第312話 最初は天国で途中から拷問だよ
「いやじゃ!」
教会にある俺の部屋の中で拒絶するのは師匠B。
手紙内容を吟味し、消えたクウガBはクウガAとアリシアAに任せた。
一応アリシアBのお見舞いだけいって、病室で俺は大変すばらしい『罵倒』を貰った後、アリシアAがアリシアBを平手打ちしたりと大騒ぎのあと師匠Bを連れて教会に戻ったのだ。
見た感じ黒くなった模様も減ったみたいなので回復に向かっているんだろう。
俺の命を使ったんだ回復して盛らないわと困る。
まぁそれは一旦置いておいて土下座でおでこなんで何度も床にこすりつけて痛いぐらい。
一方『いや』拒否する師匠Bは椅子に座ってスリット付のワンピースを着ており足を組むと下着が見えそうってか見える。
「なんでワラワが東方の小さい島国まで転移の門をつなげないといけないのじゃ」
そうなのだ。
師匠Aの行き先がわかり迎えに来いっても移動手段がない。
帝国に頼んだ飛行機も出来た。とは聞いてないし、ここから一般的に移動するっていったら何ヶ月かかるのか。それで着けばいいけど……年とかかかったら俺も師匠も婆さんと爺さんだよ。
「そもそも、聞いたなのじゃ、再生の能力で年齢も取ってるかわからんのじゃろ? ワラワとてあと数百年はこの姿。徒歩で行っても100年もあればつくじゃろ」
爺さんと婆さんにはなってないらしい。
「そうですけど……あっ立ち上がっていいです?」
「ワラワが土下座しろって言ったわけじゃないのじゃ? 大方これが見たかったのじゃろ?」
師匠Bがちらっと下着を見せつける。
なるほど白のレースか……白い部分が透けていて目が離せない。
「見たくない! とは言いませんけど。土下座は最低限頼み込むのに、でも頼んでも許可くれないので起きましたけど」
「そもそもじゃ。ワラワはこっちのワラワばっかりいい思いをして不公平じゃ! と言う事でこっちに来てるのじゃ。それを助ける事もあるまいなのじゃ」
「そうなんですけど。本当この魔女はクソ生意気な」
「ああん?」
「おっと、心の声が」
近くの椅子に座って師匠と対峙する。
「良いから黙って俺の言う事を聞け!」
男を見せた渾身の言葉を放つ。
師匠は黙って俺に杖を向けてきた、先端が光ると俺は水盾を唱えるのと師匠の攻撃が発動するのがほぼ同時、衝撃で俺は壁まで吹っ飛んだ。
「じゃ?」
「ご、ごめんなさい」
俺はよろよろしながら吹っ飛んだ椅子に座りなおした。
強気作戦はだめらしい、じゃぁもう『お姉ちゃん助けて』とショタ作戦でいくか?
