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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


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第397話 未来の俺ならそうするよ

 夕食の時間。

 子供達と一緒に食事をして自由時間となる。

 その子供達は就寝の時間だ。


 厳しいように見えて結構緩い規則で別に起きていたければ起きていいルール。

 でも子供達は就寝時間になるときっちりと寝るのはアリシアという聖母のお願いだからだろう。


 余った大人組はそれぞれ好きに過ごす、俺も応接室のソファーで寝そべっているとサクラが入って来た。



「よう」



 暗い顔のサクラは俺を見ては小さく「パパ……」と呟く。



「そういえば……サクラは覗きに来なかったんだな」

「するわけないよ!? パパ達と帰って来てミーティアさんに誘われたけど、そういうのは駄目と思うし」

「案外常識あるのか、俺の娘なのに」

「無いほうがおかしいからね、それにパパ達っていつも家にいないし」



 未来の俺って子育て放棄なのか。

 気をつけないとな……パパ嫌い要らないモードになりかねん。



「…………サクラ達が生まれたら、なるべく家に居るようにするよ」

「無理と思うけどなぁ……あっごめんなさい! 聞かなかった事にしてください」

「うい」

「どんな形でさえパパは頑張ってるよ!」



 有難くて涙が出そう。

 ちょっと言葉に引っかかるけど、どんな形でさえ……って俺って未来ではスライムのように肉体が無いのかもしれない。それはそれで嫌なんだけど。


 未来の俺はどんな問題抱えているんだ。

 聞きたいけど聞けない空気だ。

 唯一の救いは『未来のパパはもう死んでるよ』って事が無いだけ。




「それよりも、スミレお兄ちゃんが見つからないんだけど」

「それな……」



 どうするべきか。

 一応『クロノスの時計』は完成した。

 いつ? と言われると俺がクウガに会いに行ってる間にだ。


 未来が変わる前に早めに帰したほうが良いんだけど。



「先に帰るべきじゃろ」



 突然話に入って来たのは湯上りのメルナだ。

 色っぽい。

 押し倒したいぐらいに色っぽいし、普段なら押し倒してるが我慢。

 そんな俺を細い目で見ては謎のため息を出してくる。



「しないなのじゃ」

「…………わかってますって」



 何の話が分かってないサクラが「ごめんなさに、席外します!」と立ち上がる。

 一応メルナが母親と思うのにサクラってメルナが来ると緊張してるんだよな。

 そりゃ未来の母親に関わりたくないのかもしれないが。



「サクラよ、結局探知は無理じゃったんだろ?」

「は、はい……私の魔力探知でも見つかりません……魔力を切ってるのかも」



 魔力探知は魔力が大きければ大きい程見つけやすいのだそうな。

 例えば俺なんかは、意識すればある程度遠くからからでもわかる。とか。

 一方メルナやアリシアは故意に魔力制御をしてるので魔法を使わないと分かりにくい。との事。



「そうじゃろうな……アリシアが高名な占い師に手紙を出しても生きてるぐらいしかわからんそうじゃ」



 高名な占い師。

 メリンダの事か……じゃぁ探しようがない。



「死んでないだけいいな」

「で。ここに《《2個》》のクロノスの時計があるのじゃ」



 ん?

 メルナを改めてみる。

 手には砂時計が2個。

 ジークから貰ったら奴とそっくりで中身はちゃんと砂に見える。



「それはいいんだけど……え? 2個」



 計算が合わない。



「作ったのって……あのインチキゾンビ聖王だよね?」



 聖王の墓に住んでる、自我を持つ魔物中の魔物。

 人間らしい恰好で人間らしい行動をするが死んでいて朽ちてない元聖王だ。

 これも俺がクウガに筋を通すべく行動中にメルナとアリシアに頼んで作って来てもらった。



「1個はそうじゃな……いや結果的に2個目もそうなんじゃろ」

「と、言うと?」

「どこかの馬鹿がわざわざ未来から持って来たのじゃ」

「はい?」



 部屋に3人しかいないのに誰も喋らなくなる。

 ぱたぱたぱたと廊下を走る音が聞こえるとアリシアが入って来た。



「クロウ君大変!! クロウ君の本物が未来から来た!」

「…………じゃぁ俺が偽物ってなるやーつ!」

「そ、そんなつもりじゃ」

「未来のパパが!? 会いに行きます!!」



 サクラが立ち上がると廊下に走っていく。その背中にアリシアが「まだ丘の上にいるかも!!」と声をかけるとサクラが「ごめんなさい! ありがとうございます!」と段々と小さい声になりながらも返事をした。



