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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


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第379話 お土産って大事なんだな

 誰かさんが撃った『ライトニングフルバースト』の魔法でお湯の中にいた俺は体が痺れている。

 仰向けだからいいけど、これ反対だったら溺れ死んでるからね!?


 お湯に浮かんでいると、体を棒のようなもので突かれる。



「うわっ生きてる!」



 声からしてミーティアの声だ。

 なんとか目線だけを動かす、やっと口も動かせるようになってきた。



「生きてるよ。なんだったらメルナが『死んだと思ったら生きてるのじゃ……』とドン引きして帰ったばっかりだよ。死んでいたらどうしたって言うんだ」

「その場合はアリ姉ちゃん呼びに行ったと思うよ?」



 冷静な判断ありがとうよ。



「変態ちゃん、空から帰って来たって聞いたから見に来たんだけど?」

「あのクソ竜神のせいでな」

「ってか変態ちゃんさぁ汚い服のままお湯はいるとか、次に入る人の事も考えて欲しいんですけどー。ディアちゃんと掃除しないといけないんですけどー」



 文句言われてるけど不可抗力だからね。

 むしろお湯が無かったら俺の下半身ぐしゃって潰れて即死だからね。



「痺れが治ったら覚えてろよ……」

「もうわすれたもーん。アリ姉ちゃんからの伝言、施設は皆で使うやつなので壊さないでね、だって」



 うう。俺の扱いが酷い。

 ってかミーティア。俺の股間を突かないでくれる? 痺れてるから良いけどさ……いや、よくない。



「あと、サクラちゃんから。怪我したら大変! って。ミーティアちゃんもノラちゃんも大丈夫だよ。って言ってるんだけどね。代わりに見に来たって所。それにどうせ聖具も持って帰ってきてないよね」

「……無いよ」

「ほらぁ」



 俺の評判が悪い。

 俺だって『クロノスの砂時計』持って来たかったよ!? でも無いんだもんしょうがないじゃん。



「スミレは?」

「昨日帰って来て、部屋にいるんじゃないかな」

「もう少し痺れ治ったら戻るって伝えておいて」

「はーい」



 ミーティアが突くのを辞めて立ち上がると、そのまま俺を見て来た。



「何? まだ何か文句あるわけ? 少しは俺の──」

「ん-おかえり」

「…………どうも」



 パタパタとミーティアは帰っていく。

 おかえり……か。

 何か改めて言われると恥ずかしい。というか。


 痺れが治ってきた所で俺はお湯から出る。

 ついでに体も洗って濡れた衣服も絞って、脱衣所にあるタオルを巻いてお風呂からでる。


 そのまま孤児院まで戻ると、玄関前にいたメルナに思いっきり尻を叩かれた。



「いっ!? もしかして尻を触ってくるって事は、誘ってるんで!?」

「ドアホウ! 子供達が住んでいるんじゃ全裸で歩く奴がおるか!」



 子供たち。

 当然サクラの事ではなくて孤児院の子だ。

 俺が出発する前にもいたし、なんだったら挨拶もする。



「全裸じゃなくて腰にタオル1枚ありますけど」

「同じじゃ同じ。そもそもワラワが送った衣服はどうしたのじゃ。耐火耐熱軽い修復機能まで着いた高級品じゃぞ」

「ああ。石になりました」

「……意味が分からんのじゃ……」

「俺もわかりませんし」



 メルナがつぶやくと、ノラが走ってくる。



「クー兄さんお帰り。あっやっぱり全裸だ。ミーティアさんから聞いたら着替えないみたいだよ。ってこれ衣服、後濡れたのはこっちのカゴに。着替えたら玄関前に置いて置いて、後でまとめて洗うから」



