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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


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第45話 クィルの恩返し

「あの……」

「なんじゃ? 意識戻ったのじゃ?」



 俺を運んでくれている師匠に声をかけた。



「運んでくれるのはいいんですが、この状況は?」



 俺の両手を師匠がもって、足の方はクィルが持っている。

 形としてはキャンプ場にあるハンモック。その網の部分が俺というわけである。

 もしくは空中ブランコのブランコ部分。


「仕方がないじゃろ、ワラワとて男一人背負って動きたくはないのじゃ」

「安心シて、クィル。くろうベルまもる」

「ミーティアちゃんもいるしー」



 1人だけ不安な奴がいるが、そういう理由なら仕方がない。



「動けそうなのじゃ?」

「まだ、力入りませんね」



 師匠の胸を見ながら俺は力説する、この状態で見ると師匠の胸の圧が凄く今にも押しつぶされそうだ。



「仕方がないのう……無敵のドアホウも流石なのじゃ」

「嬉しそうなのはいいですけど、俺は一度も自分の事を無敵とは言った覚えないですけどね……」

「ふむ」

「ばっ!?」



 師匠が突然に手を離した。

 後頭部を守るのに頭を押さえ地面に叩きつけられた。

 足の方もクィルが手を離してくれて俺はごろごろとのた打ち回った。



「痛っ! 師匠!!」

「なんじゃ、動けそうじゃの」

「…………ソウデスネ」



 起き上がり体を確認する。

 疲労感が凄いが何とか歩けそうではある。



「歩きますけどね……歩けばいいんでしょ」

「ふん。そう不貞腐れるなのじゃ。少しは心配したのじゃ何、地下への場所はギルドに伝え封印したほうがいいじゃろな」

「そうしたほうがいいと思いますよ」



 地下下水道を抜け日の光を浴びた。

 クィルと師匠は冒険者ギルドにいき、俺と半裸のミーティアはそのまま旅館へと戻る。


 部屋にはいるなり俺は畳へとうつ伏せで寝そべった。

 元日本人というだけあって畳が気持ちい。



「疲れたああああ……もう疲れた! 疲れたったら疲れた! あー師匠成分が足りない、師匠ーおっぱっぱっぱっぱおぎゃーおぎゃーあっぶっぶっぶ…………あっ」

「お、おかえりクロー兄さん」



 俺が手足をパタパタさせていると、座布団に座ったノラと目が合った。

 気まずい。



「ノラ、ノラのお掛けで助かったよ」



 俺は起き上がり座布団へと座りなおす。



「うん。さすがはクロー兄さん。今の事無かった事にしようと、それよりごめんなさい」

「何が?」



 ノラが謝る理由がわからない。



「ツボ割ったとか?」

「普段からツボなんて持ってないよね?」

「じゃぁ財布から金をとった?」

「ボクのお小遣いはまだまだあるし、そんな事しないよ」

「って事はあれか、俺の着替えを覗いてしまっ――」

「それはボクが謝る理由にならないよね? クロー兄さん割とどこでも着替えようとするし、逆にクロー兄さんがメル姉さんの着替えを覗こうとして怒られてるよね」



 じゃぁなんだ。

 お手上げである、手をあげるとノラは小さくうなずく。



「ボクだけが気にしていたみたい、1人で大丈夫って言ったのにメル姉さんに伝えちゃって……」

「ああ、その事か。いや普通に助かったよ、それがさ聞いてくれあのミーティアが――」



 俺はノラに不満をぶつける。

 全部喋った所でノラはミーティアの事を羨ましがった。



「いいなぁ」

「話聞いてたノラ?」

「もちろん聞いていたよ。クウー兄さんと一緒に強敵に向かって撃退したんでしょ。更にお宝まで。うん、今度はボクも危険な場所見つけたら進んでみるね」

「本気で辞めてくれ」

「もちろん冗談だよ。じゃぁクウガさんの看病行ってくるね。着替えの時間だからこっちにいたんだ」



 ノラは俺に手を振って部屋から出て行く。

 入れ替わりにクィルが入って来た。


 クィルはテーブルを挟んで俺の前にすわると黙って俺を見ている。

 俺の方も特に話す事は無いので黙っている、何この時間。



「なにかな……?」

「クィルお礼すル」

「ええっと、それはどうも」



 クィルは立ち上がると服を抜き出す。



「は?」

「ふう……ギルドから帰ったのじ…………ゃ?」



 俺が疑問符を出すのと師匠が帰って来たのが同時だった。