「あの……未来の俺にサクラの株盗られたんですけど!? ずっとパパ、パパって慕ってくれたのに、ひどくない!?」

「問題はそこじゃないんだけど」

「案外平気な顔してるのじゃ」



 ってかだ。

 そのままソファーに座るとメルナも近くに座って、その横にアリシアも座りだす。



「以外に冷静なのじゃな」

「こっちのクロウ君と戦いになるかもって思ったのに」

「いやー可能性として考えてなかったわけじゃないですし、未来の俺なら子供が2人過去に飛んだまま指を咥えてみてるのか? って。そもそもその未来の俺は……」



 何か紙とペンを探すとアリシアが直ぐに持ってきてくれた。

 その紙をテーブルに置いて説明する。



「未来の俺をBとして……Bは過去に2人が過去に来た事が無いからこそ驚いたと思うんですよね。もしくは記憶を封印してるとか」



 ちらっとメルナを見る。

 メルナは未来に影響が出ないように過去に俺にあった事を記憶事封印した。

 やばない?

 俺はそこまでする自信はない。



「じゃぁ過去の俺。ここではAとしますけど……Aを信じられるか? となると絶対に信用しない。じゃぁどうするか? って事は未来の俺は未来の俺で解決策を考えると思うんです」

「ほう……」

「すごいよクロウ君」

「まぁサクラから過去に飛んだ時の俺の情報を聞いた上での事ですけどね」



 未来の俺が過去にサクラと会っていれば慌てる必要ないし。

 話が終えると、サクラがトボトボと帰ってくる。



「いませんでした……」

「時間魔法は魔力の消費が激しいからの……飛んでくるだけすごい事なのじゃ、数日中にサクラを未来に飛ばすのじゃ」

「え!?」

「こっちの世界に長く居るほど未来に帰った時に成長度が変わるじゃろ?」



 あー……たしかに。

 こっちで10年過ごして帰ったら、向こうからしたらいきなり10歳年上になった事になる。学生って言っていたし時間の差は無いほうがいいだろう。



「わ……かりました」



 絶対わかってない返事なんだけど、まぁ不安だよな。

 俺が苦笑するとサクラと視線が合う。

 凄い寂しそうな顔だ。



「そんなに不安なら俺が添い寝してやろうか」

「パパ嬉しいです!」

「って冗談なんだけ……え?」



 メルナは頭を抱えて、アリシアは小さく拍手をしてる。




 ──

 ────


「パパ……狭くないですか?」

「狭くないよ……」



 滅茶苦茶狭い。

 ベッドが1個なのにそこに……。



「ワラワは狭いのじゃ」

「クロウ君、私壁に挟まれて潰れそうだよ!?」



 4人も一緒にいたら狭くて死ぬ。

 左から。メルナ、サクラ、俺、アリシア。アリシアの横が壁だ。

 ギューギューを通り越して身動きが出来ん。


 なんでそうなった。


 サクラが5人で寝るのが夢だったんです! って言いだして。

 スミレを除いた4人で寝ることになった。

 いや、なんで?


 俺が悪いのか?


 逆にだ。

 ここまで圧迫されると興奮も何もない。

 それは感謝だ。

 いくら血がつながってる……予定とはいえサクラも15歳だよ? 健全な男なら色々やばいし。



「あの! パパ!!」

「ふあい!」



 思わず変な返事になる。



「お話してください!」

「今してるよね?」

「クロウ君そういう意味じゃないと思うよ?」

「話ってのはロウの昔話じゃろうな」



 ええ……こんな状態で。

 話ってもええっと。



「じゃぁとある魔女がマテリアの粉を入れた時の鍋を食べた後。高揚したかっこいい弟子に押し迫ええええ! 冗談! 冗談ですし、そんな魔女はいませんでした!! メルナまって」

「待つわけがないじゃろ!!」




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