第424話 もう賭け事はしないと賭けます!
久しぶりにゆっくり寝た気がする。
別に城でも寝れてたけど、元々ダンジョンだしな。
寝ていて魔物の鳴き声とか叫び声。
魔物同士の戦いの音とかリラックスもしにくい、でも街だったら安全だ。
欠伸をしながら横を見る。
俺の横では裸のアリシアがまだ寝ていて、その柔らかい鼻を摘まむと手をパタパタしては苦しがっている。
「昔こんな玩具あったな」
手を離すと『ハバネロはもう食べれないよ……』と寝言を言いながら寝てるのでそっとベッドから出た。
今日の予定は『転移の門』を使ってファーストの街に行く。
使い方はアリシアが覚えてるので俺はそれについて行くだけ。
しかし、まぁ昨日は最悪だった。
カジノで勝負なんて誰か言ったんだ……でもさ、ゲームではちゃんと勝ったんだよ? あっちはスロットゲームが合ったけどさ。
しかしまぁ、いよいよ金を稼がないと……そもそもだ。
「俺が稼げる奴ってなんだろ」
冒険者ギルド未登録。
貴族でもない平民。
腕はそこそこあるけど強い敵とは戦いたくない、痛いの嫌いだし。
政治系の金策は無理、貴族の知り合いいないし。
どこかの国に加担するような事はしたくない。
これは王国と帝国は友好国であるけど、戦争になった時に困るから。
「クロウ君難しいかおー…………」
「おっと、おはよう」
「おはようクロウ君。何考えていたの?」
上半身をおこしたアリシアが欠伸をしながらだ。
「金策」
「クロウ君は大丈夫だよ? 頑張って造花作るから。それにサクラとスミレが大きくなったら迷宮に潜るし」
「そこよ。だったら俺1人先に潜ってもいいわけで」
「クロウ君1人にしたらまた死んじゃうよ!?」
死なないからね。
過保護というか、この辺はメルナもいれて相談したほうがいいな。
「死なないから」
「で、でも!」
心配するアリシアをよそに部屋がノックされた。
アリシアがベッドから出ようとしたので俺は手で制して扉を開けた。
少し歳をとったアンジェリカが俺を見て、部屋の奥にいるアリシアを見た。
「よう」
「………………『よう』じゃないのよ。普通開ける?」
「開ける? ってノックされたら開けるけど?」
「そうじゃなくて、見たくもないモノを見せるなって言ってるの! 後ろのアリシアさんも裸じゃないの」
おっふ。
そういえば裸だったのを思い出す。
俺は無言で閉めると慌てて衣服を着る、アリシアのほうも急いで服を着だした。
扉をそっと開けると腕組みで怒ってるアンジェリカが廊下で待っていた。
「生き返ったって聞いて見に来てみれば」
「アンジェリカさんお久しぶりです」
「アリシアさん、お久しぶり」
俺のほうを見るので「うっす」だけ返す。
開いている椅子にアンジェリカを座らせると、手土産にパンやワインを持ってきたようだ。
「はい、お土産。6年ぶりに会って……まぁいいわ。あの……聖騎士隊にあまり迷惑かけないでね」
「かけてない」
「アメリン副隊長が嘆いていたわよ『先輩、あの男は頭おかしいです!』って」
「クロウ君は頭いいのに!?」
アンジェリカが何か言いたそうにしているのを無視して俺は話題をかえる。
「それよりもアンジェリカって聖騎士隊引退したのか?」
「もう年齢も年齢よ。それに子供も大きいし危険な仕事は一旦終わり」
クウガとの子だっけか。
アンジェリカの妹。フレイもクウガの子がいるはずだ。
「あっそうだ」
「お金なら貸せないわよ?」
「仕事ない? 1億ぐらい稼げる奴」
「あると思ってるの?」
もっともな返事だ。
俺も別にあるとは思ってない、アリシアも「クロウ君そんな都合いい話ないと思うよ?」と苦笑するぐらいだ。
「あるわよ」
「だよなぁ……せめて雑魚敵からお金でも落ちればな」
そう、やっぱり無いか。
ゲームでは敵を倒すとお金が落ちるのに、この世界では落ちないってどういう事やねん!
