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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


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第334話 大蛇は悪くない……はず

 沖田がご意見箱を持って来たのが午前3時。

 これからその箱を開けようかと言う時に襖が開いた。

 寝間着姿のミーティアである、右手には枕、左は腰にポーズが決まっている。



「ミーティアちゃん面白そうな事あると聞いて参上!」

「参上って……今3時だぞ……ってか寝室遠いよね? え、なんで隣の部屋に」

「こ、細かい事はいいの!!」



 全然細かくない。

 本当に何時からいた? 沖田が来なかったら師匠にマッサージする予定だったんだけど。



「ミーティアさん……でいいのかな? 神選組1番隊長沖田翔子だ、よろしく頼む」

「頼まれた!」



 ミーティアはご意見箱を受け取り始めたのは話が先に進む。

 ご意見箱は合計8個。

 その中にある紙を1枚1枚めくっては中身を整理していく。


 高校の文化祭の決め物を思い出す。

 いや、思い出したくない事は封印しよう。



「どこを向いているのじゃ?」

「え? いや何でもないです。で……順番に書いてますけど。多いのは『可愛い』次に『町の施設管理』そんな所ですかね」



 現状町の人は神選組に何ら不満を持ってない。

 それ所か好意的だ。



「それでは神選組の活躍が無いじゃないか! もっとこう倒してほしい敵とか書いてないか!? 例えば……ユキオンナとか」

「…………おいおい、ここにユキがいないからいいけど、居たら戦いになるよ」

「だから何?」



 もしかして、神選組って何かと戦いたい?

 あり得るな、正史っても地球での話になるけど元となった新選組は突如現れた新政府に対抗するべく旧幕府側についた人斬り集団だ。そのトップの理想は凄いだろうけど、全員が全員同じとは限らない。

 唯一同じなのは人を斬る事。


 組織のためなら元仲間でも平気で粛清するぐらいだ。


 もしかしたら勘違いかも知れない。



「その……何かを倒したかったりする?」



 沖田の体がビクっとなった。



「そ、そんな事ない! 無いけど……もし市民が困っているならこの沖田どこまでもいく!」

「他の隊士もそうなのか?」

「……土方さんや斎藤さんは数年前に受けたオロチの傷のせいでいまは湯治に行っているんだ。私はその頃逆に湯治をしていて……元気になって戻って来たの時にはすでに、だからこそ総隊長の力になりたい!」



 ミーティアが「湯治?」と聞いて来るので「温泉に使って治す治療の事」と教えてあげる。



「神選組は弱体化してる! ここで市民の味方である私達が立ち上がるべきだ!」

「どこにだよ」

「ヒノクニだよ!」



 …………どうしたものか。

 意見箱を開けながらいろいろ考える。



「嫁にしたい。奴隷にしたい。あっこれは読めない奴だな。まっ地道にこの依頼をこなせば市民も見直すと思うよ」



 なんだろう、まともな事を言ったのにメルナとミーティアが驚いた顔をしてる。



「ロウにしてはまともな意見じゃな」

「変態ちゃんにしてはまともすぎ」

「俺を何だと思って……あっ」



 1つ思い出した事あった。

 オロチはそもそも大蛇の妖怪でその大きさは昔みた迷宮ボスと同じ種族だろう。

 それは倒されたわけだけど……卵あったな。

 換金アイテムの1つであるのを忘れていた……。



「スタン君何かあるのかい? こう神選組を興奮させる奴が!」

「ない!」

「本当に?」

「本当本当」

「そうか……仕方がない。いやわかった、このご意見箱の市民の困ってる依頼をこなしていくよ」

「そうしてくれ、なんだったら眠い」



 沖田がご意見箱を風呂敷に包みなおすとトボトボと帰っていく。

 ミーティアも眠そうな顔で部屋に戻ると、俺の部屋にはメルナだけが残った。



「で?」

「この地方にオロチが居たのは知ってますよね?」

「話程度にはなのじゃ。ワラワが思うに迷宮か崩れたのじゃろうな」

「まぁその辺は良いんですけど……卵あると思うんですよね」



 成長速度がどれぐらいかは知らないけど、敵はいるかもしれない。



「クロウあそぼー!」



 家の外から少し酒焼けの声が聞こえてくる。

 俺もメルナも無言だ。

 襖が開けられそうになるので俺が必死に抑えると蹴りで破られる。



「おや。破ったようだね……まぁいいか。私の家じゃないし、あれークロウはどこかなー? 鬼叩きという酒を持って来たのだけど、おや? そこに居るのはもしかしてメルギナス様かい? これはこれは、私こそ神新選組総隊長──」

「こ、近藤……早く俺の上から退け!!」



 声だけが聞こえる。



「あれれー? 扉の下で寝そべって何してるんだい?」

「あんたが扉を蹴破るから俺が下敷きになってるの!!」



 近藤は「まぁいいじゃないか」と言うとメルナに挨拶する。

 メルナのほうも、貰った酒を飲まずに横に置いた。



「おや? もしかして嫌われてるのかな?」

「良いから退け……」

「近藤とやら、先日はロウが世話になったそうじゃな。で? 先ほどお主の部下が突撃してきたのじゃが、何用じゃ?」

「蛇退治手伝ってほしくてさ」



 重さを忘れて思わず無言になる。

 この屋敷に忍者はいないはずだし、沖田にもこの話はしてない。



「オロチならあんたら神選組や妖怪衆、それに他の侍が協力して倒したんだろ?」

「もちろんさ! 親のオロチは数年前に倒した。まぁ一杯飲んで聞いてくれよ。あっ飲まないなら頂戴」



 メルナが横にあった鬼叩きという酒を近藤に戻すと、一升瓶のままラッパ飲みした。

 口からヒノ酒が零れ落ちながら飲む。

 半分ほど飲んだ所でメルナを見た。



「これはこれは神選組総隊長、近藤。あんたが──」

「さっき会った事忘れてる!?」

「おや、戸板の下でクロウの声がするぞ? そんな所で何をしてるんだい?」

「良いから手を貸せ」



 近藤に手伝ってもらって戸板の下から這い出る。



「で。オロチの事だ」

「何でクロウがオロチの事を!?」

「いい加減ぶちころすぞ!」

「じゃぁ戦おうか」



 殺気マシマシの近藤が刀を抜いて立ち上がるとメルナが咳払いをする。



「ワラワを怒らせたいのじゃ? オロチが何じゃ?」

「いやぁね。ペットでオロチの子を内緒で飼っていたんだけど、餌を上げたら脱走してね」



 なんて迷惑な。



「餌って事は小さいんだろ? 退治するのはかわいそうじゃないのか?」

「それが、餌に神刀草薙の刀たべちゃってね。城ぐらいの大きさに。いやぁ参ったね。もう飲むしかないねこれ」

「は?」



 廊下を走ってくる大きな足音が聞こえた。



「芽瑠殿!! ま、町が大変な事げっふげふ。こ、腰があああ。この五右衛門の代わりに……!? 酒飲み娘の近藤!!」

「おや、爺さん久々だね。いい加減斬鉄剣くれない?」



 いや、そんな事言ってる場合じゃないよね?



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