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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


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第38話 カミングアウト

 あれだけ狭いと感じた部屋に残ったのは3人、今度は広く感じる。

 アリシアが正座してこちらを向くと、俺とクウガも正座で下を向く。



「別に怒ってるわけじゃなくてね」



 そういうのはアリシアで確実に怒ってる。



「2人とも楽にしてクウガ君。いったよね? 『この呪いを解くのを手伝ってほしいって。もしかしたらお互いに途中で死ぬかもしれない。でも一緒にいたいんだ』って」

「はい!」



 クウガは下を向いたまま返事をした。

 そんな事を言ったのかキザだなぁ。



「私は死ぬのは覚悟していた。だってクウガ君は直ぐに無茶するから、急に足手まといになったから追放ってのはおかしいと思わない?」

「ごもっともで」



 クウガが怒られているのを見て俺は胸をなでおろす。

 どうやら俺の番は大丈夫ら――。



「クロウ君! クウガ君が無茶したのはクロウ君のせいなんだよ? 私はその無茶を治すのに回復した。この追放はクロウ君のせいでもあるの」

「いや、その……」



 大丈夫じゃなかった。



「私は別に怒っていないの」



 怒っていますよね。

 だって2回目だもの。



「クウガ君が始めたパーティーだから追放って言われたら追放されるけど、回復はどうするの? クウガ君の少ない魔力じゃ回復は3回ぐらいしか打てないよ? ミーティアちゃんだってよく怪我をするし、クィルさんだって怪我をしないようにしてるけど少しはする、一番怪我するのはクウガ君なんだよ?」

「そ、そうだよね。て、撤回するよ」



 お、クウガが言い切った。



「私ね、すぐ撤回するような事を言うのは駄目と思うの」

「え、いやだって」

「俺もそう思うようんうん」



 アリシアに加担しておけば俺はこれ以上怒られる心配はない。



「クロウ君! 当然追いかけて来たって事は私が回復する条件しってるんだよね?」

「え?」

「知らないで追いかけて来たの? こうなるのわかっていて?」

「いやまぁ……その……暫くは魔法を抑えてもらって」

「ヒーラーが回復魔法抑えると何できるのかな? 私に教えて、そもそもクロウ君は何でも知っていたよね? 当然知ってると思うんだけど」



 うおおお。

 えーっと、えーっと。



「ごめん」

「謝ってほしいわけじゃなくてね。私の代わりになる物が欲しいの、そうしたら追放も納得する」

「代わりか……」



 クウガのパーティーは回復はアリシアだけだ。

 その代わりと言うとクウガ自身が覚える必要がある。とはいえなぁアリシアには到底及ばない。



「しかしあれだよ。アリシアは聖女になれるぐらいの才能あるんだし、そもそも病気ならなおると思うんだけど」

「本当!?」

「え、いや……たぶん、ちょっと一晩考えさせて、いや師匠にも聞きたい」



 もしかしたら何か見つけてない発見があるかもしれない。

 原因不明であり、病気と言う説は考えて無かった。



「わかった、じゃぁメル先生が帰ってくるまで待つね……2人とも喉乾いたよね? お茶ってのがあるの。いれてくるね」



 アリシアが席を立つと離れていく。

 もう怒ってはいなさそうだ。



「クロウベルさん!」

「ん? な、なにかな……」



 クウガが俺の事を真剣な顔で見てくる、僕のアリシアをNTRったから殺します! とかだったらどうしよう。



「なぜアリシアにそこまで、アリシアの事が好きなんですか?」

「え、まぁ……好意はないわけじゃないけど。俺としてはアリシアはクウガと付き合うのが一番と思うよ、お互い思っているんだよね」



 元々クウガの彼女なんだし、俺がここでアリシアを寝取ったら? それこそゲームと同じでクウガが激おこになって殺されるパターンが見える。


 アリシアだって好きな人と一緒の方がいいに決まってる。これがアリシアがクウガの事を嫌いになれば、それはもうアリシアの自由にしたほうがいいとは思うが。


 その時でも俺はたぶん師匠を攻略、好きだから困ったもので……。



「クロウベルさん……僕少しだけ見直しました。アリシアが好きだった人、遊ぶだけ遊んで捨てた、男の勝負すら全力で出来ない卑怯者と。あげくの果てには自分は貴族だから僕みたいな冒険者の意見なんて聞く必要はない。貴族と冒険者は差があるんだからさっさと出て行け。と圧力をかけているのかと。さらにアリシア以外にも色目を使い世の中の女性は全部自分の物と言う顔で……殺しても殺したりないぐらい。と思ってました。」

