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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


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第364話 禁則事項です!

 釈放だ。

 と、言われて監獄施設からでる。


 辺りはすっかり朝になっていた。

 玄関前にはノラが待っていて「お疲れ様クー兄さん」だけ言ってきた。


 俺もノラに「お疲れ様」と言って道を歩く。



「それにしても、メル姉さんは迎にも来ないってクーぷぅ」



 俺はノラの口を手で掴む、空気の抜けた感じになり途中で喋れなくなった。



「怒らない怒らない。メルナだからな……部屋に来なかったのは俺なら何とか出来るだろう。って言っては来なかったんだろうし、迎えに来るもの『面倒なのじゃ』とか言って脱ぎ散らかした服を着たくなかっただけでしょ」

「…………すごいクー兄さん!!」



 凄いも何も、褒めておかないと数メートル先のメルナがこっちを見ているからだ。


 珍しい事もあるもんで、ちゃんと迎えに来てくれたのだ。




「なんじゃ。てっきりロウの事だからワラワの事を文句言うと思ったのじゃがな。まっ何にせよノラよ言った通りじゃろ?」

「メル姉さんも凄いよ。クー兄さんは『褒めているようで褒めてないセリフをいうじゃろ」ってその通りだったね」

「ん? いや褒めたけど?」



 合流したメルナもノラも俺を見ては黙りだす。



「と、とりあえず、2人とも朝食にしようよ。クー兄さん何も食べてないでしょ?」

「まぁ……牢屋の中にいたし」



 メルナは軽い咳払いをして俺を見た。

 俺の顔をじっと見つめている。



「え。キスでもしたくなりました?」

「……はぁ……こんな奴の……まぁいい。店はすでに手配してあるのじゃ」

「珍しい、ってかですよ。この辺では宿場で食べれそうなのは保存食ぐらいですし、マジックボックスに何か無いんです? 少しなら俺のほうにも蓄えありますけど」



 調理された料理は入らないのはあったが、今回は生肉はマジックボックスに入ったのがある。



「クー兄さん。わざわざ食べれる所があるのにもったいないよ?」

「そうかな?」



 でも節約家のノラが言うんだ、そうなんだろう。

 『名産は現地で食え』って言葉もあるし。


 まぁメルナが店を手配してるなら、俺も別にそれ以上は言わない。

 ここで一言でも文句を言うなら、俺だけが宿場の外で1人バーベーキューし、メルナとノラは店で食うに違いない。


 程よく混んでいる酒場に入る。

 メルナが「こっちじゃ」と言うと4人席へと座った。


 俺が最後に座ると、テーブルには酒が4つ、揚げ物などが並べられた。



「先ずは、乾杯じゃの」



 メルナが言うと俺達4人はそれぞれ乾杯する。

 ノラから「飲んでもいいけど事故はしないでね」と小言を貰いつつ軽く胃の中へ。


 別に飲酒運転禁止とか、帝国ではないからな。

 馬や馬車持ってるほうが珍しいし。


 これから何十年もすると車とか出来るだろうけど迷宮や魔物が湧く世界で発展するのかは不明。

 車が走れる道路作っても迷宮が地下に出たら終わりだし、空にも魔物はいる。



「お主も腹ぐらいへるじゃろ。会計は気にするななのじゃ」

「は、はい」



 最初俺に言ったのかと思ったら、メルナは俺じゃなくてその隣に座っている奴に言った。

 フードをかぶり可愛らしい顔をしている少女で、遅る遅る飲み物を飲んでは小さい口に揚げ物を入れている。



「ふむ」

「どうしたのクー兄さん」

「いや、俺が昨日襲われた奴ってこんな子だったような気がして」

「気のせいじゃろ。ロウよ考えすぎじゃな」



 ノラが普通にしてるし、メルナも気にしすぎって言ってるし気にし過ぎ…………。



「って、なるかーい!!」



 俺は思わず突っ込んだ。



「え、なに。君、昨日の子だよね!? 何普通に飲み物飲んでるの!?」

「え。あっ……ごめんなさい! すぐに返します」

「どうや──」



 少女は口に指を突っ込むとグラスに飲み食いした分を返した。



「はぁはぁ……ど、どうぞ。まだ綺麗です」



 全然綺麗じゃない。


 あまりの事に俺達の周りにいた客が一斉に外に出たり、嘔吐したり離れたりする、すぐに店主が大慌てで飛んできた。

 メルナは俺に何とかしろ。と目配せをするので、大金を店主の前に出す。


 1枚100万円分はする金貨を10枚見せつけた。

 流石の店主も価値がわかったのだろう、青筋立てていたのに笑顔になって『ごゆっくり』とグラスを変えて戻っていく。


 すぐに新しい酒と頼んでもいない料理がテーブルに並べられた。



「ええっと、悪いね」

「なに、本日は休業にしまっさ。厨房はあけてますんで追加の料理が欲しかったらベルを鳴らしてくだせえ」



 店主に礼を言うと急に静かになる。

 だって俺たち以外に客はいないし、誰も喋らないから。


 メルナはパクパクと料理を食べて、ノラは俺をじっとみている。問題の少女は下を向いて『ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさ──』と呟いているのが聞こえてくる始末だ。



