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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


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第367話 セワシ君方式の未来と元凶その1

 スミレは俺の腹から剣を奪って逃げて行った。

 まだ動くと血が出そうな腹を押さえて馬車の荷台に乗っている。



「ごめんなさい……」


 

 謝ってくるのは御者をしているサクラで、荷台には俺の他にメルナとノラも載っている。



「いやもういいから」

「はい……」



 謝ってくるのは御者をしているサクラで、荷台には俺の他にメルナとノラも載っている。

 怪我をした俺はノラに言われるまま膝枕されて腹を押さえている状態だ。

 



「最初に気づくべきだった。そもそも俺の息子ってのスミレが俺を殺したらサクラもスミレも生まれてこない事になる」



 現時点でメルナが妊娠してなければの話だけど、メルナを見てもメルナは何も返してくれない。

 だからスミレは俺の子じゃないのだ!! と宣言──。




「あっ大丈夫です!」

「……なにが?」

「はい! ギー……ごめんなさい! 時魔法に詳しい先生がいっていましたけど、生まれるのは生まれるって言ってました」



 ギー? 凄い歯ぎしりだ。それは置いて置て未来では時魔法の先生までいるのか。


 生まれるには生まれる。と言うと、じゃぁあれだ。

 俺がもっとも困るパターンBのほうだこれ。


 あっぶね。

 色々変な事を言って場を混乱させる所だった。


 