 いうだけ言うとノラは忙しそうに消えていく。

 外で着替え、その着替えをメルナが見つめてくる。

 何、見たいの? 見せようか? って言うと怒られるので言わない。


 孤児院の中に戻ると、何人かの子供が寄って来た。

 お土産をせがまれているが何もないと、子供たちから叩かれる。

 その騒ぎでアリシアとクローディアが奥から出て来て子供たちを小さく叱っている。俺にお土産をねだって来た子供たちはクローディアに連れられて別の部屋に消えていく。


 残ったアリシアが俺に小さく頭を下げて来た。



「ごめんね。物には不自由しないようにしてるんだけど……」

「アリシアは優しいからな」

「そうでもないよ? 最近スミレ君が移動した先でよくお土産を買ってきて」 



 まぁ俺も今度何か買って来るか。



「いつもの部屋に皆いるから、先に待っていて」

「うい」



 アリシアに言われるままに大人組の部屋に行く。

 部屋の中にはサクラが既に待っていて、俺を見つけると抱きついて来た。



「パパ!」

「うおっと」

「良かったちゃんと帰って来た」



 そりゃ帰ってくるけど、死んだらサクラの父親がクウガになる可能性があるんだし。でも、そうなったら記憶ってどうなるんだろうな。

 メルナが寝室で俺に言うには『仮定の話であるのじゃが二つの記憶が混ざる可能性があるのじゃ』と俺に伝えてくれた。


 真面目な話で俺もそれは真面目に考えたもんだ。

 俺も2つの記憶を持っている。

 これほど面倒な事は無い。


 考え方が180度変わるのだ。

 自分が自分じゃなくなる感覚、無理に味わらせる事もない。



「ほう、良かったのう若い女性にアタックされて」



 メルナが嫉妬してくる。



「あわわわ! ご、ごめんさない! メルさん! あの、パパをどうぞ」

「大丈夫だサクラ。メルナには後で再会のチューを──」



 俺の肩にメルナの手が置かれる。



「ライトニング」

「あばばばばばばっばあばばばばば」

「ひぃ!?」



 はぁはぁはぁはぁ……! 1日に何度も痺れたくはない。




「はぁはぁサクラ。メルナにイジメられなかったか?」



 今度は俺の膝裏がカックンされて体制を崩すと、その背中に蹴りが連打される。



「ワラワが真横にいるのに、さっきからよう言えるのじゃ」

「痛いですし、しびれが酷いです」



 俺がこんなにイジメられてるのにサクラは小さく笑っているし。

 そんな事をしてると大人組が部屋に入ってくる。

 

 一番前の席にはアリシアとクローディア。

 右側に俺、メルナ、サクラ。この順番はまだいい。

 反対側にノラ、スミレ、ミーティアと変な座り位置だ。



「じゃぁ話進めるね」



 明らかに変な座り順番なのに、アリシアも何も言わないしメルナも何も言わないので俺も何も言う事はない……ないか?

 まぁ良いか、座る順番ぐらい。



「クロウ君報告を」

「うい。まぁミーティアから話し言ってると思うけどアイテムを作る奴はいたけど材料探し材料は──」



 説明し終えた俺が座るとアリシアだけが拍手してくれる。

 優しくて泣きそう。



「親父……それが無いと帰れないんだな?」

「そうなるな」

「じゃぁ俺がストームの砂漠に行く」



 お!?

 てっきりこの流れでいくと、俺が全部探すと思っていただけにちょっと嬉しい。



「じゃぁボクもついて行くよ、これでも情報集めるのは上手いし」

「はいはいはい! ミーティアちゃんも行く!」

「え、2人ともいくの!? じゃぁ怪我が危ないし聖女も行くべきよね!?」



 ノラとミーティアとアリシアが一緒について行くって言いだした。



「ねぇ……俺の時は誰も来ないのに」



 思わず本音が出る。



「違うよクー兄さん!? ほら、スミレってまだ子供だしさ」

「ミーティアちゃんが守るのだ! アリ姉ちゃんは孤児院があるっしょ!」

「あるけど、ディアさんに任せても……」



 アリシアの後ろにいるクローディアは「任せてください」と胸を張る。



「サクラ! 俺と一緒にいこう」

「へ? ああ、うんいいよ」

「ええっと、その2人で大丈夫ですので」



 何となく話はまとまったのか?



「じゃぁ3人は俺と?」

「クー兄さんはボクがいなくても大丈夫と思うよ」

「ミーティアちゃん急に熱出て来たのでパスー」



 なんなん!?

 俺はアリシアを見る、当然目が合う。



「あ、私もディアさんに任せっぱなしじゃだめだね。少し残って孤児院の運営するよ」



 なんなん!?

 もう一度疑問だけを心の中で言う、そんなにお土産なかったのか駄目だったのか……。




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