「ええっと」



 俺が声をだすと少女の体がビクっとなる。

 それはまぁ置いて置いてだ。



「メルナ……ええっと、この子は?」

「昨夜ノラが捕まえて来たのじゃ」



 ノラのほうを見るとドヤ顔だ。

 むしろ、逃がしておいて欲しかった……だって面倒な事に巻き込まれそうなんだもん。


 いつものノラだったら、逃げられても捕まえても結果言うはずなのに言わなかったのはおかしいって思っていたんだ。



「そ、そう……自己紹介できるかな?」

「なさい。ごめんなさい。ごめ──」

「謝罪はいいから。名前!」

「ひっ……はい。サクラっていいます。はい、ごめんなさい!」



 珍しい東方系の名前か。



「一応俺の名前はクロウベル=スタ──」

「は、はい。知ってます……パパ」



 …………。

 ……………………ふむ。


 ノラを見ると何も表情は変わってない、普通に食事をしてる。

 怖いけどメルナのほうを見るも、メルナも特に何も言ってこない。



「…………違うからね」

「パパ……」



 うっ! すがるような眼が。



「否定するならさっさとするべきじゃな! よくもまぁ、そんな心当たりありそうなやつがワラワに結婚を申し込んだ者じゃ、返事を保留でよかったのじゃ」

「うわぁ直ぐに否定すると思ったのに……」



 2人の眼が超冷たい。

 ゴミを見る目だ。


 いやまって。この世界重婚は認められてるし、昔遊んだ時の場合があるじゃない。

 メルナだって数百年も生きていたら子供の1人や2人いたって俺は怒らないよ? それを男の俺だけが……ん? 生きていたら?



「あれ、メルナ」

「なんじゃい浮気者なのじゃ」



 声が微妙に怒ってない。

 ノラを見ると下を向いて肩を震わせている。



「あれ、ノラ笑ってる? というかだ」

「わ、笑ってな……くっ……メル姉さん気づいたみたいよ」

「やましい事が無ければ、普通は先に気づくじゃろ」



 俺はサクラを見てからメルナとノラを交互に見る。



「無理でしょ。俺の年齢がいま22歳として、この子どう見ても15から16歳ぐらいっすよね。俺の事をパパって……俺が7歳で作った事になるんですけど」

「ロウなら余裕じゃろ」



 頑張れば。

 じゃなくて。



「……無理ですって」

「即答しないのがクー兄さんらしいよ」

「サクラよ、もう一度パパとやらに会いに来た理由をお主の口から言うのじゃ」

「は、はい。パパ……サクラは未来から来ました。パパの娘です」



 うん。

 悪い冗談だ。



「はい、そうですか。ってなるかーい!」

「ご、ごめんなさい。ごめんなさい」

「どこの世界に未来から来ましたって、そんな出来もしない……ん?」



 言葉が止まる。

 俺から見ると未来から自分の子供が来たってあり得ない話を聞かされている。

 メルナを見ると俺と目があった。



「メルナは信じるんです?」

「ワラワも数百年前に未来から来た。って押し掛けてくるストーカー変態と会った事があるなのじゃ」

「じゃぁ俺じゃないな。ストップ! 街中で魔法は駄目!! 杖しまって!!」



 メルナは杖をしまうと、思いっきりため息をつく。



「ロウしかおらんじゃろ……」

「うい」

「まぁまぁ2人とも。サクラさんが困ってるよ?」



 おっと。

 サクラを見ると「私のせいで、ごめんなさい」と連呼してる。

 俺の子にしては気が小さい。というか。



「母親ってメルナ?」

「うわ、クー兄さんドっ直球」



 当たり前だ。



「子供ってのは1人で作れないから、ねぇメルナ」

「…………ロウなら1人で作れそうな気もするのじゃが」

「クー兄さんなら出来そう」



 あの2人とも俺は別に魔物じゃないからね? 魔物の中には1匹から増えるのもいるらしいけど。



「ご、ごめんなさい。ママに関しては色んな人から口止めされてます! 未来に大影響がでないようにって」



 なるほど……そういえばメルナも俺との記憶を封印したんでしたっけ。

 となると、俺を襲って来た狐面も姿形から同じ未来人か?

 最初は俺自身かと思っていたけど違ったし。



「パパ……スミレ兄さんを助けて欲しいの……」



 俺の記憶に存在しない未来の記憶がよみがえる。

 存在しないっても、変なバグが見せた可能性の未来。

 普通であれば男は別に助けたりしないし、面倒事も頼まれたくない。



「兄さんって事は、そっちも俺の子?」



 サクラは黙ってうなずいた。


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