
そんなくらいのに宿の前には男性が2人立っていてなんとまぁ24時間体制でいるのか。
馬屋で二代目黒竜王、栗毛ににまたがると南東の洞窟まで馬を走らせた。




