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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


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第43話 この長い長い螺旋階段を

 長い螺旋らせん階段をクィルと2人で降りる。

 下に落ちいていったミーティアを助けるためだ……って普通なら直ぐに合流するはずなのにいないって事は地下を見に行ったな。



「俺が前に出るからクィル、何か異変を匂ったら教えて」

「ん……」

「弓のストックは?」



 クィルは横に首を振る。

 無いのか。


 一瞬俺一人で行った方がいいきがしたが、クィル一人で帰すのも怖い。

 無事に帰れればいいが迷子や途中で魔物に襲われましたーってなったら最悪である。



「なるべく近くに」

「ん」



 背中に重みが加わった。



「お、おもい! クィル……近くにとは言ったけどおんぶとは言ってないからね」

「くろうベル」



 名前を呼ばれたので立ち止まる。

 クィルの鼻は戦闘で役に立つのだ、そのクィルが呼び止めたという事は敵がいる可能性がある。



「敵か! 下がって」



 俺は決め顔でクィルを下がらせた。



「ちがウ。なんでやさしイ? ニンゲン、すぐ裏切る……クウガと皆以外」



 恥ずかしい。

 何が『敵か! 下がって!!』だ。



「なんでって言われても……普通……」



 いやまて、獣人クィル。

 前にも言ったけど猫系獣人でありその動きは素早く、人の本質を見るんだっけかな。

 つまりは嘘をついている匂いがわかる。というか設定があったはず。

 だからこそ、本当に親切で助けれてくれたクウガに協力する関係になったはずだ。



「いや、嘘をついても仕方がないか、死にたくないからね」

「しにタク?」

「そう。2人が怪我……最悪重症になったらアリシアから怒られるしクウガに殺されるから」

「クウガはそんな事しなイ」



 しない。と、言われてもする可能性がある以上、俺としては2人を無事に帰還させないといけない。



「でも、くろうベル。……ウソは言ってなイ? へんな人間」

「人間は皆変なのさっと、そういえば、上でボス倒して……いや倒してないか何か魔石とか落としてない? もってる?」

「あル、これ? 腕から出た……」

「よかった。それが依頼完了の品だから大事に」



 クィルは俺に黄色い魔石を見せてくれた。

 2人を無事に帰還させてもクエスト失敗しました。となると、これまた怒られる可能性が高い。


 アリシアはまぁ怒らないだろう、逆に心配してくれそう。

 クウガもまぁ怒らないかな、だって熱を出して現場に来れない

クウガ悪いから。

 最後に師匠にネチネチと言われるのも【ご褒美】……いやいや、師匠と俺の信頼関係にヒビが入る。



「わかっタ」



 クィルは小さく返事をすると俺から少し離れた。

 螺旋階段が終わると少し広めな場所に出る。

 ゲームでよくある最初の広場と言う所だろう、基本こういう場所でセーブをする。


 この世界にセーブはないので死んだら終わりだけどさ。

 敵の気配が一切ない、一切ないのはさっきの集団のせいかもしれない。


 ここにいた奴らが地上へと向かったのだろう。

 天井は大きくざっと10メートル。数字で言うと小さく聞こえるがビルで言うと3階から4階程度と言う所だ。



「それだけ降りて来たって事か、クィルもう少し離れて」

「何?」

「水龍」



 『水龍』俺が今唱えられる最大の水系魔法で、師匠がいうには『水龍陣』だっけかな。一応さ……一応魔法を唱えるのには、ながーい詠唱とかあるのは知ってる知ってるけどゲーム『マナ・ワールド』では呪文や技の名前だけなのよね。なので俺はその長い詠唱を知らない。


 知らないので無詠唱で出るまで頑張った。


 俺がウォーターボール! や、ウォーターシールド! を独自の名前で変換して唱えるのはこれが元である。


 この水龍だって最初は手乗り水龍であったが今はこんなに大きくなりました。水龍というよりはネッシーみたいな感じなのも俺が『マナ・ワールド』で見たエフェクトが元になっている。


