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第8話 10日目の授業・マナ・ワールドにおける魔力のうんちゃらかんちゃら

 2日目から9日目までは魔法禁止の基本体力作りがメイン。


 いよいよ基礎が整ってきたという事で本日は知識の勉強。一般的な義務教育がない世界らしいので貴族などは家庭教師を雇う事が多いみたいだ。


 一応ゲーム内の情報としては学園もあるが遠いし行く事はない。



 それよりもだ! 銀色の長髪をなびかせた師匠は今日も可愛い。教師役に徹したいのか丸眼鏡をかけて俺達を座らせた。


 いつもの三角帽子は部屋の中なので当然脱いでいる。



「さて、本日は魔法の授業じゃ。そもそもワラワは小僧に魔法適正があるかないか、あったとしてそれを生かすように。と雇われたのじゃ」

「よろしくお願いします師匠!」

「うむ」



 さすがの俺でも真面目に受ける。

 あまりふざけていると死亡率が上がるし、死んでしまっては元も子もない。


 調べれば調べるほど魔法と言うのは不確定要素が多すぎるのだ。

 サンド家にある本を読んでも書いてある事が表面だけで基礎となる部分が不透明すぎる。



「メル先生様よ、俺はコイツに勝ちたいだけだ、さっさと授業を始めてくれよ」



 スゴウベルが生意気な口で師匠に注文しだす。

 この9日間でもっとも成長したのがスゴウベルなだけあって自信に満ちあふれていた。



「先生、今日もお願いします」

「ん。アリシアは復習になるのう。この世界には――――」



 師匠が魔力、魔法、詠唱の事などを説明しだした。


 『マナ・ワールド』における世界設定だね、簡単に言えば世界が破綻しないような設定なんだけど……まぁここは先生の言葉要約しながら頭に入れる。



 この世界には魔力がある、マナともよばれており魔法の基礎となる部分だ。


 転生前の地球にはなかった話で身体強化なども特別なスキルを持った人間も、そのスキルの元は魔力の変異である。


 基本は火、水、風、土、雷、光、闇。

 それぞれに系統があり。これは『マナ・ワールド』をプレイした俺は割と知っている。


 火と光の属性が強いアリシアはファイヤー系からヒール系を覚える。聖女にジョブチェンジすれば最後は女神の奇跡リザレクション(蘇生)すら唱えられるはずだ。


 俺は水属性が強いので、ウォーター系だ。

 ウォーター系で覚えれるのは……。


 『スコール』範囲限定の雨。


 『ウォーターボール』俺は『水球』と省略したが、手のひらサイズの水球ドンドン飛ばす。


 『ウォーターシールド』俺は『水盾』と省略したが五角形の魔力の水で出来た盾。


 『癒しの水』水系回復魔法の基礎光属性の回復魔法より威力は落ちる。


 『水竜陣』水で出来た竜を召喚し全体攻撃が出来る魔法。当然俺は使えない。省略するとすれば『水竜』当たりかな?



 とはいえ他の属性魔法のほうが強いのであまり記憶にない。


 俺を殺す予定だった主人公クウガは闇以外の属性を扱える、扱えるっても育てるツリースキルの関係で全部は覚えれきれないんだけど。


 ぶっちゃけると既に色々破綻してそうな設定ではある。


 まぁ元々がゲームだし世界設定が荒いのはわかる、売れればいいと思ってる設定だろうし。



「――――と言う事だ。そこの小僧、聞いているのじゃ?」

「もちろんです! 師匠はどの属性が使えるんですか?」

「知識としてなら色々なのじゃ」



 答えをはぐらかされてしまった。

 属性を知っているって事は弱点を教えるって事だもんなぁ。



「おーい先生様よー。俺も才能あるのか?」

「エロガキは土じゃな、数日前に計ったテストでその結果が出たのじゃ」

「え!?」



 俺は思わず立ち上がっていた。



「何の才能もない口だけの馬鹿に魔法の才能があるだなんて!」

「おまっ!?」

「ごめんなさい。スゴウ兄僕驚いて」

「あっはっはクロウ君って時々物凄い事言うよね、まるで《《先生みたいな大人みたい》》」



 っ!?



「そんな事ないよ。いつもイジメられたお返しだし」

「俺はイジメてねえ!」



 スゴウベルが不機嫌なまま座ると、それでも顔がにやけだしている。

 魔法の才能というのはそれだけで凄いらしい。



「といっても素質としては全然に弱い。そこらの馬のほうが素質あるぐらいじゃのう。まぁ励めなのじゃ」

「わかった」



 スゴウベルが珍しく師匠の言う事を黙って聞き始めた。


 毎回毎回アリシアにちょっかいをかけて、俺やアンジュがさりげなく守っている感じになっている。



「じゃぁ次は魔法を唱える修行なのじゃ。魔法には詠唱があり特定の言葉を混ぜると空気中の――」

「メル先生様よー。 もっとこう簡単に……わからねえ!」



 何て言う事でしょう! スゴウベルが馬鹿すぎて師匠のありがたい言葉がわからないだなんて! ちょっと説教の出番だろう。



「こまったのう」

「スゴウ兄。僕なら水だし土を出ろって思えば出るよ」

「でねえよ!!」



 師匠はため息をつき話を変えてくれる。



「ようは。火の魔法なら最初は煙、水なら水滴、土なら砂をイメージして空中に出すように訓練じゃ。それの繰り返しじゃのう、慣れてくると特定のキーワードや魔力増幅をかけるために詠唱をっとまた難しい話になる所じゃったのう。なに、練習を怠らなければお主らが大きくなって結婚する時にはそこそこの魔法を使えてるじゃろうに」

