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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


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第364.5話 (他人視点)超未来での存在する世界

 学園都市クウガ。

 元々違う名前だったんだけど、この名前が定着し始めた。

 その町にある学園の食堂で私、サクラはちょっと困ってる。


 だって空の食器を乗せたトレイを持ったまま私の横に立つマリアンヌ副会長がじっと見つめてくるから。


 マリアンヌ副会長はすでに食事を終えていて、広い食堂の中、どこに座ろうか迷っていた私にこの席を譲ってくれたの。

 

 でもなんだろう、私を見る目がゾクっとする目だ、だからちょっと困ってる。

 スミレ兄さんに任せたい。



「今日訪問したサクラさんのお父様って……相変わらず、老けませんしかっこいいですわね。ねぇサクラさんもそう思いますわよね。あの人は愛人は受け付けてますのかしら?」

「うん。パパはかっこいいけど……え!? スミレ兄さんの事好きじゃないの!? え、愛人!?」



 だってマリアンヌさんはスミレ兄さんの彼女だ。

 ……惚れっぽいスミレ兄さんが一目ぼれした人で先日やっと告白が成功した。ってこっそり教えてくれた。



「え、あんな子供より大人のかっこいい男のほうがいいわよ。そもそも告白をOKしたのだってサクラさんのお父様に近づくためよ。サクラさんわたくしが新しいママ、そうね2号は嫌かしら?」


 


 英雄クウガさんが、その仲間とともに大迷宮を攻略してその上に作られた街。

 その学園長の友人であるパパは私達の様子を定期的に見に来る。


 私とスミレ兄さんは双子の兄妹で、今はこの学園で寮暮らしをしている。



 ど、どうしよう。

 マリアンヌさんの本命がスミレ兄さんじゃなくてパパって事だよね。



「ふふ、すぐに答えは無理ですわよね。大丈夫ですわ、このマリアンヌ。平民といえとサクラさんも可愛い子として愛しますので、では」



 行っちゃった……。

 あと平民っても学園内は貴族も平民も関係ない教育だし、その事も先生たちに言ったら怒られる奴なのに。


 どうしよう。


 困っているとパパが私を見つけて歩いて来た。

 パパは気配を消すのが上手いみたいで、すぐに私に近づいて来る。


 突然背後から冷たい水が首筋にかかった。



「ひゃ! ご、ごめんなさい!!」



 突然立ち上がったので私は注目の的だ。

 首筋を触るも液体もついていない。

 周りの注目を浴びた後私は黙って座る、目の前にはいつの間にかパパが座っていた。

 昔から見た目が変わらず、上級生の部類にも間違われてもおかしくないほど。



「くっくっく……いやぁごめんな」



 首筋の水滴はパパのイタズラだ。



「もう、ママに言いつけるから……」

「悪かったって……さっきの女性……だよな。なにあれ」



 パパは昔から興味ない人はあまり覚えない。

 それにたまに男女を間違える。以前私の友達が男と思ったらしくお風呂入ろうとして無茶苦茶ママ達に怒られていた事もあるぐらいに。


 なので何かあると直ぐにママや私に聞きに来る。



「パパの事が好きだって人……でもどうしよう、スミレ兄さんの恋人なの」

「はぁ?」



 私は事情を話すとパパは困った顔になった。



「俺よりもクウガのほうがいいと思うんだけどな」

「クウガおじさん?」

「ああ、今でも現役で……いや、子供に話す内容じゃないな」



 突然に食器の割れる音がした。

 振り向くと青い顔のスミレ兄さんが立っている。



「サクラ、それに親父。今の話って」

「え、あ……うん。スミレ兄さん、ええっと元気だして」

「スミレか……その、またすまん。お前の口から謝っておいてくれ」

「出せるか! これで何度目と思うんだ!! わかった親父がいるからこうなるんだ……頼むから死んでくれ!」




 ──

 ────


 私は慣れない馬でひたすらに走る。

 学園からの脱走。

 今ならまだ間に合うはず……狐面をしっかりと被りスミレ兄さんが向かった先に。


 私が迷宮の奥、その目的地に付いた時にはもう遅かった。

 優しそうな顔で太った人が地面に横たわり「もう行った後だよ」と殴られながら笑っている。

 殴っているのは馬乗りでマウントしてるパパだ。



「ふざけんな! どこの世界に何度も何度も過去に送る馬鹿が! ってか未来が変わったらどうするの!? 俺やっと幸せになってるんだけど!? 人生のイベントを計算すると、まだマイナスだよ!?」

「ぶっはっはっは、君の人生は長いんだからいいじゃないか?」



 スミレ兄さんが消えた。

 私はそっちのほうがショックだ。

 パパとその自称お友達の人の話があまり入ってこない。


 パパがその太った自称友人さんから離れると肩を震わせている。



「たっく、メーリスもナイもとんでもないアイテムを……あいつら1回死んだほうがいいだろ、何が憎悪を増やし力に変える腕輪だよ」

「と、いいながら殺さない君は友人思いだよ。さて時間軸の話だったね。そもそも君の息子は本来であれば既に……」

「言うなっ」



 パパの体から殺気が出た。

 私は余りの事に体が震えて来た。



「ん? サクラか、いつの間に……」

「ワシが殴られてる時に来てたね、時間軸の修正だよ。君だって理解してるだろ? 無理やり曲げた歴史は波となって襲って来る」



 難しい話をしてるけど、少し理解できる。

 魔法科の授業で時魔法が以下に危険なのか習った。

 特別講師のギース先生が割れたコップを戻してくれた瞬間。割れてないはずのコップが複数個同時に割れたのを見せてくれた。


 『1を無かった事にするとその数倍被害が出る』とか……。



「ワシも鬼じゃない。前回の事で大変まなんだよ。なので! たとえ君が過去で殺されてもこの時間軸は大丈夫さ、安心して過去の君は死んでくれたまえ」

「出来るかぁ!! ちっ……出せ!」

「何を? もしかして君男性にめざめぐふ。この体になっても痛覚はないが心が痛いんだ」

「うるせえ。あるんだろ? 他にも過去に飛ぶやつが。1度や2度俺に彼女を取られたぐらいで。そもそも俺は取ってない!」

「あの子は惚れっぽいねぇ、5度目と思うよ? そのたびにあの子、君の存在を消したいって相談にうけるもん」



 パパと自称パパの友人さんが言い争いをしてる。

 後パパががっくりと四つん這いになった。


 うん。パパが迎えに行ったら絶対にこじれるよ。

 自称パパの友人さんがパパと一緒に宝物庫に入って行く、パパが受け取った十字架、私はそれを奪った。


 一瞬で遠くなる周りの景色、パパが私に叫んだ言葉を胸にしまって一気に辺りは姿を変えた。



 ──

 ────


 宿場にある宿。

 私はその扉の前で静かに息を吸う。


 はぁはぁはぁ……スミレ兄さんは強すぎるよ……私だけじゃ無理。

 この世界に来る時に『俺を頼れ』そう言ってくれたけど。


 魔力の気配をたどって来たけど本当にここにパパが……でも、どうやって説明しよう……。


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