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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


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第325話 ロウとメルナ

 城下町。

 いまだヒノクニの城は半分凍っているけど忙しいのは過ぎた。

 俺は冒険者ギルド……こっちでは異国組合と呼ぶんだっけかな。そこの前でメルギナスを待つ。


 この数日の事を振り返る。

 ムラマサは助かったけど将軍の座追われて、さらに車いすの生活、本人は落ち込んでいるけどユキは『だったら一緒に生活するべさ』と嬉しそう。それを聞いたムラサマもまんざらでもなさそうだ。


 城の修復。

 最初に言った通り凍ってるし俺や師匠、ミーティアが暴れまわって半壊、今は修復中。

 沢山の職人や人が城に出入りしては大忙し、俺もかなり手伝った。


 時期将軍の事。

 一番あくどい奴は捕まえて表向きは島流しにした。

 言葉だけ聞くと優しいかもしれないが、表向きの話。

 首切り五右衛門が見送りに言った、つまりそういう事。


 ミーティア。

 他のパーティーと冒険できるように冒険者ギルドに無理やり連れて行った。今日は男性2、女性3のパーティーに士官役として同行中。

 あれでいて冒険者ランクだけは高いからな。



「待ったかの?」



 簡単にここ数日の事を思い出す俺に声をかけて来たのは師匠……ってかメルで日本風の着物を着ては俺に声をかけて来た。



「えっと師匠……じゃない。メル似合ってるんじゃないかな」

「ん。クロウのほうも似合ってるのじゃ」



 なんだこれ。

 滅茶苦茶恥ずかしい。

 これ以上の恥ずかしい事もしてるのに恥ずかしい。

 師匠もそうなのか少し顔が赤い。



「で、どういう風の吹き回しじゃ? 突然に名前なんぞ」

「いや、俺も師匠の事を永久に師匠って呼ぶつもりだったんですけど……どこぞの格闘馬鹿女がですね、好きな人の名前も呼べないの? と煽ってきますし。そんな感じなんですけど師匠呼びに戻します?」

「はぁ──────」



 嘘を言ってもしょうがないので本当の事を話すと師匠がため息を……。



「──────ったく」

「あの師匠、じゃないメルため息が長い!!」

「下らん理由すぎて反吐がでそうなのじゃ、なれなれしくメルと呼ぶな」

「そこまで!?」



 やばい、本気で怒ってる。

 語尾すらないもん。



「申し訳ございませんでした! 俺は一生師匠の弟子です、今後師匠としか呼びません」



 俺は土下座だ。

 冒険者達や侍、町娘が何かをいっていようが俺は土下座。

 何が『恋愛ならミーティアちゃんにお任せ』だ! 正直に言ったら師匠不機嫌そのものじゃん。

 よく考えたらミーティアは負けヒロインでは? そんな子に恋愛聞いても無だったか。



「顔をあげ」

「うい」

「立て」

「うい」



 メルギナス改め、師匠の言う通りに動く。



「ついてこいなのじゃ」

「あい」



 師匠が黙って歩くので、俺も後ろからついていく。

 これ以上何も言わないのが得策だ。


 一軒の小汚い蕎麦屋に入ると師匠は蕎麦を頼んだ。

 婆さんが師匠の顔をみるなり「あいよ」というと奥にいる爺さんに注文を繰り返して伝える。



「蕎麦じゃ? 知ってるのじゃ? どうじゃ知らんじゃろ」

「食べなれてます」

「…………驚かせようと思ったのにつまらん奴じゃの」

「わぁ蕎麦って初めて食べるっす」

「もう遅いのじゃ」



 最初から驚かせるつもりなら教えてくれたっていいのに。

 せいろに入った蕎麦が2つ。

 俺と師匠は薬味を入れてすすって食べる。



 師匠は異国人なのに蕎麦を音を立てて食べる辺り通だ。

 やっぱり日本人……じゃないけど、蕎麦は音を立てて食べるに限る。というか、そのせいで俺は他の麺類も音を立てて食べるのでアンジュに滅茶苦茶怒られて最後は何も言われなくなったのを思い出す。


 凄い小さい声で『小さい頃は音をたてなかったのに』と聞いてないふりをして乗り切ったのを思い出す。


 こんな昔ばなしを思い出すほど、会話が無く沈黙がつらい。

 

 ほかに客がいないし不味い店かと思ったら普通に美味しい。

 謎の婆さんってか店主の家族だろうけど、頃合いを見て蕎麦湯までもってきてくれる。


 蕎麦はうまいのに、これでは死刑執行を待つ罪人の気分である。

 最後に美味しい蕎麦が食べれてよかったね状態。



「そもそもなのじゃ。メルギナスと言う名前は言いにくいし好きじゃないのじゃ」



 師匠が突然俺に話しかけてきた。



「そうなんですか!?」

「正体を隠す意味もあるのじゃが、ワラワがメルギナス。と名乗ってるのをほぼ見ないじゃろ?」



 確かに。

 呼びにくいし、いつもメルで止めてる。

 あのアリシアでさえメル先生、もしくは先生だ。


 こっちにいた侍たちも芽瑠と言う漢字名だった気がする。



「訂正しないワラワもわるいのじゃが」

「そうですね」

「あん?」

「いえ、師匠は悪くないです」

「仕方がない…………お主。いやクロウよワラワの事は今後メルナと呼べなのじゃ」



 メルギナスの名前から一部を取ったのか。

 確かにメルだったら省略してる感じあるし、メールとか伸ばすと手紙みたいだし。そもそもメーテ〇と間違って呼びそう。

 呼んだ日には機械の体を求めて列車に乗らないと。



「メルナ……ですか?」

「ワラワもお主の事を。いつまでもお主やドアホウと呼ぶもの気が引ける。ロウと呼ぶのじゃ。前々から思っていたのじゃがクロウって名前は苦労しそうなのじゃ。最初名前を聞いた正気なのじゃ? って思ったぐらじゃ」



 それな。

 でもまぁすぐに死ぬキャラだしモブの中でも割とまともな名前よ。

 他のモブ何て名前内の沢山いるしさ。

 盗賊のお頭。とか……それもう名前じゃなくて役職だ。




「それともロウベル・スタンと正式名のほうがいいのじゃ?」

「師匠が呼んで……メルナが呼んでくれるならロウで」



 まじか。

 いや、本当にマジか。

 え。師匠の事をメルナって呼べって?



「師匠そのありがとうございます」

「はぁ……名前」

「おっとメルナ……ありがとうございます。よく考えたらそうですよね、あえて区別するのに師匠呼びしますけど、師匠Bも名前にこだわってましたし」

「ロウよ。今目の前でデートしてるのに別の女の話するのじゃ?」



 どっちも同じ人じゃん!

 でも機嫌損ねないように俺は先回りをするのだ。



「デートだったじゃぁここの代金は俺がだします!」



 金貨を婆さんに渡すと婆さんは露骨に嫌そうな顔をする。



「ロウよ。換金してないのじゃ?」

「まったくしてません! え、共通金貨じゃないの!?」

「…………はぁワラワが出すのじゃ」



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