「ロウよ。もしかして襲って来た奴は自分の子じゃない。と宣言しようとしていたのじゃ?」

「ま、まさかー……俺はメルナと同じ事を言おうとしただけですよ。サクラに言ってやってください」

「仕方がないのう」



 メルナが静かに言うのでメルナも気づいたのだろう。



「メル姉さん、今の説明でわかったの?」

「何となくなのじゃがな。ようは──」



 メルナがノラに説明しだす。

 その答えを聞く前にわかるよ。あれでしょ? 母親から生まれるのであって俺がここで死んだ場合、適当な奴が親になるパターン。


 未来から来たお手伝いロボットが結婚相手を変えても最終的には同じ孫が生まれるあれだ。


 俺じゃない場合。

 この双子の親は魔力が高くてメルナとも親しい男と言う事になる。



「いやいやいやいや!」



 現状で俺の代わりになる父親候補ってクウガじゃん。

 一気に萎えた。



「ごめんなさい。私変な事いいましたか!?」

「ああ、いや……こっちの話。一応まだ俺の娘だよね?」

「もちろんです!」



 その言葉で少しは元気を出す。



「メルナが浮気したら、俺がパパじゃなくなるのか」

「なっ! しとらんのじゃ!」

「メル姉さんはクー兄さんに一途だもんねー」

「ノラ。それ以上言うと強制的に吹き飛ばすのじゃ……まぁ今後ロウが死んで、サクラの親にどんな男が来るかはある意味楽しみなのじゃ」



 吹き飛ばされそうなノラは慌てて口を閉じる。



「で、なんだっけ……そういえばスミレのその呪い? どうやったら治るんだっけ聞いたっけ?」

「装備を破壊すればいいと思います!」

「部位は?」

「知りません!」



 自信満々に返事が来た。

 あー……もうやる事が渋滞して来たしやる気も滅茶苦茶下がってくる。


 同時クエストって本当に面倒。

 特にゲームと違って移動が。移動だけで数ヶ月単位とかいくからねこれ。

 解決する前に俺もお爺ちゃんになっちゃうよ。



「よし。順番にいく」

「クー兄さん、解決方法わかったの?」

「まずは帝都。そこでミーティアに会う」

「ミーティアさんに?」

「それまでは寝る」



 俺はノラの膝枕からメルナの太ももに頭を移動した。

 メルナが下を向いて俺とまっすぐに眼が合う、お互いに無言だ。



「一応言うと、俺の傷がまだ完璧にふさがってません」



 それだけ言って俺は無理やり目をつぶる。

 一か八かの賭けだったけど平気そうだ。



──

────


「起きるのじゃ」

「うい?」



 口元の涎をメルナのワンピースでふく。

 脳天に物凄い痛みが走ると、俺はそのまま馬車から転がり落ちた。



「いっ!? て、敵!?」



 アンジュの剣を構え周りを見ると馬車から俺を見降ろしてるメルナしかいない。



「どこ? 敵は?」

「帝都じゃ帝都! 何が敵じゃ、ワラワの衣服を汚し追って」

「夜はもっとよごれ……冗談です。杖辞めて」



 メルナは俺に向けてる杖をマジックボックスへと消した。



「ふん。着替えるからまっとけなのじゃ」



 馬車の荷台にカーテン代わりの布で仕切られるとごそごそと荷台が動く。

 その間に俺は周りを見た。

 帝都の外れにある馬車置き場にいるのを確認。

 ノラとサクラは今の所見当たらない。


 布が開くと、先ほど同じ服のメルナが荷台から降りて来た。



「2人はミーティアを呼びに行っておるのじゃ。で? どうするつもりじゃ? 殺すのじゃ?」

「トンデモ発言で。俺の子……というかメルナの子の可能性もあるんですけど!?」

「ロウが黙って死ぬよりはいいじゃろ……」

「メルナ……」



 靴をトントンとするメルナを無償に抱きたい。

 思わずメルナにかけよると、手で制しされた。



「と、いうかロウお主どうやって死ぬんじゃ? 体吹き飛んでも再生するのじゃし、いっそこのまま何度も刺されて相手が飽きるの待ったほうがいいのじゃ?」



 悪魔のような提案だ。



「痛みはあるんですけど!? 世の中には俺の知らないなどもアイテム沢山ありますからね。例えば知ってるアイテムで『光の宝玉』元々は敵の魔力を0にするアイテム何ですけど、俺の『再生(強)』が魔力依存とすると、それ使われた時点で詰むんですけど」

「あったのう、そんなアイテム」

「だから却下。極力その憎悪を増幅させる腕輪って多分『凶神の腕輪』でしょ?」



 『凶神の腕輪』

 ステータスが上がるが常時バーサクになる腕輪。

 マテリアの枝と似ているが、攻撃特化にした感じの呪われた装備品。



「ほう、そこまで」

「関心どうも。あっ皆帰って来たみたい」



 遠くからノラやサクラ。ミーティアが歩いて来る。



「よう。悪いね休んでいるところ──」



 俺がミーティアに挨拶をすると、ミーティアは俺の挨拶よりも早く喋ってくる。



「ミーティアちゃん聞いたよ!? サクラちゃんってミーティアちゃんの子で変態ちゃんを殺しに──」

「じゃねえよ!! どこでそうなった!?」

「違うの!?」

「あってたまるか! 俺とメルナの子!!」



 俺は力強く言うと、後ろからメルナが「決まってはおらぬのじゃ」と小さく付け足す。いや付け足さないで。



「ほらぁ。メルさんもああ言ってるけど、母親決まってないんだよね?」

「俺が1度でもミーティアと寝た事あったか!?」



 なぜかミーティアは腕を組んで考えだす。


 しかも長考。


 無い。

 神に誓ってない!!



「じゃぁミーティアちゃんじゃないかぁ、あっ! アリ姉ちゃんの──」

「無い! それも無い!! 頼むからこれ以上フラグ立てないで」

「ぶー……で、クエストキャンセルして待て来たんだけど、ミーティアちゃんの力を借りたいって何するの?」



 それは少し悪い事をした。

 後で保証金を渡したほうがいいんだけど、受け取ってくれるかな。



「直接の用ってないんだけど、竜の笛でアレ呼んでくれない?」

「ナイちゃんの事?」

「そうソレ」



 一応は友人と言う形に収まってるけど、好きではない。

 基本蜃気楼の城でどこにでも現れどこにでも消えるので、直接会うという事がない奴。

 会うとしたら蜃気楼の城を探すが、ミーティアが持ってる竜の笛で呼ぶしかないのだ。



「じゃぁ呼ぶね!」



 さすがミーティアだ、呼ぶことに対して何もちゅうちょが無い。

 ナイだけに。


 古びた細工のある笛を鳴らすと、音が聞こえない。

 ノラの隣にいたサクラが突然首を大きく動かした。


 何もない空間が捻じ曲がると、海パンとサングラス。浮き輪をもったナイがにょきっと現れた。



「最近は呼ばれる回数が多いんだけど、何かな? 世界の危機? 別空間の侵食? 空から星が降って来たとか? って…………何このメンツは? あっ! メルギナス。久しぶりだね、それに可愛い子も増えたのかな?」



 露骨に俺だけを無視してくる。



「暇そうな竜人な事で。バカンスか?」

「ああ。なんだ! 君もいたのか」



 思いっきりいるわボケ!



「で、本当に何の様? また君と訓練とかしたくないんだけど? あの子は今日はいないみたいだね。ねぇメルギナス」



 あの子というのはアリシアだな。

 アリシアの圧は凄いからな。



「ロウに聞け」

「ロウ!? えっ何時から名前呼びに!? まさか君が──」

「その下りはもういいから、先にいくぞ!! 『狂神の腕輪』その破壊方法を教えろ!」

「………………君。なんで僕が持ってると思ったんだい?」



 それまで笑顔だったナイが静かに聞いて来る。

 首をクイっとサクラへ回す。



「サクラ。渡した奴ってコレでしょ?」



 慌ててサクラが頭を下げて挨拶をした。



「ご、ごめんなさい。おひさ……ええっと初めまして。パパの娘のサクラと言います。あのスミレお兄ちゃんに渡したのはナイさんとセリーヌさんですよね?」

「…………君達は本当に。メルギナス、事情を説明してもらいたいね」



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