文句は言うけど納得してる部分もある。
例えばスライム1匹から1ゴールド出たとしてだ。
絶対に何万匹も倒す奴が出てくる。
そうなると世界的にインフレになるし、そもそも人が作った以上の金貨が流通するのもおかしい。
「クロウ君!」
「なに? アリシア」
「アンジェリカさんが1億の仕事あるって……」
え?
「まじで!?」
「その相談もかねて来たのよ……借金キングが出来そうな仕事を斡旋ね。それなのに扉を開けたらぶらんぶらんぶらんと、アリシアも若いわね……こっちは男なんて子を産んだらもう要らないってのに」
「俺のアリシアをいじめないでくれるか?」
アリシアが「《《俺の!?》》」と俺が言った言葉を叫ぶと顔を赤くする。
「ふふ、初心ねぇ」
「それよりも仕事。一応言うけど俺が誰かとの子供を産ませる。とか、アリシアやメルナにもそういうのは禁止で」
「わかってるわよ……帝国じゃないんだし。ネクロノミコンをとって来てほしいの」
帝国じゃないんだし。って事はやっぱクウガが女性とデートする仕事って世間一般からしたら非道だったのか。
本人も周りもやる気凄くて全然そんな感じしなかった。っと……それよりもだ。
「これまた物騒だな」
「クロウ君それって何かな?」
アリシアが聞いて来るのでアンジェリカを見る。
アンジェリカは俺を見るだけで説明はしないって事は俺が説明するのね。
「通称死者の本。死んだ人間などを眷属にして戦わせる魔法が載った本」
聖女とは逆の上級職だ。
「それがあったら……クロウ君の復活が早かったのに」
「死んでるけどな。そもそも吸血鬼の眷属みたいなもんとおもうし、動く死体とかわらんかも」
アリシアは「そっか」と落ち込み、アンジェリカが話し出す。
「とある。闇カジノの景品にあるらしく。聖騎士隊は顔が割れちゃって入れないのよね」
「でも昨日大丈夫だったぞ」
「アメリン副隊長といったほうよね。あそこは良心的なカジノよ。お客も勝ち負けよりも時間を潰す感覚でいってるはずよ」
え、でも俺速攻で金貨10枚負けたけど。
…………あっでもだ。
マーチンゲールの法則をしても煽っては来たけど禁止はされなかったな。
普通だったら用心棒などが出て来て締め出されてもおかしくない場面だ。
「受けた! が……アリシアに迷惑は?」
「クロウ君無理に受けなくても、頑張ってお花作るし」
「もちろんかけないわ。それ所か貴方にも表向きは基本迷惑は掛からない。アリシアは貴方の偽物と聖都を出た後に実行だもの」
ますます面白い。
「あの。クロウ君聞いてるかな? アンジェリカさんもクロウ君に危険な事させないて欲しぷに」
俺はアリシアの口を手で強引にアヒル口にする。
「俺の事少しは信じて」
「クロウ君…………」
アリシアは俺を見ては目をきらきらさせている、そのまままぶたを閉じると口をすぼめ俺にキスを求めて来た。
いやいやいや。
隣にアンジェリカいるんだけど!?
ちらっと見ると、アンジェリカは「空気の入れ替えするわね」と空気を呼んだ。
──
────
満足げなアリシアは横にアンジェリカが窓から戻ってくる。
本当……何かごめん。
「で……その闇カジノってどこに?」
「元スニーツ家の地下」
「え……?」
俺よりもアリシアのほうが先に反応する。
「アリシア知ってる?」
「ええっと……私の生家……だったばしょ」
「ああ!!!」
あの強欲爺さんが居た所か。
アリシアの爺さんだったがアリシアの才能を見出し小さいアリシアを監禁しようとしたとかなんとか。
結局はメルナが助け出し、1人でも生きていける知恵を教えていた。
懐かしいな俺がバラバラになっていた時期を考えると8年ぐらい前に懲らしめた事になるのかな?
「爺さんは元気?」
「もう亡くなってるよ? それに私も貴族の地位は返却してるし」
「そうなの?」
「そうだよ?」
その辺聞いた事なかったな。
「仕事の内容はわかった。壊滅させればいいわけだ」
「荒事は最後でお願いね……目的は本よ」




