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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


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第398話 何もない日

 ふらふらの中ベッドから降りる。

 俺も一晩ぐらいなら起きてる気でいたけど、寝れない俺達を見たアリシアが途中でスリープの魔法を使って強制的に寝た。


 俺が起きるとアリシアだけがいなくて、寝てる2人を踏まないようにベッドから降りると俺も顔を洗いに洗面台に向かう。


 サクラはメルナに抱き着いていて、メルナは必死にもがいている様子が見えた。

 ほっとこう。


 洗面所には先にアリシアが顔を洗っている所で、俺を見るとタオルを出してくる。



「あんがと」



 洗濯されたいい匂いのタオルを受け取る。



「どういたしまして。凄いね……お昼まで起きないように魔法かけたのに」

「効きにくいんだろうな。でもぐっすりとは寝たよ」

「先生たちは?」

「胸だしながら腹かいてパンツに手を突っ込んで寝てる」



 後頭部に思いっきり痛みが走った。

 思ずしゃがむと頭を押さえる、たんこぶなってないよね!?



「胸も出してないし腹もかいてないし、下着に手を突っ込んでないのじゃ!!」

「先生おはようございます!」

「ん。アリシアよおはようなのじゃ。サクラも寝ぼけているがもうすぐ来るじゃろ」

「3人とも起きたの? 魔法力落ちたのかなぁ……強力な魔法なのに」

「ワラワ達は魔力が高いのじゃ、気にするななのじゃ」



 俺が頭を押さえている間に、何事もなく2人が消えていく。

 普通に怪我をした俺をスルーする? イジメか?

 背後に人が立つ気配がした。



「変態ちゃん何してるの?」

「ミーティア! お前だけが俺の味方だ」

「ひっ!? 浮気!?」

「…………ちげーよ」

「違うの!?」



 なんで残念そうなんだ。

 ミーティアと浮気するぐらいなら、まだアンジェリカのほうがいいわ! 良い酒飲めそうだし。


 いや、しないけどね。



「まぁいいけどさ。クローディアちゃんがもうすぐご飯だって」

「ああ、いつもいつも悪いねって言っておいて」



 俺もメルナも食事を手伝ったことは無い。

 クローディアがメインで子供達が作る食事なのだ。

 別にただ飯を食ってるわけじゃなくて食費は払ってるし、子供たちの訓練も手伝ってる。


 とはいえね。

 気分としてはただ飯食ってる気分だから。



「はいはーい。それよりもサクラちゃん帰るって本当!?」

「早ければ……夕方。いや明日かな」

「むぅ……もっと遊びたかったのに。じゃぁ今日はパーティーだ!!」



 未来で遊んでもらえ。

 いや、未来ではミーティア生きてるのか? 聞いて死んでいたら怖いので聞かない事にする。


 2人で食堂に歩いていくとミーティアが「ねーねーねーねー」とうるさい。



「何!?」

「やっとこっち向いた。スミレちゃんはどーするの? 行方不明っぽいけど」

「ほっとく」

「うわ。最低」



 何とでもいえ。

 そもそも男には厳しいのだ。

 と、いうかだ。

 いくら俺の息子でも未来から俺を殺しに来てるんだし、そこまで面倒を見ろ。と言われても見たくないよ。


 生意気だし。




「じゃぁクウ兄ちゃんは?」

「……ほっとく!!」

「それも最低ー」



 どうしろと!

