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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


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第395話 儚い親友期間だったな……

 墜落する瞬間見えた竜。

 俺達はその竜に食べられた……わけではなくその背中に乗っている。


 と、いうのも竜の背中にはミーティアとサクラが乗っていて、竜は言わずも知れたナイなのだ。


 ナイの背中で大の字に手足を広げては空を見る。

 その視界に小生意気そうな顔が入って来た。



「ギリギリセーフ! ミーティアちゃんヒーローっぽい? ぽいよね」

「はい! ミーティアさんはヒーローです!」



 無い胸を張るミーティアと、拍手するサクラだ。

 首だけを動かして疑問を伝える。



「何でそのヒーローがここに」

「あー感謝してない顔!」

「してます! してますから!!」



 俺一人なら何とか助かったような気もする。

 一応落下は水盾で空気抵抗押さえれるし。骨の数本なら再生(強)で何とか。


 問題はクウガのほうだな……それで言えば俺よりもクウガが感謝するべきだ。

 そのクウガは尾てい骨付近に座っていて、はるか遠くで煙を上げて燃え尽きそうな『コメットⅡ改』を眺めている。



「砂を入手した後、変態ちゃんが帰って来ないって言うじゃない? もしかしてクウ兄ちゃんに殺されたかな? って。で……暇だからナイちゃん呼んで見に来た」



 暇だから呼ばれる竜ってタクシーかよ。

 人知を超えた種族も地に落ちたな。



「うわっ迷惑そうな顔。あと一応、皇女様の依頼も受けてるんだよ?」

「そうなの?」

「うん、伝えるね。『問題ないとは思いますがあの男がかかわると大事な船が壊される可能性がありますゆえ、竜人様のご協力をお願いできますでしょうか?』って」

「壊れたけどな。俺のせいじゃない!」

「ふーん……」



 絶対信じてない顔だ。

 あっちで途方に暮れてるクウガに聞いてくれクウガに。


 あっ戻って来た。



「ミーティア……そのありがとう。クロウベルさん……この女性は? 僕はクウガ、この人の親友だ」



 親友ではない。

 思わず苦笑するとサクラが大慌てで立ち上がり自己紹介をしだす。



「は、初めまして!! サクラと言います!!!」

「へぇサクラさんか。可愛いね」



 ミーティアが小さい声で『始まった……』と言うのが聞こえた。

 とうのクウガには聞こえてないらしい。



「いつも。あ、ありがとうございます!」

「いつも?」

「ご、ごめんなさい。何でもないです」



 サクラは何か緊張してるな。

 未来で面識でもあるのかな……ってか無いほうが変か。



「それよりも! 冗談が酷いです。おかけで船は墜落するし……アリシアに会いに行かないとなのに」

「冗談?」

「そうですよ、アリシアと付き合う事になった。とか」




 クウガの発言で誰も発言をしなくなる。

 ぐちぐちと文句を言うクウガが周りの異変に気が付いた。



「え? ……え? あの……冗談なんですよね」

「冗談だ」



 俺がそう言うとクウガがほっとした顔になり、俺は両側から頭や体を何度も殴られた。



「いっ! 痛い痛い痛い!! 馬鹿ミーティア。まて短刀はシャレにならん。サクラもその手に持ってるのクナイっていう投てき武器だからね!? 刺さってるからね!? 俺は『冗談だ……ってわけじゃない』って言おうとして」