 100人飲み込んでも乗っても大丈夫! 規模的に10人が限界だろうけど。



「クィルこれに……あれ?」



 クィルが見えない。

 壁の近くで座っていた、疲れたのか。



「クィル」



 俺が近くにいくと青ざめた顔だ。



「ん。敵!? はいないよね。クィル?」

「ひっ……呪いころさ……レル」

「誰に」



 クイルは黙って俺を指さした。



「いやなんで」

「その魔法、とてもつよい……クィル……怖……イ」

「あー……俺が出した魔法だし大丈夫。半透明で怖いだろうけど背中に乗って」

「ワ、わかった……」



 恐る恐る半透明な水龍に乗るクィル。

 首の部分を摘まんでは落ちないようにしていもらった。

 これであれば不意な攻撃でも耐えれるだろう。


 問題は俺の魔力問題であるが、今の所は大丈夫、水龍は基本オートで動く。


 俺が動くとついて来て、俺が命令するとその通りに動く。

 命令しない限りは害はない。



「水龍、ちょっとジャンプ」



 長い首をぐるっと回すと水龍はジャンプした、背中に乗っているクィルが落ちないように必死に捕まる。



「くろうベル! な、何をする……」

「恐怖心とれたかなって」

「………………」

「にらまれても、とにかくもう怖くないと思うし捕まっていて俺が命令しない限り大丈夫だし盾にしていいから」



 さて行くか。

 ってもイフの地下古代都市であれば何も問題はない。

 長く広いフロアを歩く俺と水龍。

 その足取りは軽い、水龍の背中に乗っているクィルだけはきょろきょろしているが危険な事はたぶんないだろう。



「ほらみえた」



 目の前には門が見えた、城門にもみえるし何百年と前の物なのに今の今まで使っていたぐらいに頑丈そうな大きな門。



「なニ…………ここ」

「古代都市の入り口。不思議な場所だよね、ここで大きな戦闘をしても地下下水がちょっと影響あるだけで上の街は壊れない。別次元にいる可能性もある、門の向こうは城下町が広がっているよ……今は開かないけどね。その開かない扉を必死に開けようしてるのが、あそこにいる俺達が探してる人間って所」



 ミーティアは人が入れるほどの扉に向かって蹴りを入れたり扉を引っ張ったりしている。

 なお上半身は全裸のままだ、趣味じゃないとはいえ揺れない胸を出して何をしてるんだ、目のやり場に困るわ。



「……ミーティア」

「うわ。追って来た! ミーティアちゃんは捕まらないもんねー! 開けっ何で開かないの!」

「もんねーじゃない。胸! 胸でてるから」

「ほえ?」



 ミーティアは流石に気づいたのだろう胸を片手で隠して俺に物を投げくる。



「クィルちゃん! 助けてクィルちゃん! ど、どこー!」

「こコ」



 クィル乗せた俺の水龍がぺったんぺったんと近寄っていく。



「ひえっ! ま、魔物に乗ってる!! や、やだあ…………やだああああああああああ」



 ミーティアが泣き出した。

 声が反響してうるさい。



「こ、怖くないですよー」



 水龍に命令を伝達しミーティアの顔を舐めてもらう事にする。ほーら、水龍ちゃんは可愛いよー可愛いよー。



「ひっ……」



 ミーティアが白目をむいてそのまま倒れた。足を曲げ上半身ぽんぽんのまま仰向けに倒れた。



「………………」

「………………」

「わかっタ。クィル、向こう向いてル。ミーティア意識なイ、子作りだよネ。クウガには黙ってるから」

「いや、わかってないからね! ええっと布! 破れた布あるでしょ? それを巻き付けてあげて。ついでに起こして」

「ナルホド」



 本当に解ったのかクィルは水龍から降りるとミーティアの胸を布で隠す。きつめに縛ったのだろう、ウゲッっと声をあげてミーティアの目が開いた。



「胸が苦しくてもう食べれてな……はっ!? そ、そうだド変態に襲われる夢を! クィルちゃん助けにきてくれたんだよね。クィルが悪のド変態と組んでミーティアちゃんを……」



 俺と目が合う。



「うぎゃあああああ!」

「お、落ち着け!」

「任せル」



 クィルがポケットから小瓶を出すとミーティアの鼻に近づけた。

 騒いでいたミーティアがだんだんと静かになっていく。


 何の薬だ……怖いな。



「落ち着いたか?」

「ミーティアちゃんは何時も落ち着いているしー……」

「うん。ぶんなぐりたい」



 もう少し静かにしような。



「っと、心の声と建前が逆に、とにかく帰るよ」

「なんでー! この先にお宝あるんでしょ? 盗ろうよー! ねーねード変態って言ったの謝るからさー」



 君格闘家タイプだよね? ノラみたいにシーフ系じゃないよね?



「開かないのに行くわけないでしょ」

「ぶー…………あっ!」



 ミーティアが何かに気づいたようだ。

 俺の手を取りミーティア自身の胸の所に持って来た。



「うわ。揉んだ! クィルちゃんみたよね? このド変態、ミーティアちゃんの胸もんだ! さわった!!」

「…………揉んでない! 揉むほどないだろ!」

「あるよ!! ねーねー揉んだの黙っているから行こうよー! アリ姉ちゃんが言っていたよー、ド変態は凄い人だって、だからこの扉の開け方も知ってるよね? 合言葉とかさ、クィルちゃんもお願いしてよ、いい武器が手に入るよ?」



 そりゃ知ってるけどさ。



「いうわけ無いだろ『マナ・ザ・ワールド』だなんて」

「え?」

「ん?」



 俺の言葉に反応して扉がゆっくりと開いた。



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