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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


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第342.5話 (他人視点) 暑い夜の女子会

 帝都の街並みを見ながらため息を出していた。



「帰ってこないのじゃ……あの馬鹿者……へっくち」



 送り出したのは昨日の午前中。

 あの馬鹿……ロウに渡した転移の門のメモがあれば数時間で帰ってこれるはず。

 アリシアに引き留められたか……ロウがアリシアを選らんだか。


 そうであればワラワも身を引いたほうがいいじゃろう、魔力を一切消して遠くに行く。元々人は人と付き合うべきなのじゃ。


 ちと人の世に長いしたのじゃ、頃合いかの。



「にしてもあやつも」



 部屋にある呼び鈴が鳴らされる。

 短く返事をするとメイド達が立っていて大きく頭を下げてくる。

 部屋の掃除じゃろう。

 そのメイド達の背後に、笑顔を張り付けた男がワラワを見ていた。


 マジックボックスから杖を取り出し先端の魔石へと少量の魔力を流す。



「魔女よ。可愛い帝国の民が怯えているそう殺気を出さないでくれるかな?」

「何の様じゃ? 帝国の皇子よ」

「ほらほら、失禁してる子も」

「安心するのじゃ。ワラワの狙いは性格にお主の頭だけを吹き飛ばすのじゃ」



 アレキ=パール。帝国の皇子で馬鹿と同類の馬鹿。



「おや? 出来るのかい?」



 指を動かし先端の魔力を発射させた。

 男はメイド達を押し倒し床に倒れ込んだ。


 ワラワは倒れた男の頭を踏みつける。

 無言で先端の魔石を落とし、新しい魔石をセットしてその狙いを定める。



「まったまった、降参だ!」

「………………ふん」



 杖をしまい近くの椅子に座りメイドを見る。



「早く掃除してくれなのじゃ」



 メイド長と思われる女は頷くと必死に動く、その横で立ち上がったアレキがワラワの近くに座って来た。



「何の用じゃ?」

「つれないな。しかし、本気で撃つとは……さすがは魔女だな。あと1秒でも遅かったら俺様は死んでいた」

「殺す気で撃ったのじゃ。当り前じゃろ」

「で、彼氏はどこかな?」

「…………あやつなら昨日からいないのじゃ」



 どうせ『彼氏』と言う事でワラワの事を知ってるぞ。と優先を付けたいのじゃろ。



「マジか。彼、不老不死になったんだろ? 帝国の若い女兵士を抱いて貰おうと思って頼みに来たんだけど。そうだな、先に聞いておくか。もしかして魔女の許可が無いと出来ない。とかあるのか?」

「ほう。挑発か? この魔女メルギナスに人間風情が」



 部屋中の窓ガラスが割れると、人呼吸おいて叫び声が聞こえだす。

 目の前の男の顔が蒼白になっていくが、自らの力と相手の力をわきまえない奴は生きていても仕方がないじゃろ。



「まっ! 俺様を殺すと彼が困る!!」

「…………困らんと思うのじゃ」

「…………それは表向きに、こう見えても義弟やアリシア君とも仲が良いんだ!」



 ふう……アリシアか。

 ロウはともかく、アリシアに迷惑はかけたくないのじゃ。仕方がない……もう少し生かすか。

 殺気を収め座りなおした。



「で。本当に何の様なのじゃ?」

「本当に今言った事なんだ。彼の子供は魔力が高いと思うんだ、さらに不死……いや不死でなくてもいい『再生』の少しでもあればだ。帝国は無敵の軍を作る事が出来る!」



 昔おったな。

 同じような考えて不死の軍勢を作ろうとした馬鹿な人間が。

 ワラワが灰に変えたがなんじゃったかなぁあの人間の名前は。



「辞めとけなのじゃ……ワラワが言う事でもないのじゃがな、ロウがいいって言うのならいいじゃろ。しかしじゃ……過去に再生持ちの人間がおったのじゃが子孫にまでその力を受け継いだ。と、言う話は聞いた事ないのじゃ」

