表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

409/456

第401話 クウガをぶっ〇せる秘密道具を出してください

 俺この冒険が終わったら結婚するんだ。

 と、訳の分からないフラグを呟きつつ転移の門をくぐる。


 目的地はヒーローズ。

 今回も『転移の門』を失敗しないように事前にノラからメモを貰った。

 メルナもいないので俺にこの『転移の門』を使いこなせる自信はない。

 ノラによると『この順番で行けば帝都の冒険者ギルドの隠し地下室にいける』って。



「よいしょっと……」



 俺達が何度も使うからなのか、『秘密の隠し地下室』なのに掃除がされている。

 出入りする時に、ギルド職員と顔があったりするもんな……。

 秘密って何?


 ちょっとした疑問はとりあえず置いて置いて今日も冒険者ギルド近くの広場に出る。


 広場では若い冒険者と年配の冒険者が訓練らしきのをしていて俺を見ては、若い冒険者の動きが止まって負けている。



 マジでごめん。

 年配の冒険者は俺を見て軽く会釈しだす始末だし。

 

 速足でその場を離れ、お土産を買ってさらに数日使ってヒーローズの街に向かう。

 


 長い!

 移動手段が長すぎる!!


 そんな文句を言いつつ。定期馬車を降りてギースの家へ。

 ドアノッカーを鳴らして深呼吸、次に大声をだす。



「ギース君助けてー!!」



 もう半泣きだ。

 言うけど、俺はあくまでゲームの知識があるだけでゲームで起きてない事は全くもって戦力外だからね。



「家の前で馬鹿みたいな声を出して何をしてる……それと自分に何か頼むときだけ、気持ち悪い呼び方をするな」

「ギース君!!」



 ギースが呆れた顔で俺を見ているので、思わず腰にしがみ付く。



「ええい! 自分にしがみ付くな! 自分と貴様はそこまで仲いい間からではない! クウガの友人って事で目をつぶっている。それにクロノスの試作型時計はどうなったんだ……」

「え。ああ……手紙来なかった?」

「金だけ包まれた手紙が来たな。自分はそんなつもりで渡したわけじゃないし送り返そうかと思ったがクィルと相談して使う事にした」

「それがいい」



 自然と会話が止まった。

 ギースが俺の顔を見て「場所を移そう」と言ってくれる。



「クィルに聞かせたくないんだろ? もうすぐ帰ってくるはずだ」

「そのほうが助かる」



 2人でヒーローズの街を歩く。

 もう立派な街になっており、ギースに挨拶する人間はいても俺に挨拶する人間はいない。

 2年近くか? 流石に英雄と呼ばれた俺も過去の人間だ。



「なるほどな、時間魔法の反動かもしれぬ」

「じゃぁお前が悪い!」

「…………問題は勝手に解決するんだな」



 説明しながら歩いていると俺の一言でギースが早足になる。

 俺は必死に腰にしがみ付いた。



「冗談だって!!」

「この状況で……まったく反省してないだろ……」

「してる。してるから」



 ギースは怒りながらも俺を見て息を吐く。



「……そもそも自分はクウガと親友なのだ。ただの友人であるお前の助ける事は不義理になる」



 しょんなー。



「が……原因を作ったのは自分も関係あるか……」

「でしょ!?」

「そこの公園が開いてるな、そこでいいか?」




 中央広場。

 飛空艇を模写した石碑がある公園。そこのベンチに座ると俺は地面を見る。



「実際、知り合いにも言われたけどクウガを殺して元に戻るならその手も考えたよ? でも俺やメルナはともかく、アリシアが悲しむでしょ」

「長寿族の魔女と聖女の名前か……昔はいたと言われているが現代にも本当にいるのだろうな。うっすらであるが聞き覚えがあるように思える」



 さすがは同じ長寿族のギースだ。



「神竜による魔力による記憶操作。時間魔法と空間魔法の融合か? となると流石神と言うべきだろう。普通なら出来るはずがない……しかし、魔法であるなら一定の法則があるはずだ。現に魔力馬鹿のコイツの記憶は消えていない。となると……」



 地面に拾って来た枝で色々書き始めた。

 若干ディスられている気がするのは気のせいか。

 ギースは長考にはいって地面に木の枝で何やら書いては足で消して、また書き始める。


 読める文字もあれば読めない文字のほうが多くなってきた。

 欠伸がでそう。

 



