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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


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第54話 事後報告からの対策チーム

「と、言うわけでクウガはお亡くなりなりました」



 一度小屋に戻って来て説明する。

 実際には生命の一時停止とか言っていた気がするが助け出さないと死んだのと同じ。


 小屋の中には全員が戻っていて、俺は近くの椅子に座っている。

 俺の声は全員に届き、昼食の準備をしていたアリシアはオタマを落とした。



「まぁでも聖都に行くだけなら問題ないしアリシアの治療をして終わりかな、ねぇ師匠」



 俺の真正面に座っていて、話を聞いていた師匠は足を組みなおす。



「そうじゃな……別にあの小僧がいなくてもアリシアの治療には問題ないし逆にいない方が楽になるのじゃ」



 突っ込んでくれるかと思ったが、師匠が案外乗り気だ。

 そういえば師匠も別にクウガがどうなろうが、アリシア優先で動いていたし、そりゃそうか……そうなのか?

 アリシアの事を思ってか、クウガを助けていたけど師匠とクウガには接点がほぼないし。



 攻略ページでもクウガが師匠と会うのは本編後のフェーン山脈に行った時だし。



「んと、どっちからお説教したほうがいいかな?」



 オタマを拾い顔を上げたアリシアの笑みが怖い。

 珍しく片手でオタマをパンパンと叩き、その音が余計に恐怖心をあおる。



「アリシアよ、ワラワのは冗談じゃぞ?」

「うわ、師匠ずるい! 絶対さっきの本当だったよね? アリシア、俺も冗談だから!」



 アリシアは笑みのまま無言だ。

 ポンポンポンとオタマを手で鳴らす音だけが小屋の中に聞こえる。

 ミーティアが小さい悲鳴を出して、クィルは口を押えた。


 声を出したらやられる……。



「2人ともお尻だしてね」

「うわっアリ姉ちゃんのお尻叩きの刑だ……孤児院で伝説となった恐怖の1万叩き……」

「いっ!?」



 普通百叩きでしょ!

 それでも多すぎなのに万って何、万って。



「アリシアさん落ち着いてくださいー、クロー兄さんもメル姉さんも少し冗談をいっただけですので、あれでクロー兄さんはクウガさんを凄い気にしてるんですよ」



 よくいったノラ! もっと言って。



「んーノラさんがそういうなら、でも本当かなぁ」

「では。クロー兄さんはクウガさんの腕前や周りの評判とか、嫌いな食べ物のチェックや、苦手なモンスターなど調べてるんだよ」

「ノラ! な、なぜそれを」

「本当!? へえクロウ君そんなにクウガ君の事を思っていて……」

「ちがっ」



 俺が違うって言っているのにアリシアは「照れてるー」ってからかってくる。


 俺がクウガの腕前を知りたいのは殺されたくないから。

 俺がクウガの嫌いな食べ物のチェックは、嫌がらせをしたいから。

 苦手なモンスターがいたらクウガを突撃させて嫌がらせをしたいから。



「…………まぁお説教がないだけいいか。ノラありがとうな。じゃっ本題って事で。とにかく邪神は願い事を叶えたくてしょうがないらしい」

「願い事!」



 ミーティアが騒ぎ出す。



「やっぱりミーティアちゃんも行けばよかった。何でも金塊に変えてくれるんだよね?」

「呪イ? 大好キ」



 話聞いてた? このお子様と獣人は。



「先に説明したけど、思い入れのあるアイテムを上位の物に変える邪神だよ邪神。本人は女神だって言い張るけどな、師匠何か知ってたんじゃ」

「知らぬのじゃ、ここは仮拠点だったしの…………そういえば」



 師匠が何かを思い出したようなので全員が黙る。



「昔一晩で消えた王国がこの場所にあったような……」

「もうそれじゃん」

「クウ兄さん大事な物って一番大事じゃないとダメなの?」



 ノラがて小さく手をあげながら俺に聞いてくる。

 なるほど、そこは盲点だった。

 さすがはノラだ。



「そこそこ……らしい。俺が試しに実家から持って来た全然思いれもないハンカチを入れたら取られて終わった、少し思い入れあるアイテムを持ち寄ってみる?」

「金塊♪ 金塊♪」



 だから金塊を貰えるわけじゃなくて……そもそもクウガを助けるためだって言うのにミーティアは既に金塊を貰うつもりだ。何を泉に投げるんだ?