「そ、そうか。問題は試そうにも、その彼はいつ帰ってくるんだ?」

「知らぬ」

「『知らぬ』って事はないだろ、魔女よ。君と彼は…………」



 よくもまぁ喋る人間じゃ。

 いっその事口を吹き飛ばそうかのう……。



「忍者マスターミーティアちゃん参上!! って。何この空気!? メルさーん買い物いこう買い物! あっ馬鹿……。おっと、皇子様だ」

「君達。これでも俺様は皇子なんだけど、この俺様の口1つで君の冒険者資格何て取り消せるぐらい権力あるんだっぐぬ!」



 ワラワは目の前の男の服を掴み、割れた窓の外へと掴みだした。



「いい加減うざいのじゃ。魔女と対等にしゃべる事さえ許されてると思っておるのじゃ?」



 ワラワが手を離せばこの男は地面へと落ちるのじゃ。

 本来であればこの首を握りつぶしてもいいじゃろうに、ワラワも丸くなったものじゃ。



「その権力を使って今をどうにかしたらどうじゃ?」

「くる──きさま──」



 ほうほう。貴様か、こ奴の本性じゃな。

 なんでこんな男とロウが仲がいいのか知らぬのじゃが、お仕置きぐらいはしてもいいじゃろ。


 ちらっと下を見ると、この男の側によくいる女と数人の男が布をもって準備している。手を離すと男はそのまま地上へと落下し、メイドと男たちがキャッチした。



「メルさーん。顔が怖いよー、ほら笑顔笑顔」

「ええい。ワラワの顔で遊ぶな! ミーティアよ、お主も魔女であるワラワと一緒じゃなく他の、へっくち──」

「いーやーでーす。ミーティアちゃんはメルさんと遊びたいの! どうせ変態ちゃんもいないんでしょ? それにほら風邪は飲めば治るよ」

「…………何で色々知ってるのじゃ?」

「昨日会って、アリ姉ちゃんの所行くって言っていたし、その時に『メルナが風邪だから様子見に行って』とか。それに!! あの変態ちゃんがトラブル起こさないわけないじゃん。だから今日はメルさんがオフの日だろうなって」



 確かに……平穏で暮らしていたはずのワラワはロウと出会ってから一生分のトラブルに巻き込まれてるような気がするのじゃ。



「と、言うわけで女子会しよ女子会!」

「…………ミーティアよ。女子会といっても2人じゃ……ワラワは風邪を引いて」

「あっ大丈夫。サンちゃんとメーリスちゃんと、ナイちゃんも竜笛で呼んだんだけど『僕を殺す気かな?』って帰っちゃった」



 ミーティアの交流はどうなっておるんじゃ……憎めないのは事実だしの。




 ──

 ────


「だーかーらー! メルギナスさんはあの馬鹿の事をどう思っているのでしょうか!!」



 場所は『竜の尻尾』じゃったな。

 3人に連れらて買い物をした後の食事会じゃったはずなのに、目の前には酔っ払いどもがいる。



「サンよ。少し飲みすぎなのじゃ」

「全然です。わたくしは酔っているでしょうか? メーリス」

「メーリスが思うに全然酔ってません、あの人の話が出たので言いますけど、言うなれば私もサンも彼に振られたんですよー! 何が発明だけが恋人じゃ! 私だって」

「メーリス。私は振られてません。好きでもありません。それに今は子供もいるんです」

「強がっちゃって!」

「3割の減給」

「ちょ! サン!! 職権乱用よ! ここは女子会、上も下もない所に現実を持ってこないで!!」



 騒がしいのじゃ。

 ワラワだってアルコールが強いわけじゃないし。

 なんでこの話題になったんじゃろ……確かワラワとロウが最初に出会った時の話をしていて。



「まー実際そうだよね。変態ちゃんって黙っていればかっこいいし、実力もあるし、柔軟だし、女の子に優しいし、ちょっと安心するんだよね」



 ミーティアの発言に2人の女が頷く。

 そうなのじゃ?



