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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


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第389話 魔女と聖女からは逃げられない。

 スータンの最高級ホテル。

 別に俺もメルナも高級宿にしか泊まらない。って事はないが冒険者ギルドマスターのカイからチケットを貰ったので、泊まる事にした。


 夕食も終わり、砂漠の街の喧騒も落ち着いた頃。

 うっすらと照明器具の光が部屋の中を包む。


 その部屋の中で影が動くと影は足を組みだした。



 『ふう……ロウよ……《《そういうのは屁理屈》》と言うんじゃ』



 屁理屈。

 メルナがそういうのは、俺が昼間にカイに相談した事、それとカイから助言を受けた事をメルナに相談したから。


 アリシアって誰とも付き合ってないなら寝取る事にならないっすよね? と俺がメルナに確認したからだ。




 『初めて聞いたみたいな顔をするな。なのじゃ……ワラワも別にロウを困らせたいわけじゃないしの。ただ……どうも最近のロウを見てるとな、別れる。付き合う。ズバッと決めればいいじゃろ』



 いやメルナに嫌われたくなくて……もちろん、アリシアを不幸にもしたくないですしー



 『はぁいっその事別れるのじゃ』



 メルナが胸元からリターンの魔石を取り出して消えていった。

 俺のおっぱいが消える!!



「じゃなくて!!」

「ぬお!? な、なんじゃ!? 突然に」



 俺が起きた事で近くにいたメルナも起きたらしい。

 場所を確認すると、カイから貰った高級宿。窓は閉まっていて、二つのおっぱいもそこにある。



「割と悪夢をみていたようで……おやすみなさい」

「起こすだけ起こしておいて勝手に解決するななのじゃ、どっちにしろ帰る時間じゃろ」



 二度寝するには遅いらしく、窓の外は明るくなっている。



「うう……そうですね。はい」



 仕方がなく起きて着替えだ。

 軽く運動と手のひらから魔力の水を出して魔力のチェック。

 気分とは逆に今日も俺の魔力は大丈夫そうだ。


 俺が一連の作業を終えるとメルナも顔を洗い終わり身支度を終えている。

 チェックアウトし、スータンの街出入口で見送りに来ていたメリンダと別れ魔石を使う。


 上空に浮き上がり、体感時間十数分という感じでファーストの町まで戻って来た。


 出迎えに走って来たのはノラとアリシア。

 一番うるさそうなミーティアがいない。



「先生! クロウ君お疲れ様。大丈夫と思っていたよ」

「まったく、こんな老いぼれにお使いなど……」

「ええっと……サクラとアレは? ついでにミーティアもいなさそうだけど」



 アリシアとノラは顔を見合わせてアリシアが一歩前に出た。



「ええっと……ミーティアちゃんはサクラさんのお手伝いで。あっちはまだ時間がかかるみたい」

「何で?」



 移動時間はかかるが、そこまで難しくないクエストだ。

 強さ的には俺よりちょっとしたぐらいなんだし、2人がいれば逆ピラミットぐらい攻略できるはず。



「ボクから説明するよ。スミレ君は急にやる気になって移動途中で落ちたらしく……サクラさんが直ぐに戻って来てね、スミレ君の捜索にするかサクラさんの手助けにするか……先に砂を取りにって事に」

「はぁ何してるんだ……俺の自称息子なんだろ?

「クロー兄さんの息子だからじゃないかな」



 

 ノラが意味深に言うけど、俺はトラブル起こさないように努力してるから。

 

 俺はアリシアをちらっと見る。

 アリシアも俺をちらっと見た。


 お互いに無言になる。

 何か言わないと……。



「ええっと」

「あのね」



 …………ほぼ同時に喋った。



「あ。ごめん。先にどうぞ」

「ごめんね。何かな?」

「いやいや」

「そっちこそ」



 お互いに無言に。

 先に喋ろ。って言われたので喋るか。



「あの」

「その」



 …………がああ!!



「先に喋る! アリシアって若い少年の体が好きなの!?」

「……どういう意味かな?」

「クロー兄さん……」

「いや、劣化俺の事……スミレに気があるとか聞いて……その、ショタがいいならスミレ以外の子探してこようかって……はい。冗談です」



 2人から圧が来る。

 え!? だってそういう話だったよね!?