 クィルのほうは上半身は脱ぎ終わっていて今から下半身を脱ぐ所だ。パンツに手をかけている状態で手を動かしている。



「ふむ。邪魔したのじゃ」



 怒っている感じも嫉妬心ゼロに近い師匠の声が聞こえ扉が閉まる。



「いやまって! そこはもう少し。怒った顔でライトニングフルバーストでしょ! ねぇってば! クィルとりあえずお礼と言うのなら服着てまってってて」



 扉を開けて廊下を歩く師匠の腰に手を回す。

 もうぎゅっとして離さない。



「だああ! なんじゃドアホウ。別にドアホウが何をしようとむしろワラワから離れるならそれでいいのじゃ、3時間ぐらいあればスッキリするんじゃろ?」

「違うですって! あの痴女が勝手に脱いだだけで俺は何一つ」

「はーなーせーなーのーじゃー」

「部屋に戻るまで離しません!」

「く、このど、ドアホウ病み上がりのくせに力が強すぎる」



 俺とて必死だ。

 あのまま誤解を解かないと数日後には師匠のパーティーから追放されて、クウガ達にもクィルとまぐわった罪で追放されるだろう。

 残るのはソロ、この世界に来た意味も何もない本当に無意味な。



「わ、わかったのじゃ! だからヘソに指を突っ込むなのじゃ!」



 師匠の許しがでたので俺は立ち上がり腰から手を離した。



「別にドアホウの肉体関係を縛ろうとは思ってないのじゃ……男とはそういうもんじゃろ?」

「師匠わかってませんね。俺みたいな陰キャはとっかえひっかえしないんですよ。クウガじゃあるまいし」

「クウガはそうなのじゃ?」

「そりゃもう、とっかえひっかえですよ………………たぶん」



 その話は置いておいて。と師匠をエスコートした。

 俺が部屋の扉を開けるとクィルが服を着て待って座っている。良かったちゃんと服は着てるようだ。



「さ、師匠入って入って」

「言われんでもワラワ達の部屋じゃ入るのじゃ……長い話ならワラワが茶でも入れてやるのじゃ」



 師匠がお茶の用意をしているすきにクィルに話しかける。



「で。なんで脱いだの!?」

「おれイ」

「命を助けた理由でホイホイ脱がないの」

「ちがウ。こレ」



 クィルは腕を見せた。

 黒いリストバンドにも見える腕輪が装備されている。



「ああ『黒狼の弓』か」

「のじゃっつめった、こぼしたのじゃ!!」

「あれ、師匠お茶こぼしたんですか? もう本当に歳なんですから」

「殺すぞ」



 やばい、語尾がなくなった時の師匠は本気でキレてる。



「冗談ですってお茶入れるのかわりましょうか?」

「いらんのじゃ! クィルよ冷茶じゃ飲むがよい」



 クィルと師匠の分の冷茶が運ばれて俺の分がない。

 文句を言おうと師匠を見ると冷ややかな目をしてるので俺はお茶のことは忘れる事にした。



「しかしまぁ……そういえば何を盗って来たとは聞いてないのじゃ、『黒狼の弓』……少し腕を見せてみろなのじゃ。確かに張り付いた腕輪には魔力が感じ取れる、見た感じ少ない魔力にしか見えないのじゃが細部にある術式……本物のようじゃな……旧時代の奴じゃぞ……あのミーティアって小娘が指輪を握って喜んでいたのじゃが……」

「この武器のおれイ……クウガに言ったら、お礼を伝えと。クィル出せるのは体。一晩ならナンカイでもイイ」

「よくないからね」



 クウガがお礼言えっていったってまさか体とは思ってもみない。たぶん。



「クィルだってクウガが好きなんでしょ?」

「亜人、つヨイ奴がすキ。クィル、お金ナイ」




 そうはいっても、ここで『はい』を選ぶほど俺は愚かではない。


 クィルが俺に説明している間にも師匠はクィルの腕を触っては動かして見たりしている。その行動が指に行ったり肩を触ったりでクィルの話が半分ぐらいしか入って来ない。



「なるほどなのじゃ。ドアホウよ、一晩じゃなくて1年ぐらい性奴隷として契約したほうがいいなのじゃ。なにノーマルプレイであれば壊れはしないじゃろ、一応聞くがドアホウはノーマルであってるなのじゃ?」

「ワカッタ……1年がまんスル」

「ノーマルもノーマルですけど! さらっと変な事言わないで、クィルも拒否を」

「勿体ないのう……クィルよ。ドアホウがこう言っているんじゃ、礼は言葉だけでいいじゃろ、さて『黒狼の弓』これの使い方を教えてやるのじゃ」



 師匠がいつになくノリノリだ。



「わかるんですか?」

「ワラワを誰と思っている」

「そりゃ魔……法使いメル」



 あっぶな、魔女って言いそうになって思いっきりにらまれた。

 


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