第444話 貴方たちって人は本当に迷惑ばっかり(副校長談
クローディア副校長。
綺麗な妙齢の人で俺を見ては哀れみの顔を見せて来た。
「クウガさん、貴方って人は」
「あ、俺の中身クロウベルね」
「…………っ」
クローディアは俺を見ては眉を八の字にする。
怒ってるけど、間違えたのはそっちだし。
「クウガさん!!」
「は、はい」
クウガは俺の姿でクローディアに土下座した。
俺の土下座ってこんな姿なのか、黄金比が綺麗である。さすが俺。
「次から次に貴方たちって人は……」
「達って、俺が悪いの!?」
「クウガさん、あなたが悪いです!」
「いや、俺クロウベル」
「っ!」
恥ずかしのが顔を赤くし始めた。
「副校長よ。すまない……自分のせいだ」
そう謝るのは、ジークだ。
だよな。
誰か一番悪いかって言うとジークしかいない。
「そう、ジークが悪い。俺達だってまさか入れ替わるとは……」
「謎の決闘をしていた2人が悪いです」
たんたんと事実だけを言うクローディアが怖いです。
え。クウガっていつもこんなプレッシャーの中で仕事してるの? 胃に穴開かない?
「とにかく、入れ替わった事はもう仕方が無いです。元に戻すようにお願いします。明後日には遠征出張が始まりますので」
「と、言われてもな」
俺が言うとにらんできた。
「クウ………………ロウベルさん!」
「お、ぎりぎり耐えた」
「冗談を言ってる場合では」
「うい」
怒られる俺。
「俺だってクウガの恰好のまま生きたいとは思ってないし早く戻りたい」
「僕だって! 尊敬はしてますけどなりたくないです!! こんな悪人顔になんて! ………………あっす、すみません」
「別にいいよ。本当の事だし」
俺って目つき悪いもんな。
アンジュから15歳までは可愛い顔でしたのに。ってよく言われたもんだ。
俺もそう思う。
目の前には目つきの悪い悪人青年がクローディアに訴えかけてるにしか見えないし。
俺は小さく手を上げた。
「何でしょう?」
「ジークが副校長を呼びに行ってる間に、俺もクウガも努力はした。見てよこのたんこぶ。ちょっと血の跡もあるでしょ?」
クローディアが俺の頭を触りだす。
たんこぶになっていてちょっと痛い。
「いっ」
「優しく触っていますので……どうしたんです。この傷は」
「頭をぶつけたから入れ替わったのなら同じく頭をぶつければ。と俺とクウガが回復魔法を使いながら頭が割れたぐらいにぶつけあって……この結果」
「…………それは」
クローディアが黙りだすと、静寂が訪れる。
誰も何も解決方法がないのだ。
「クロウベルよ。お前は何故そんな冷静なのだ?」
「ぜんぜん冷静じゃないけどな。この体で2人を抱いたら浮気になるのか浮気じゃないのかについて考えていた所」
そう。
体はクウガ。心は俺。
ネトラレになるのか。ってか抱きたいけど後々の事を考えると抱きたくはない。
が、男としてはだ。
このでっ! のナニが付いてる体を試したいのもある。
「クロウベルさん!! ………………うわ。本当に小さい」
俺の体でズボンをひっぱり中身を確認するクウガ。
「小さくないからな!? 持久力や耐久だってあるんだし!!」
「それで言えば僕のだって」
「何を言っているんですが!!!」
雷級の怒りが飛んでくる。
俺もクウガも自然に正座。
事故であって悪くないのに正座。世の中辛い。
「………………混乱を避けるためにこの事は公にはしないほうがいいでしょう。ジークさん、引き続き解決方法があれば試してください。書庫室の鍵はありますよね。わたくしは冒険者ギルドに行きます」
「なんで?」
俺が言うとクローディアは、ゴミを見るような眼で見てくる。
「そんな事もお忘れに、ギルドでの速達です」
「あ。俺クロウベルね」
「っ!?」
「も、申し訳ございません」
俺は手をひらひらさせて謝罪を受け入れる。
しゃーない。
俺も混乱しそうだし。
「ってかトイレ行きたいし、腹も減ったんだけど」
「クロウベルさん。僕の姿で緊張感無い事を言わないでください」
「いうよ!? 人間の三大欲求だよ? 別にいいよ? 俺はクウガの姿で漏らしてもさ」
「………………行ってください。とにかく直ぐにアリシアさん達に解決策が無いか連絡しますので。混乱を避けるために内密にお願いします」
「うい」
俺が返事すると、文句を言いたそうな顔でクローディアは屋上から帰る。
ジークもすぐに書庫室で魔導書を調べてみる。と言っては消えていった。
残ったのは俺と俺。
じゃなくて。俺と俺の恰好をしたクウガ。
「じゃっ。トイレ行くから」
「ま、待ってください! 僕の姿であっちこっち」
「だからトイレだって……終わったら校長室に行くから……」
必死な俺の姿のクウガを振り切ってトイレに行く。
「でっっっ!」
事をすまして手を洗い廊下にでる。
しかし、体はクウガか……。
「一番いいのはここでクロウベルを殺して俺がクロウベルに成り代わる。そしてメルギナスとアリシア含むハーレムを作るのが話の流れ的にまとまるのか?」
歴史の修正。
どうやっても起こる事実を無理やり修正しようという揺さぶりだ。
「まっ。俺はやだけどな」
記憶喪失イベントはあっても、入れ代わりイベントは無い。
だって入れ替わる人物がいないから。
──
────
校長室に走って入ると、俺の姿をしたクウガが驚いてみて来た。
「何かわかったんですか!?」
「はぁはぁ……お前すごいのな!」
やっと喋れる。
「な、何がです?」
「ここに来るまでに女に3回襲われたぞ!!」
「ああ……ええっと……もしかして」
全力で首を振る。
「すわけないだろ……ちょっと確認してもらいたいって聖騎士の女性が来たと思ったら茂みに押し倒されて……走って逃げた」