「準備出来たら邪神の泉に行くか」

「はーい」



 クウガを除くパーティーとなった俺達は邪神の泉に馬車で来た。

 全員がどれを泉に投げるのがは秘密であり、ちょっとしたかくし芸みたいで内心は楽しい。


 人の不幸とはいえ内心は楽しい。



「ミーティアちゃん凄いワクワク」

「こらっ」

「だってさ、ミーティアちゃんにかかればクウ兄ちゃんも助かるしお金も増えるし、クウ兄ちゃんがミーティアちゃんに惚れる事間違いなしだしー」

「わたシもがんばル」



 凄い自身だ。

 控えめなクィルのほうが安心感があるな。



「クロウ君。本当に女神様を満足させればクウガ君を助けてくれるんだよね?」

「ああ」



 たぶん。



「なに、最悪その泉を消滅するって脅せばまぁなんとかなるだじゃろ」



 師匠の言葉にアリシアが「争い事はだめだよ?」と言ってけん制しはじめる。

 そんな軽い話をしていると泉の前についた。




「おーい! 邪神ー来たぞー!」



 泉の水面にさざ波が出来ると池全体から手が出始める。



「ひいいいいいい! ミーティアちゃんげきこわ!!」

「くろうベル! 撃ツ。めいれイ!」

「回復は任せてっ!」



 俺は3人を手で制する。



「だれが邪神よ”よ”よ”!」



 手を分けて半裸の女性イズーミが出て来た。




「ミーティアちゃんよりもおっきい」

「ドアホウ……ああいうのが好みなのか?」

「あの、今は俺の事は関係なくてですね……クウガを助けたいんでしょ?」

「人間がいっぱい! 流石女神をたらし込んだ人間ね、お姉さん大好き!」



 俺はどうでもいい。

 いや、嫌いよりか?



「ええっとだな、先ほどの案件を持ち帰った結果。俺一人解決出来なさそうで、これだけいれば願い事叶えてくれる人間が1人ぐらいいるんじゃないかなって」

「ふんふんふん。じゃぁ貴方のそこそこ大事な物を湖に投げ入れて、正直者にはご褒美。悪い人は没収します」

「おいドアホウこっちじゃ」



 師匠が俺の名前を言ってくる。



「あら、貴方ドアホウって名前なの? 人間なのにイジメられてるのかしら?」

「話がややっこしくなるなら、イジメらてるわけじゃないし、師匠にならイジメられてもいいし、とにかく呼んでるからちょっとまってくれ」



 俺は師匠の横に来ると耳を貸せって言うので顔を近くに寄せる。

 小さい声で俺にだけ聞こえるように喋るつもりだ。



「あの女神……は馬鹿なのじゃ? 正解を教えれば簡単じゃろ。さっさと小僧を取り戻すのじゃ」

「いや、俺もあえて突っ込まなかったんですけど……自信たっぷりって事はたぶん裏があると思うんですよね」



 だって、自分で正解を言えばグレードアップしてくれるって言うんだ。それを見越して金を稼ぐ奴だっているに決まってる。


 あくまでソコソコ大事な物なら上位に交換してるのだ。

 それを売って助かる人間も沢山いるだろう。

 話が上手すぎるのだ。



「一番ミーティアちゃんいきまーす!」

「本当は順番は逆なんだけどね。よーし女神イズーミがんばっちゃうわよ。9998人目の人間さん。貴方が落としたのは……って言ったら落としてね」

「はーい。えい!」



 ぼちゃん。と音がすると水面に何かが落とされた。

 湖の中から手が2本でた。



「貴方が落としたのは、この銀のネックレスですか? それともプラチナのネックレスで耐火、耐水、魔攻、魔防、クリティカル効果が付いた迷宮王妃のネックレスですか?」



 うわー高そう。



「ミーティアちゃん!? あの銀のネックレスって冒険に出る時に近所のシン君がくれた奴じゃないの!?」

「うん。そうだよ? 売るに売れなくてさ……安いし」

「安さじゃないよね?」



 うわぁ。

 俺は詳しい事はわからんが、そのシン君ってミーティアの事が好きとか、そういう気持ちであげたんじゃないだろうか。

 何て言うかかわいそうに。


 まぁでも、正直に『銀のネックレス』って言えば飛んでも性能が貰えるんだし役にたったか。



「そんなの当たり前じゃないですか、ミーティアちゃんが欲しいのは!『迷宮王妃のネックレス』! …………え!? なんで!! ミーティアちゃんちゃんと『迷宮王妃のネックレス』って言ったよ! あっまた違う言葉にいいい」



 湖の自称女神イズーミがにやっと笑う。



「この取引にウソはつけないの。じゃぁこれは没収ありがとう」



 銀のネックレスと迷宮王妃のネックレスは湖の中に消えていった。

 この邪神めえええええええ、そんな事だろうと思ったよ!


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