 必死で弁解すると、俺の体をめった刺しにしてる2人の攻撃が治まった。

 クウガは絶望的な顔をして俺を見ている。

 まぁそうなるよなぁ……。



「ほ、ほら。お試しで……」

「アリ姉ねちゃん嬉しそうだったよ?」

「そうですねアリシアさん嬉しそうでした」



 クウガが一歩。また一歩と後ろに下がる。



「ミーティア。その短刀貸して?」

「え? いいけど……はい」



 俺は貸してもらった短刀で思いっきり切腹した。



「ひいいいいいいいい!!」

「パパ!!」

「クロウベルさん!? な、何を!? え。パパ!?」



 ミーティアの叫びに、サクラの驚き。困惑するクウガの声を聴いた後。腹の上から波打ってる臓器をクウガに差し出す。

 し、死ぬ……再生(強)がついていたって出血死やショック死がありそうなんだけど、目の前がちかちかしだすと傷が急速に回復しだすのが分かる。



「クウガさ。切腹と俺の心臓で許してくれない?」

「変態ちゃんそれ世界一安い切腹だよね」

「切腹に安いも高いもない! ほら、俺って今の所死なないし」



 むしろ死ねないし、死にたくないし。が本音。



「な……」

「はい?」



 クウガが下を向いて震えている。



「俺の心臓見て感動した?」

「パパ……絶対に違うと思うよ」

「サクラちゃん。こっちこっち離れたほうがいいよ」



 ミーティアとサクラが俺から離れる。



「そうやって僕を馬鹿にして騙したな!! 願いをかなえてくれるボスを封じたのも僕がクロウベルさんの再生の呪いを外せないためだったんですね!!」

「え? ああっ!! 便利すぎて取る必要なかったけど、わんちゃん取れたのか……」



 あぶねえ。

 これ取られたら、俺メルナと長生き出来ないんだけど。



「白々しい!! クロウベルさん!」

「はい」



 思わず返事をする。呼ばれたから。



「貴方は世界一卑怯な男だ!!」

「いやぁ」



 思わず照れると、ミーティアとサクラが『マジ?』や『パパそれは違うんじゃ……』など風に乗って声が聞こえてくる。



「くっ!! 何所まで……わかりました。クロウベルさんがその態度なら僕は貴方を超えます。それでいいんですよね。魔力の雫よ……この手に集え雷帝の輝き……その力で──」



 魔法の詠唱を始めた。

 めっちゃキレてる。


 ってかクウガの右手に魔力が集まっていくし、いつの間にか剣も抜いてる。

 俺をやる気(ころす気)だ。



「馬鹿辞めろ!」

「ふん。今さら命乞いです? 刺し違えても僕はあなたを殺す! 並行世界の僕の忠告は正しかった……僕が死んだ時はアリシアを頼もうと思っていたのに、僕が死ぬ前に横からとか」

「ちょっと待て。一言だけ言わせてくれ」



 クウガの手全体にメルナのライトニングフルバースト並みに魔力があるのが分かる。



「……何です? 謝罪すら許さない」

「あーそれは別に良いんだけど……アリシアは別にクウガの『物』じゃないよ? 本人の意思もあるし好き嫌いもある」



 本当ならもっと言いたいけど。

 俺はクウガとアリシアをくっつけるために極力無関係を徹してきた。

 いや、困ったら助けてーって頼み込んだけど……途中だって距離取ってたし。


 向こうのクウガは自力でアリシアをちゃんと付き合っていた。

 でもこっちのクウガはアリシアは俺の物! と思ってもな……それにこっちのクウガは途中で逃げてたし、あの辺が分岐点なんだろうな。



「そんなのは! 貴方に!! 言われなくても!! ライトニングフルバーーーあああああああ────」



 クウガの体が突然吹き飛び小さく消えていく。

 物凄い後ろで漫画でみるような雷鳴が光ったと思うと音が遅れて飛んできた。



「きゃ!!」

「パパ!!!」



 俺以外の悲鳴が聞こえるが、すぐにそれも収まる。



「だから辞めろって言ったのに……」



 俺がつぶやくと、ミーティアとサクラが走ってくる。

 消えたクウガのほうを見ては俺を見て来た。



「パパあのクウガさんは……?」

「吹き飛んだ。と、言うかナイが尻尾で飛ばした。そもそもここ、ナイの背中だよ? そんな場所であれだけの魔力と殺気があったら吹き飛ばすでしょ」

「うわぁ……もしかして変態ちゃん、それ知ってて煽ったの?」

「煽ってない!! 教える前に消えたの!!」



 失敬な。それじゃ俺が原因でクウガがキレたみたいじゃん。

 俺はもう紳士に話し合いしに来ただけのなのに。


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