「どんな感想!?」



 ひどすぎる。

 合っている部分あるだけに全否定はしにくい。




「ですから、アリシアが治ったら全力で勝負してください」

「全力で……?」

「はい、良くアリシアから注意されるんです、なぜかクロウベルさんの事を思うと良くない気持ちというか……嫉妬心ですかね。こんなにも僕を思ってくれてるのに、その弱い僕の心を殺してください、僕も殺す気でいきます。アリシアは即死以外なら大丈夫っていっていますし」



 遠慮したい。



「いいなぁ男の子はコソコソと友情があって、はい。お茶」

「友情と違うからね。俺はクウガに殺害予告されてるからね」

「水龍陣……でしたよね絶対に超える力を手に入れます」



 クウガは燃えているが、主人公補正でどんどん強くなるからな……俺の強さなんて修行はしているけどそのうち止まるよ。



「話は終わったようじゃな」

「ようじゃっな! クウ兄ちゃん」



 玄関を見ると先ほど逃げていった師匠達が戻ってきた。



「師匠! とミーティア?」

「ド変態が名前でよばないんでほしいですけどー! まぁミーティアちゃんは可愛いから名前で呼ぶのはしょうがないんですけど」

「なに、そこで会ってじゃの」

「うん、メルさんから沢山お小遣いもらった。アリ姉ちゃんの好きな物沢山買ってきた。クウ兄ちゃん駄目だからね! 追放とか!」

「ミーティアちゃん」



 なんだ、ぶん殴りたい。と思ったけど結構いいやつじゃん。



「クィルも買ってきた……」

「はいボクもです。クウガさんは知りませんが、きっとクロー兄さんとメル姉さんが解決してくれます」



 後ろから残った2人も入ってくる。

 アリシアは少し泣いているのか、ありがとうと、いいながら目を抑えた。



 ――

 ――――



 アリシア達と別れて夜になる。

 2部屋になった部屋で手前に師匠とノラ。

 俺は奥の部屋で体を縛られて寝かされている、別に縛る事ないのに。ちょーっと「寝ている師匠の浴衣を治す係がしたいです」って言っただけなのに。



「ウォーターシャベリン」



 短く詠唱し両手足の縄を斬る。

 手首や腕を回し怪我がないことを確認してそっと部屋を移動する。


 布団の上には寝相のよいノラと寝相の悪い師匠がいて、師匠の足がノラの腹に乗っている。

 唸っているが下手に触るのもだめだろう。

 見たい、俺だって見たい、ちょーっと屈めば師匠のパンツが見える。

 胸なんて浴衣で寝てるからもうこぼれそうだし、まぁここは我慢だ。



 そっと部屋を抜け出すと「散歩じゃ?」と師匠の声が聞こえて来た。



「起きてたんですか?」

「ドアホウが逃げるのかと思って目が覚めたのじゃ」

「よし、逃げましょう! 2人で!」



 俺は師匠の手をとって面倒な事を全部捨てて逃げようと提案した。

 もちろん、冗談だ。

 


「ワラワはそれでもよいのじゃ。フェーン山脈でええのじゃ?」

「…………悪い冗談で」



 俺の冗談に冗談を返したのだろう。そう思いたがったが師匠の目は本気の目だ。



「アリシアは出来る子じゃが、死ぬ事に抵抗が無さ過ぎるのじゃ……今を助けてもいずれは死ぬじゃろうな、いまならノラを連れて去る事も出来るのじゃ」

「そうさせないためには?」

「さぁのう。この魔女メルギナスにもわからんのじゃ」

「師匠……」



 師匠は黙って首を振る。



「このばっかちんがー!」

「なっ! なんじゃ!?」

「そういう《《正体を言う時はもっといい雰囲気の時にカミングアウトですよ》》! なんで今なんですか」

「ああ? ドアホウ、やっぱりワラワの事を知ってるくせに知らないふりとかいい加減に疲れたのじゃ! どうせ見えてるんじゃろ。この耳!」



 よく見れは長い耳を強調してくる。

 なお普段は俺だって普通の人間の耳にしか見えない。



「見えませんよ! たまには見えますけど!」

「やっぱりなのじゃ! この技法を編み出すのに何十年かかったと、そこらのガキになのじゃ!」

「そう言いますけど! 何十年も時間があるならアリシアの事だって何か解決あってもいいと思うんですけどー!」

「なんじゃ!」

「だってですね!」



 部屋の扉がガラっと開いた。

 俺と師匠は無言で首を向けると目をこすっているノラがいる。



「メル姉さん。クウ姉さん。うるさい……寝れない……」

「ごめん」

「すまんのじゃ……」



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