「よし!」

「あっわかった?」

「…………人が苦労して考えているのにお前は、何を」

「そこで売っていたタコヤキみたいなやつ。ギースの知り合いだって事で割引してくれた」



 爪楊枝みたいなやつを刺してギースの口の中にいれた。

 はい、あーん。と言うやつだ。

 丁度店の女性と眼が合うとなぜか拍手をしている。



「久々に食べるが美味いな」



 ギースってばかなり稼いでるように見えるのに外で食べる小遣いもないのか。

 クィルって結構鬼嫁なのね、ちょっとかわいそうになってくる。



「残りも全部食っていいし」

「なぜ目を抑える? まぁいい……魔法と仮定した場合は封印術にあたる可能性もある」

「封印って事は記憶を封印か?」



 俺だって天才じゃないけど馬鹿ではない。

 思い当たる言葉をギースに聞いてみる。



「とにかく軽く考えても5種以上……恐らくはその倍以上の複合術。それを詠唱もなしにおこなってるのだろう」

「で、前置きは良いから解決策を」



 ジークが黙ってしまった。



「ない」

「あるでしょ!?」

「100年も生きていない自分には無い。ナイ様に会え」

「え。いやだけど」



 人間頼みたくない相手ってのはいるんだよ。

 俺にとってはナイがその1人だ。いや1匹か?



「お前は本気で恋人を助ける気あるのか!?」

「ある、あるから胸倉をつかまないで!? 服が伸びる」



 ノラに続きギースにも怒られてしまう。

 本当に助けるつもりあるんだけどなぁ……。



「まったくだ」

「冗談は置いて置いて……次はナイのほうがいいのか?」

「…………そのほうが良いだろう。時間が足りなさすぎる、そもそも時間魔法でさえ禁術と言われているのだ、ナイ様の場所は知ってるのか?」

「帝国にいるミーティアを捕まれば」



 最初は裏ボスみたいな存在のナイも今ではミーティアのペットみたいなもんだからな。タクシー代わりに使われてるし。



 ──

 ────


 泊っていくか? と提案を受けてそれを断ってまで帝国に戻って来た俺だけど、思わず壁を叩く。


 寝泊まりしてるはずの教会にいなくて冒険者ギルドまで聞きに行くと、魔物討伐の特別冒険者として組み込まれ遠征中との事。


 帰ってくるのは早くても1ヶ月ぐらい先らしく時間だけが立っていく。

 ジークが言うには、時間がかかればかかるほど手遅れになるだろう。と。


 違和感が違和感じゃなくなっていくらしい。

 ジークが別れ際に言った言葉がよみがえる。


 『最悪は、いずれお前自身も2人を忘れるだろう』と……冗談じゃない。


 何のためにこの世界にいるんだ。って話だ。

 そりゃクウガが幸せになる世界を壊したのは俺だけどさ。



 夕暮れになり再び冒険者ギルドの秘密の地下室に戻る。

 『転移の門』を起動させ、何とか聖都付近まで飛ばないといけない。

 その『転移の門』から、足が出てくる。


 足と言うのは太ももが付いている物で、そのふとももはぶっとい、というかむちむちだ。


 メルナを思い出される足で、思わず《《触りたくなる》》。



「ひゃ!?」

「やっべ。触ってた」



 顔面に見覚えのある黒い刀身の剣がくると慌てて回避した。

 一気に下がると背中が壁にあたった。


 回避がちょっとでも遅かったら両目を斬られていたかもしれない。

 『転移の門』から出て来たのは、懐かしい顔だ。


 聖騎士隊副隊長アンジェリカ。



「なんだ。君かぁ……出た先に魔物かと思って、その足触った?」

「触ってないよ!? ほら転移の門使う時の違和感じゃないのか」

「気のせいか……触られた気がしたんだけど。君でよかったよ攻撃避けてくれたし。とりあえずお久しぶりね」



 アンジェリカが剣を仕舞って握手を求めて来たので俺も握手をする。

 そのまま俺の顔を見ては周りを見渡す。



「なに?」

「君の周りってこんなに静かだった? もう1人……いや聖都を含めて2人いた気がするんだけど」

「それよりも、聖都に送ってくれない?」



 この際使える物は使って行く。



「ここに君がいるって事は……いいわ。ついてきて」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