 あんな復讐に燃えた奴と解りあえるわけがない。



「じゃぁミーティア。あのクウガをなんとなしてくれよ。今なら既成事実しても誰も反対しないぞ」

「セクハラ!! ミーティアちゃんまだ17歳なんですけどー!」

「えぇ……明らかに嫁の行き遅れじゃん」

「……火遁の術」



 目の前が真っ赤になって窓ガラスを破って吹き飛んだ。

 全身が熱く火を消すのに地面をゴロゴロと周り、水盾を唱えた。

 その盾の中に体をねじ込むと体中の火をなんとか消し回復魔法をかけた。



「はぁはぁはぁはぁ。このクッソミーティア!! 殺す気か!!」

「クソじゃないもん!! 変態ちゃんは再生あるあから死なないしー! でも一度死んだほうがいいよ本当に」



 俺に親指を立て、その手首を反対にしたミーティアは食堂へと歩いていく。

 1人外に放り出された俺は暫く空を見る。


 バスケットを手にしたアリシアが近くに寄って来た。



「はいクロウ君朝食」

「ありがと。これ、窓の修理費」

「はい。確かに受け取りました」



 この辺は素直に受け取ってくれるので俺もありがたい。

 あくまで対等にしたい。

 アリシアは俺の横に座ると黙って俺の食事を見ている。


 そんなに凝視されると食べにくい。

 もしかして、パンにからしでもはいってる?



「何かな?」

「用が無いと見てたら駄目なの?」

「そう言う訳じゃ……いや、取り繕ってもだめだな。素の俺を見せて嫌われるでも仕方が無いし。緊張するって言うかそんな感じ」

「ごめんね。横にクロウ君がいるのが不思議で……あっ先生呼んでこようか? 私より先生のほうがいいよね」



 アリシアが立ち上がるので、手を引っ張る。



「気を遣わなくても。アリシアがしたいように……どうしてもメルナが一番と思っても強制じゃないし、変に気を遣う関係って面倒」

「そっか、そうだね。じゃぁ座る」



 アリシアが持ってきてくれた食事は俺1人では多いぐらいだ。

 そのまま横にアリシアに見せるとアリシアも一緒に食べだす。


 平和だ。


 案外こういう平和な時間もいいかもしれない。

 メルナと一緒に食事をすると、わりと騒がしいからな。



「ごめんね」

「……何が?」

「クウガ君の事。別にクウガ君の事は嫌いじゃないよ? でも恋愛となると見れないし、クウガ君の事を思って色んな女性を紹介したんだけど……それにクロウ君が筋を通すって、しなくてもいい事なのに。本当は私がするべきだったんだよね?」



 その事か。

 クウガに説明をしに行く。と、伝えた時に散々もめた話だ。



「いやだから、俺がクウガに説明したいってだけだし……一応アリシアと俺の付き合いは仮だよって伝えに。まさかあそこまで怒るとは……心の狭い奴だ」

「そうだよね」



 ちょっと驚いた。

 今までのアリシアなら『そんな事ないよ?』って言うと思ったけど『そうだよね』と言うとは思わなかったから。



「クロウ君」

「なに?」

「私って悪い女だよね。スミレ君にも謝らなくちゃ……」

「そうだね。謝らなくていいとは思うが悪い女なのじゃ間違いない」

「え?」

「だって、劣化俺を見立てて手を出そうとしたんでしょ? アリシアが本気でスミレが好きなら、それでいいだろうけど……俺の代わりって事だったらお互いに不幸になると思うんだよねぇ……いや、俺も元貴族だしそのお見合いとかの話も聞くけどさ、せっかく選べるなら選んだほうがいいし。そこで何で俺? とは思ったけどさ……だからこそお試しで付き合う。という事になったし」



 アリシアが突然笑いだす。

 変な事を言ったかな? お腹を押さえて小さく笑った後俺を見て来た。



「うん。クロウ君の正直な所好き」

「そっりゃどうも……」

「さて、仕事言って来るね、クロウ君はゆっくり食べていて」



 アリシアは小走りに孤児院に戻っていった。

 はぁ……頭を抱える。


 別の気配が近づいて来た。

 長身でおっぱいの大きい影は俺を見降ろしている。



「メルナ、俺って優柔不断なんですかね」

「ロウよ、お主もあの小僧と同じで変な所に不器用なのじゃ」

「…………先に言いますけど。消えないでくださいよ」



 メルナからの返事がない。

 影が俺の横に座るとメルナの手足が見えた。



「何時からじゃ?」

「何時からも何も、ナイがまだ帰らないしメルナの事だから蜃気楼の城に消える気じゃって思っただけです。万が一そうしたら俺はどんな手段を使っても探しますけど」

「むぅ……その線は無しじゃな」

「どうせなら3人一緒の未来が一番いいですし」




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