「ゴキブリのように生命力が強いだけなのじゃ、下品な冗談は言うし常にスキンシップと言っては揉んで来るし」

「それはメルギナスさんの前だけですわ」

「ワラワ以外にもするのなら去勢したほうがいいじゃろ」



 ワラワは魔女だしな、まだ我慢は出来るのじゃ。

 ワラワの背後から手が伸びて胸を触って来た。



「ミーティアよ、揉んでもつまらんじゃろ」

「うわぁ大きい。ミーティアちゃんいっつも思っていたんだけど。メルさんって変態ちゃんの事どう思ってるの?」

「どうってなんじゃ?」

「だって、変態ちゃんはメルさんの事を好きだ好きだって言うけど、メルさんの口からきいた事無いなって」



 ワラワか。

 別に嫌いではないのじゃ。

 やる事もやったしの、1回はマテリアの枝のせいとは言えじゃ、その後も関係を続けるのはワラワの未熟さと言う所じゃろ。



「それに。仮にだよ変態ちゃんがアリ姉ちゃんとくっついたら思いは冷めるの?」

「冷めるのって、元からワラワは何も思ってないのじゃ」

「またまたメルさんは…………あっ!」



 ミーティアが突然黙りだした。

 ワラワ含め3人の視線が集まるとミーティアのほっぺが膨れる。



「まずいまずい! サン!! 袋じゃ袋!!」

「メーリス!!」

「…………んっ! だ、大丈夫飲み込んだ! 忍法すいとんの術!」



 絶対に違うのじゃ。

 メーリスと言う娘が袋を用意し、サンが水を運んできた。

 ミーティアが礼を言っては水を飲んで……まだ飲むのじゃ?



「って事でメルさんの本心は!?」

「お主ら、ワラワなんてほっとけば良かろう」

「メルさーん。答えないと全員が不幸だよ? アリ姉ちゃんはメルさんだからこそ引いたんでしょ? 変態ちゃんはメルさんが好き、メルさんもハッキリするべきとミーティアちゃんは思うのです!」



 アリシアか。


 あれもワラワに変に気を使って……別にワラワの事を気にせずに関係を持て。と何度か言ったのに何もしなかったのじゃ。

 いくらワラワに惚れてるからと言って、あの馬鹿だってアリシアの事を嫌いなわけないのじゃし、アリシアが押せばいくらでも行けるじゃろ。



「お主らこんな年寄りの魔女を……」

「いいえ! メルギナスさん。女性はいつまでも女の子なんです! 特に恋愛にいたっては」

「…………良いかお主ら、絶対に喋るななのじゃ、ワラワはロウの事を──」



 ──

 ────


「メルさん落ち込みすぎー!」



 酔っぱらったとはいえ、なぜワラワはあんな言葉を。



「落ち込んでなど居ないのじゃ!! あの2人は大丈夫なんじゃろうな?」

「サンちゃんとメーリスちゃんなら馬車呼んだし大丈夫大丈夫。にしても……メルさん! 杖を出さないで。大丈夫絶対に言わないから!!」

「その言葉も大声で言うななのじゃ!」



 先ほどあれだけ飲んだのにミーティアはワラワの周りをぐるぐると回る。



「ミーティアちゃんもね。ちょーっとだけ好きだったかも」

「ロウの事か?」



 まさかと思うが聞いてみるのじゃ。



「うん。だからアリ姉ちゃんの気持ち少しわかるんだー。聞いて聞いて!! ミーティアちゃんクウ兄ちゃんも好きだったの! でもクウ兄ちゃんはアリ姉ちゃんの事が好きでしょ? 中々上手くいかいね」



 ああ、あの優柔不断男のどこがいいんじゃ? これも前々から思っていたのじゃが……若い奴の考えはわからんのじゃ。



「そのクウガは今はフリーなんじゃろ。アタックかければいいじゃろ」

「わかってないなーメルさんは。ミーティアちゃんは、アリ姉ちゃんが好きなクウ兄ちゃんが好きなの。アリ姉ちゃんも幸せに出来ないクウ兄ちゃんは兄ちゃん止まりだよ……所でメルさん元気でた?」

「……何じゃ突然」

「変態ちゃんが居なかったら元気ないかなーって絶対に戻ってくるから待ってようよ。前だって1年以上も待ってたんだしさ。だからすぐに消えようとしない」

「子供のくせに考えすぎなのじゃ」



 ミーティアの頭を軽く叩く事にした。



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