「…………メル先生様よ。この二人はそこそこの魔法を使えてるんだし俺も」



 師匠は俺とアリシアを見る。



「こいつらは特別じゃ」

「えへへ」

「ごめんなさいスゴウ兄、僕が『特別』で」

「ぐぬぬぬぬぬぬぬ! 本当お前性格かわったよな……」



 スゴウベルが怒りだすと、師匠が手を複数回叩く。



「と、いってもなのじゃ」



 師匠が一度言葉を止めた。




「ここで打ち止めな奴もいるし、魔力が突然使えなくなる奴もいる。アリシアはそのままでも将来は安泰じゃが、小僧は水魔法取ったら何も残らんぞ……」



 なんという現実。

 序盤でやられるモブらしい性能だ、水魔法を取るとただの元陰キャで力を手に入れ暴虐気質の『俺キレちまうと何するかわからねえよ』の性格しか残らないとか、最悪である。


 俺が読んだ本でも、天才と言われてた魔法使いがあちこちの街を好き勝手した後に突然魔力が無くなり殺された。と子供向けにしてはハードな内容なのがあった。



「そんな!」

「貴族の三男坊だもんな。次男の俺様であればまだいい縁談もあるだろうに、知ってるかクロウベル。貴族の三男以下は大抵追放か出て行くんだぞ」

「うっ辞めて」

「大丈夫! クロウ君ならきっと英雄になれるよ」



 え。



 俺はアリシアを見るとアリシアは俺を見返した。



「な、なにかな……怖いよ」

「いや……」



 これと全く同じのセリフを原作のアリシアはクウガに言うのだ。



「僕は英雄になりたいわけじゃなく、師匠の弟子として一生付きまとうから、問題ないよ」

「大問題じゃ! どこのストーカーじゃ……そもそもお主、ワシの外見にほれてるだけじゃろ? しわしわの婆ちゃんじゃったらどうする気じゃ」



 まぁ確かに俺も見た目が年配となると気持ちもぐっと下がる。


 せめて40代ぐらいまでが好ましい、この隠しきれないフェロモンというか、そもそもアニメやゲームの女性キャラは年齢よりも若く見えるのが多いし、だからこそ萌える。



「おーい、小僧聞いてるのじゃー?」

「え? ああ、はい。でも師匠、何十年もずっとその姿ですよね」



 空気が一瞬にして張り詰めた。

 え。俺何か変な事でも……うあああああああああああああああ。

 そ、そうだ。

 師匠が耳が長いエルフ! かもしれないのは攻略ページと初期ラフイメージの設定で、歳をとらない設定も俺が知っていい話ではない。

 まぁ現代人なら誰がどう見てもエルフなんだけど。



 師匠がいつの間にか出した杖をクルッと回転させるとコンコンと複数回床を叩く。



「どういう意味じゃ?」



 俺の返答次第では攻撃魔法が飛んできそうだ。



「いや、いつまでも、いや昔からボンキュッボンの可愛い師匠だろうなぁ……って可愛すぎて歳をとるのが想像出来ないです!」

「…………まぁそういう意味なんじゃの、考えすぎじゃかのう……ごほん! わしとて歳はとるに決まってる! 後5年もすればお主も立派な青年じゃ。ワシなど忘れて早く結婚でもするんじゃのう」



 それはこまる。

 俺が転生した意味がなくなるからだ。

 ……いや、別に好きで転生したわけじゃないけど、せっかく『マナ・ワールド』の世界、しかも本編前に来たのだ、やりたい事をやるのが一番。



「申し訳ございません、メル様。サンドベル様がお呼びです」



 アンジュが授業中というのに師匠を呼びに来た。



「よし、お主らサボるなよ」

「ふん! クロウベルと違ってサボるわけがない」

「はーい」

「サボった事ないよ!?」



 それぞれ返事をすると師匠とアンジュは部屋から出て行った。

 とたんにソファーの上に寝転ぶスゴウベル、うーんサボリの姿勢だ。


 俺とアリシアは顔を見合わせて少し笑った。



「俺はいいの。いまにお前ら二人に勝つから、いやーしかし俺にも魔法の才能があるとはな……土か。おいクロウベル! 土の魔法はなんだ!」



 なぜ俺に。



「土はストーンアタック。ストーンバリア。それぐらいですかね」

「すくなくねえか?」



 もちろんもっとある。

 水魔法ぐらいに地味だけど最終的にはゴーレム召喚があるけど、教えない。



「スゴウベル君、たしかゴーレムを作れる魔法とかあったかも」



 なんてアリシアは優しいのでしょうか、スゴウベルは「まじで!?」と起き上がるとアリシアに詰め寄っていた。

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