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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


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第336話 さらば東の国

 意識が薄れる中俺は親指を空に上げて……気づいたらどこかの天井が見えた。

 簡易ベッドのようで横を見ると同じように寝かされた人々が沢山いる。


 病院……というか診療所か?


 手足にも包帯が巻かれていて顔中に包帯が巻かれているのがわかる。

 丁寧に取ると髪の毛を触って確認。



「よかった。ある……」



 別に髪型を気にするような歳じゃないが、ハゲはまだちょっと早いかなぁって……あっでもメルナがハゲが好きだったら明日には俺剃るけどね。


 もう一つ、浴衣みたいな寝間着をきせられているので下のほうも見ると、下のほうも毛はあった。


 まぁこっちは別になくても良いんだけどさ、処理が面倒でそのままなだけで。



「下半身の確認なんてして何してるのじゃ?」

「うおおお!? おはようございます! 師匠! ……じゃないやメルナ」

「大きな声を出すななのじゃ、注目されるじゃろ」



 確かに周りの負傷者がこっちを恨めしそうに見ている。

 もてない男たちのひがみだな。



「魔力……」

「ああ、この髪じゃろ。周りの魔力が思ったよりも少なく半分ぐらい持って行かれたのじゃ」



 メルナの髪は水色と黒色の部分が多くなっている。

 普通と逆だ。

 俺みたいな普通の人間は黒髪のほうが魔力が高い。と言われてる。

 


「俺が補助しますよ」

「断るのじゃ、どうせロウの事じゃ介護とかいうつもりなんじゃろ」

「いいませんって」



 たぶん。



「で、目が覚めたら天国じゃないのは確認したんですけど、どうなったんで?」

「ほう、ワラワが居るから地獄じゃって言いたいのじゃ?」

「ええ」



 冗談で言ったんだけどメルナの言葉が止まってしまった。



「はぁ……先ほどから心配したワラワが──」

「え? 何ていいました?」

「何もじゃ。さっさと起き!」



 へいへい。

 あちこちの包帯を取ると綺麗な肌が出る。

 廊下を歩きながら報告を聞く事に。



「オロチに止めを刺したのは神選組近藤、それと沖田じゃ。あの2人で草薙の刀を手にするとオロチは消滅。死傷者は奇跡的になしで重傷者は一般市民含め1000人近いのじゃ。ユキ率いる妖怪チームもロウが配った魔石のおかけで消滅は免れたようじゃな。これで《《自然災害》》の大妖怪オロチ戦は終わりじゃな。町では第二次神選組フィーバーって所じゃ」

「今何て?」

「だから終わりじゃよ」



 そこじゃない。



「そうじゃなくて自然災害?」



 俺の記憶なら原因を作ったのも神選組で今の話を聞いた所、解決したのも神選組。



「そうなのじゃ。表向きはオロチの気が溜まり復活したのが今回のオロチじゃ」

「マッチポンプ……」



 マッチポンプとは自分で火をつけ、それを隠しつつ解決し世間からの評価を得る。と言うやつで。



「部外者のワラワ達が横から言う事ではないのじゃ」

「そうですけど、美味しい所だけ持って行かれたような。こっちは半死したのに」

「そもそも結界の中から早く出ろなのじゃ。他の神選組隊士達が町民や侍、忍者や妖怪などを手分けして結界外に出したというのに。ほれ……適当にロウの着替えを買ったのじゃ。奇跡的にマジックボックスも壊れてないみたいじゃの」