 メルナからの話を総合するとそうだったんだけど、メルナを見るとしゃがみ込んで頭を押さえている。


 やっべ。

 選択死ならぬ選択肢を間違えた。

 ノラがため息しながら手を振り切った、地面に何か刺さった音。



「ボクはまだ良いんだ最初から諦めてるしでもクロー兄さんさぁ……何を言うのかな?」

「…………はっはっ……は……あれ。体が重い……」



 動こうにも動きにくい。

 ノラと眼があった。



「ミーティアさんに教えてもらった影縛りって魔法。普通は動けないはずなんだけど……まぁクロー兄さんが悪い。アリシアさん1回本気で殴ったほうがいいよ。クロー兄さんもいいよね?」

「へ? あーえっと…………うい……殴ってくれ」

「別に殴りたいわけじゃないんだけど……折角だからじゃぁ行くね」



 アリシアが俊敏な動きで間合いを詰める。

 聖女ってだけで勘違いされそうなんだけどアリシアもアリシアでラストダンジョンクリア済みの冒険者だ。

 これで動きがトロかったらすでに魔物に襲われて死んでいるだろう。


 アリシアの体全体から炎が揺らめぎ右手に集まっていく。



「まっ!」



 魔法はずるいじゃん!!

 俺が叫ぶ前に炎の拳は俺の顔を捕らえ全身に燃え移った。




 ──

 ────



 見覚えのある部屋で治療を受ける外を眺める。

 全身が火だるまとなってうめき声を上げる俺に、クローディアが子供たちを集め見せて「悪い子はああなります」と短く一言。


 子供たちが恐怖で震えていると、俺の体はやっと鎮火されて治療に入った。

 回復後は特にする事はない。


 アリシアからも、じゃぁゆっくりしてね。と言われるだけで放置される始末。

 だって孤児院は俺が運営してるわけでもない。


 ようは部外者。


 悪く言えば邪魔者なのでこうしてあてがってくれた部屋でぼーっとするしかない。


 部屋にノックの音が聞こえ「どうぞ」と返事をするとアリシアが入って来た。

 その後にメルナも一緒だ。



「俺の見舞い!? にしては……」

「しては? なんじゃ」

「ナース服じゃないなって」

「元気そうじゃな」

「うん。いつものクロウ君だね」



 2人が部屋に入るとメルナが扉に魔力を放った。

 俺が注目するとアリシアは驚く。



「今の魔法わかるの!?」

「魔法ってか魔力が変化したけど」

「……結界じゃ。一時的じゃがこの部屋は外部の世界と隔離された部屋になったのじゃ……馬鹿でもわかるように例えると迷宮のような感じじゃな」



 ほえー。

 俺はベッドから降りて窓を開けようとしても開かない。

 それ所か窓をガンガン叩いてるのに外に見えてる子供はこちらに気づく事も無かった。



「で?」



 思わず聞いてみる。

 俺を結界に閉じ込める。とか? 2人が中にいるしメリットが分からん。

 俺を閉じ込めるだけなら外から封印すればいいし。


 メルナがよろけて頭を抱えると、アリシアも反対側でしゃがみだす。



「アリシアよ。やっぱり500年ぐらい封印したほうが良かったんじゃないのじゃ?」

「先生……300年ぐらいがいいかも」



 封印はされたくない。



「冗談だって……ええっと、大事な話だよね?」

「本当にわかってるのじゃ?」

「先生でも、クロウ君だし」



 部屋には小さい丸テーブルがありメルナとアリシアは左右に座った。

 俺としては正面に座るしかない。

 二重音声で怒られてるようだ。



「ロウよ。お主アリシアと付き合ってみてはどうじゃ?」

「先生!! ご、ごめんねクロウ君突然変な事になって、別に付き合うとかそういうのじゃなくて」



 メルナが喋りアリシアが喋る。



「突然じゃあるまい。そもそも最初に出会ったワラワが……悪かったのじゃ。あれさえなければ、ロウもアリシアの事を」

「でも、クロウ君って最初から先生にゾッコンでしたよね?」



 メルナが喋りアリシアが喋る……。



「それはそのロウがちょっとした理由と言うのじゃが、いや当時はワラワも知らなかった事じゃし」

「あの先生。私はまだ知らないですけど……何となくは予想してますけど」



 メルナが喋りアリシアが喋る…………と、いうか2人で会話が続くので俺の首は先ほどから左右に振りっぱなしである。

 振り子時計のように動かしているので首が痛い。


 よし! 逃げよう。


 俺はなぜかそう思って、そっと立ち上がり座りなおす。

 扉は封印されているからだ。

 2人が掛け合いがピタっと止まり首だけが俺を向いた。こわっ!!




「ロウよ、今逃げようとしなかったのじゃ?」

「クロウ君、逃げないでね」

「…………うい」


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