「はぁ……まったくわかったのじゃ」
「やっぱショタのほうが好きです?」
「…………何の話じゃ……お主の希望通り送ってやるのじゃ。じゃが近くまでじゃしワラワも含め3人を元の世界に帰るので魔力の消費は押さえたいのじゃ」
「え。帰るんですか? 聞いてない」
「お主がどうやってもアッチの世界に来ないとわかったのじゃいてもしょうがないじゃろ」
確かに。
「じゃがワラワも条件があるのじゃ」
「まぁそうですよね。師匠の事だから何か言ってきそうな気はしましたけど、何です? 俺に出来る事なら」
「むしろお主にしか出来ないのじゃ」
「心臓の次は血液とかです? 知ってます? 人間って数百ミリ血を抜いただけで死んだりするんですよ?」
「人間じゃないじゃろ?」
…………ドきつい。
「地味に傷つくのでやめてくれません? 俺まだ人間のつもりなんですけど」
「まだ……なのじゃ?」
「そうまだ。ここで俺の人間か人間じゃないかを議論してもしょうがないですし何ですか? 俺のパンツでも欲しいんです?」
「ワラワは変態じゃないしの。簡単じゃワラワと一晩付き合えなのじゃ」
ご冗談を。
「お主がこっちのワラワに何を立ててるかは知らんのじゃ、じゃがこっちのワラワはワラワにわかるように手紙を出した。って事はじゃ。ワラワの顔建てたのじゃろ?」
「そう……」
「そうなのじゃ。そもそもワラワからの白紙の手紙を貰ってお主はどうするのじゃ?」
「額に飾っておきますね」
「…………きも」
いや、ひかないで。
「ワラワが横にいる事を考えたやつじゃろ。なのでこれはこっちのワラワがOKサインを出した奴で浮気などじゃないのじゃ」
「え、でもうわ……」
「お主いい加減黙れ。あの小僧を見てみろ、手あたり次第に女にちょっかいをかけて、なおかつアリシアが好きと言い張る。あれぐらい豪胆になれなのじゃ」
あの小僧というのは間違いなくクウガ。
でもさぁ。
「それでも……」
「ワラワが欲しいのはお主の〇子なのじゃ」
「精〇なんです!?」
「向こうでお主を作る」
「俺を!?」
普通に考えて無理だろ。
普通に考えるならば……でも相手は魔女だ。
こっちの師匠だって俺に全然力を見せてくれない、見せてくれるのは乳と尻だ。
技術もそうだし、雷属性以外の魔法も見せてくれないのだ。
その師匠がはっきりと俺の生命の源を欲しいって言うし作るって言うんだから、当てはあるのかもしれない。
そもそも頭だけ持ち帰って体を作るって言う人だからな。
こっちの師匠はそういう事言ってこなくて助かる。
「何、この小瓶二つほどじゃ」
師匠はそういうと2リットルは入る瓶をマジックボックスから2個出して来た。
「小瓶?」
「お主なら小瓶じゃろ?」
「あの。成人男性はコップ1杯だすのに半月はかかるんですけど」
「アリシアに回復させてもらえばすぐじゃろ」
俺は思わず頭を抱える。
「……あのそれは、俺と師匠Bが行為してる時にアリシアが横にいるって事です?」
「ワラワも恥ずかしいのじゃ。部屋の外で待ってもらいお主が役に立たなくなったら外に行ってかけてもらえなのじゃ」
「マジで言ってます?」
「冗談に聞こえたのじゃ?」
やべ。眼がマジだ。
「…………交渉は決裂じゃの。じゃっ東方でもなんでも頑張って行けなのじゃ」
師匠は大瓶をしまうと席を立ちあがった。
そのまま部屋の外に出ていこうとする。
「残念じゃがお主と会うのもこれで最後じゃろ、奪えなくて残念じゃ」
これは人助け。
これは人助け。
そう師匠を助けないといけないし、師匠を迎えに行かないとだめだ。
そうこれは……。
──
────
「あれ。クロウ君ひさし……大丈夫!?」
「何が……?」
五日ぶりだろうか? 大会で城にこもっていたアリシアが教会に戻って来た。
「何が……ってゲッソリしてるよ? 大会で疲れちゃったのかな?」
「俺の足ついてる?」
「ついてるけど? もう一人のメル先生はどこかな?」
「え? ああ……部屋で寝て……いや。数日は動けないと思う」
俺とて本気だしたし。
「そうなの? クウガB君も発見してもう1人の私と説得し終わったの。後はメル先生が遺跡で魔法を唱えるだけで帰れるって」
ああそうね。
そういう話だっけ。
俺は久々の日の光を見てはぼーっとしてる。
一応、東方までの転移の門のルートをメモった紙はもらった。
「とにかく数日待ってくれ」
「クロウ君がそういうなら、2人に伝えておくね」
「あっそういえば大会は誰か勝った?」
「アレキ皇子様が勝ったよ?」
なんで?
色々疑問が残るけど突っ込んだら長そうなので辞めた。