「どうも。買うと高いですからねぇ」



 更衣室と書かれた場所でメルナと別れ、メルナの買ってくれた服に着替える。

 これで着替えた服装が逆バニーやセーラ服だったら笑えるんだけど、普通の西洋風の服だ。


 こういう遊び心がメルナにはない、俺が反対なら逆バニーの衣装用意しておくのに。


 厚手の上下に靴はスニーカータイプ。ベルトに小さいカバンがつけてあり、隠しポケットにマジックボックスを収納できる。



「お待たせしまっ。うっ酒くさい」



 手には一升瓶をもった豪快な女がメルナと話している。



「あっ出たな凶悪犯罪者」

「クロウベルくーん、それはあんまりだよ。こっちの隊士だって凄い被害で出たんだよ? ちなみに君は結構あぶなくてあれから10日たってるよ」

「え。そんなに!?」



 俺の体感でいうと1日ぐらいと思ってた。



「これ見舞いの酒、銘酒竜殺し……」



 近藤は俺に空き瓶になった一升瓶を渡して来た。



「中身ないんだけど?」

「……の空き瓶。起きるのが遅いから飲んじゃった」

「あのねぇ」



 近藤はさらに革袋を渡して来た。

 持つとこれも軽い。



「空なんだけど? これの使った?」

「舌きり雀の袋さっても意味は通じないだろうけどさ、なんと!!」

「あー小さい葛籠つづら、大きい葛籠で大きいほうを選ぶと不幸な事が起きるんだろ」

「…………なんで知っているんだい……」




 質問には答えないと近藤はふう、と息を吐いた。



「葛籠まではいかないけど中には小判が入ってるよ。これで酒を買おうとしたら沖田に怒られてね……悲しいからお見舞いの酒は飲んだよ。一応新しい将軍様と妖怪連盟からの報酬も入ってるよ」

「どうも」

「子作りは駄目だったけど、まぁ仕方がないさね。隊士達は私らにゾッコンでねぇ……だからクロウベル君に任せたかったのに、何も逃げ遅れでカッコ悪い所を見せるとは、あれも作戦かい? お掛けで君の株はさがって隊士が嫌だって」



 そんな事はない。



「メルギナス様達はこれからどうするんだい? 必要なら神選組の剣客として迎え入れたいんだけど」



 近藤は俺の背中から腕を伸ばして抱きついて来る、顔の横にすぐ酒くさい近藤の顔が来る。

 近いって、背中におっぱいがあたるし。


 メルナが見てるんだから辞めてほしい。



「良かったの、一生ここにいたらどうじゃ?」

「離れませんけどね!?」



 メルナが嫌そうな顔をしてるが、本気で拒絶するなら力業でくるだろうし照れてるんだろう。



「じゃぁ何か困ったらこの近藤が個人的に助けるよ。あっ美味しいお酒手土産にお願い」

「手土産要るのか」

「もちろん! ワインも好きなんだ! この国は個人でのワインの輸入はまだご禁制でね。異国人が外から持ち込むのは大丈夫なんだ。ねぇ頼むよ」

「わかったからくっつくなって」



 近藤が離れると、酒くさい息でなおも俺の顔を見てくる。



「じゃっ他の隊士の見舞いもあるから」

「ああ、元気で」



 沖田も来ると思っていたけど来なかった。

 まぁそんなに付き合いあるわけじゃないからな。



「でメルナ。これからどうします?」

「帰るかの。もうそろそろゆっくりしたいのじゃ……家の増築目的でセリーヌと一緒に出たはずなのに、なんでヒノクニにいるんじゃろ」

「確かに」



 全くだ。



「変態ちゃん!!」

「お、ミーティアも元気か」

「もっちろん! みてみてみてみて!! どこか変わったでしょう!!」



 ミーティアはくるっと一回転して謎のアピールをする。

 女性の3代困る質問の1つ。

 他には『何もしてないのに壊れた』などがある。


 興味ない子なんてわからんからね。

 メルナに助けを求めようとみてもこっちを見てない。



「仕方がない尻が大きくなったな」

「がっびーん! ミーティアちゃんお尻大きくなってないもん!」

「そう思うだろ。なってる、ねぇメルナ」

「…………大きいほうが可愛いぞ」

「がっびーん!! 違うから、見てほしいのは来れ!!」



 ミーティアは俺に巻物を見せると口で噛む。

 手で九字という印を組むと「火遁!」とつぶやき口から小さい火を吐いた。



「うおお!? え。まじで!? 忍者の巻物じゃん!」

「えっへっへっへ。凄いでしょ凄いでしょ!変態ちゃんが寝てる間に仲良くなった忍者さんからもらったのだ!」

「羨ましい」



 忍者と言えば日本人の男の子ならだれでも憧れる。

 大人気漫画もあったしな。



「お主ら、治療院の中で騒ぐななのじゃ」

「確かに」



 ──

 ────


 俺も師匠も無言である。

 それはそう、3人で帝都に帰りミーティアと別れメルナの家に帰って来た俺達なんだけど、何もない空間をぼーっと眺める。



「家がないですね」

「無いのじゃ……」



 メルナは寝室があった場所までいくと降り積もった雪を足で退けた。

 俺もその後について行くとメルナはしゃがみ不思議そうな顔をする。



「何が分かりました?」

「対ロウ用の魔石爆弾が爆発してるのじゃ……解除し忘れていたのじゃが、回路には問題なかったはずじゃが……」

「怖い物作らないでくださ……へっくしょん」



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