第437話 名前かぶっちゃってた……もう修正がきかな……
呆気にとられる街兵の肩をポンとおいてクソ兄の跡を追う。
1階に行く階段前で義手を鳴らしながら俺を待っていてくれた。
「おにいたま!」
「気持ち悪いわ!!」
俺の眼玉めがけて義手が飛んできた。
両手でキャッチしなければ刺さっている。
「あぶねえ! 殺す気かこのクソスゴウ兄!」
「ちっ! お前が気色悪い声を出すからだ! クソ愚弟」
騒ぎを聞いて街兵の何人か武器を構えて俺を見る。
スゴウベルの命令があれば一気に襲い掛かって着そうな雰囲気。
「ここでお前を殺してもいいが、どうせ抵抗するだろ?」
「当り前だ!」
「ふう、お前には命を助けてもらった借りがある、ここは大目に見よう。コイツはスタン家を追放された元貴族のクロウベルだ。スタン家当主スゴウベルが引き取る」
スゴウベルが宣言すると、街兵達が武器を収めた。
ほう、命令1つでこれとは、結構偉いんだな。
「命って10年以上前のアレの事。正直あれは俺がもっとうまく立ち回っていたら安全に行けた気がするし、恩に思われても迷惑なんですけど」
地下下水道の戦い。
若気の至り。と言うか、俺がもっとうまく立ち回っていたらスゴウベルも義手にならずに……俺の父であるサンドベルも禿げにならなくてよかったのでは? と。
「俺様はお前の嫌な事を進んでする、いい兄貴だからな」
意味が違う気がする。
「しかしだ。街の外で暴れた魔法使いがいる。と報告が入り。その特徴が『水魔法』と聞いて確認しに来てみれば、こんな事なら確認しに来なければよかった」
「誰も来なかったら逃げだして屋敷行くけど、道中である事ない事言いながら行進しようか?」
「冗談に聞こえないな」
「冗談じゃないもん」
スゴウベルが黙りだしたので俺も黙る。
途中ですれ違う街兵が、引きつった顔で俺達へと道を譲ってくれた。
「まぁ別にスゴウベルに会いに来た。と言うか会わなくても良かったんだけど。黄昏のミザリーの屋敷ってわかる?」
「…………記憶喪失になった令嬢の家か?」
「さすが、女好き!」
「貴族会で有名な令嬢だ。俺も会いに行こうとして現地まで行ったが若い執事に断れてな……俺よりもアイツのほうが詳しい。外で待ってるはずだ」
アイツ?
誰だ。
スゴウベルについて行って牢屋の建物から抜けると、金髪美人の女性が走って来た。俺の顔を見ると笑顔で近づいて手を握ってくる。
「もしかして……少女時代はソバカスがあって、髪を三つ編みにしてミミズが好きで俺やスゴウベルにミミズの弁当箱を見せては喜び、ある日ギルドマスターの父親の弁当箱と間違えて大目玉くらい。同姓同名の踊り子がいるスターシャか!?」
「凄い説明どうも!! 最後のは私には関係ない!」
関係も何も俺の記憶の整理のためだけの説明だし。
「ソバカスも髪も三つ編みじゃないから、一瞬だれかと」
「思いっきり当ててるじゃねえか。俺の妻だ」
「どう!? びっくりした!?」
ええ、ああ……うん。
ノラから聞いていたし。
「びっくりした」
「棒読みよね?」
「こいつの事だ。事前に知っていたんだろう、それよりも黄昏のミザリーの事に詳しいはずだよな」
「そりゃまぁ……1夜にして突然に消えた令嬢でしょ?」
「突然?」
知らないの? と言う顔で聞いて来るが知るはずもない。
駆け落ちしたのは知ってるけど。
「嵐の夜に起きた雷鳴。その音が消えた時にミザリー令嬢は消えたのよ」
「人間が消えるわけないだろ」
「そう思うでしょ。幽霊屋敷って噂で屋敷はそのままなはず。詳しい事はパパに聞けばわかると思うけど。え、クロウベルって、そうなの!?」
何がだ。
「そうって?」
「クロウベルって昔から自分に都合のいい考えしか持ってなくて、年増の女性を追いかけて貴族の地位まで捨てたのでしょ? 今さらそんな令嬢を探して取り入る気とか」
これだから幼馴染って怖い。
俺にとってはこの人が幼馴染になるのかな。
どちらかと言うとスゴウベルが幼馴染になるんだろうけど。
なお、ゲーム本編ではこの女性はいない。
俺が街を支配していて逃げたのか殺したのか……その辺は謎。
「何所の年増の女性の事を言っているか謎なんだけど、メルナとは子供もいる」
「嘘でしょ……!?」
皆こう言うんだよなぁ。なぜか。
「なぁそう思うだろ? あの街に来ていたヒーラーの女性とも子供がいるらしいぞ」
「うわ……2股とか最低。これだから貴族ってどんな弱みを握ったのかしら」
「握ってないからね!? それよりも令嬢の実家を知りたい。出来れば令嬢がもっていた私物が欲しい」
「意味が解らなさすぎ」
それ以上の説明は長いんだもん。
仕方が無いので、クウガが記憶喪失になり令嬢が持っていた記憶の戻る薬が欲しい。と伝えた。
「じゃぁミザリーさんって記憶があったって事!?」
「最初は記憶喪失と思うよ。まぁでも最後はあったのかも」
「どうしてクロウベルが知ってるのよ」
………………そりゃそうだ。
しまった。
適当な言い訳全く考えてなかった。
「夢で見た!」
俺の宣言に、2人とも黙ってしまった。
「じゃなくて……本で読んだ!!」
2人まだ黙っている。
「と、言う事では無くて……本人から聞いた!!」
「じゃぁ本人から薬貰えばいいじゃない」
それはそう。
「と、いう願望を望みつつ」
「はぁ……もういいわよ。貴方って昔から変な予言してたし……知ってた? 一部の偉い人から気味悪いって言われていたのよ。ミザリーさんのいる家はクラック王国周辺にある別荘地にあるわ。跡継ぎもいないし現在封鎖されてる、パパに言えば鍵ぐらいは手に入るけど」
「まじで!?」
──
────
王都に近い貴族の別荘地。
森に囲まれた貴族の家に鍵を開けて入る。
屋敷の中はついさっきまで人がいたような感じに荷物がそのままだ。
「ほこりはかぶっているけどな」
1階から魔力に反応するのが無いか調べていく。
ほんのり魔力を帯びた武器はあったが薬のようなものはない。
使用人の部屋も同様だ。
ミザリーの部屋を調べたくはないが調べる。
引き出しの中には下着が沢山入っていて……触りたくない。
意外に思うかもしれないが、触りたいのはメルナのあって……アリシアのは触らせてくれるなら触る。と言う感じ。
それ以外の女性のは興味がない。と言う感じである。
その下着の引き出しをひっくり返しても何も出ない。
「あれ……? これって」
引き出しの奥から棒状の魔石が出て来た。
俺の記憶が確かなら飛来の魔石。
よくメルナが魔力を込めて遠くに飛ぶときに使うやつ。
AからBに瞬間移動。
「嵐の夜に消えたか……」




