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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


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第309話 シリアスの先に

「俺はシリアスな展開は嫌なんだけど!!」



 俺はクウガBの攻撃をぎりぎりで回避すると後ろに回避して周りを見る。



「ふざけるな! 恋人であるアリシアに会っただと!? なんで僕じゃなくてお前なんだ!」

「それはアリシアBに言ってくれ」



 対決早々、おれはアリシアBが来た事と『約束の場所』に連れて行ってって伝言を伝えた。

 だって、その言葉でクウガBが改心して負けてくれると思ったから。

 ところがどっこい、クウガB君滅茶苦茶切れてしまって俺を攻撃するのだ。



「……これって正直者が馬鹿を見る時代か」

「ふざけるな!」



 俺のつぶやきに反応するとか、どんだけ陰湿なんだ。



「ふざけてはいないんだけど」



 剣を振って俺に攻撃してくる。

 俺のほうも防御しながらその攻撃をしのいでいくんだけど、マジでどうしよう。



「聞いているんだろ! アリシアの事を!! お前の命がいる!」

「いや、そだからさ……俺の体あげるから師匠探すのを手伝って──」

「今ここで死ね!!」

「うお」



 もう私怨じゃねえか。

 リング端までくるとセコンドのクウガAと眼が合う。



「クウガさんあの偽物を倒してください! 聞けばアリシアと恋人とか! ひどいです」



 こっちはこっちで私怨の塊だ。

 お前らどっちも同じだよ。


 こまったなぁ……解決策がある以上これ以上戦う必要はないんだけど、一応クウガAと戦えってアレキから言われてるし、勝ち残りもしないといけない。



「お前! 僕の事を馬鹿にしてるだろ!」

「全然」

「いいだろう、そんなに馬鹿にしてるなら僕も考えがある」



 聞いてないだろこの男。



「知ってるかい? 本来強力な魔法は結界によって消されている」

「まぁな」



 クウガBは何度か俺と剣を交差させながら話しかけてきた。なんとも器用な奴だ。

 いまさらこの大会会場の仕組みを話し出す。



「でもだ。結界を超えるほどの魔法を使ってはダメってルールにないんだ」

「ほう……」

「どうだ! 頭がいいだろ」



 どうしよう。

 その考えは俺も思っていた。

 そのルール確認は何度も運営に聞いている、魔法はあくまで結界で使えないだけ。


 禁止。とかも言われていたけど、それは使えないからそうなっただけだ。

 そもそも、うっかり使ったやうっかり結界が壊れる事もある。



「ホーリーバスター!!」



 クウガBは空に手を上げるとまっすぐに俺に振り下ろす。

 光系の高位魔法。

 ちらっと背後を見ると観客席にクウガAが驚いた顔をしているし、他のスタッフも慌てている。


 こういうシーンは正直燃える。

 燃えるが当事者にはなりたくなかった。



「水盾・連!!」



 水盾を複数展開させ衝撃にそなえた。



「そんな水魔法の盾で僕の最強魔法を防げると思うな!!」



 クウガが叫ぶと前方が光っていく。

 俺の体が吹き飛ばれそうな圧、台風の中で傘を前にして防御の構え! と遊んでいた少年時代を思い出すぐらいの風圧というか魔力の圧だ。


 水盾の1枚が蒸発し、2枚目も蒸発する。

 じゃぁ。と俺は続けて詠唱し、累計9枚目の水盾が蒸発した所で『ホーリーバスタ―』は止まった。


 水盾が蒸発し霧のようになった会場でうっすらと人影が見える。

 肩を上下してるシルエットが見えた、姿がはっきりした時にクウガの足音に小瓶が見える。



「………………エリクサー?」



 クウガが口元をぬぐうと俺に攻撃仕掛けてくる。


 うわ! めっちゃ卑怯じゃん!!

 そりゃ禁止されてないけどさー。

 そういえばこの手のゲームって主人公側が勝つまで何度も回復アイテム使うよな。ボスにとっては大迷惑だろう。

 だってこっちが死ぬまで回復とか、リトライもするしさ。




「ここまでして本気を出してこないとか、ふざけてるのか!」

「本気も何も本気だしてるよ、なぁクウガA」



 霧で遠くまで見えないがギリギリ見えるセコンドにいるクウガAにたずねるとクウガA目線を外した。



 ひどくない?



「こっちをみろ!!」

「はいはい……」

「お前を本気にさせるアイテムを出すしかないな……」



 クウガはハンカチをリングの上に投げた。

 そのハンカチから指が数本転がり落ちる。


 その指は見た事のある綺麗な指で……師匠の指。



「これを見せればお前がほん──」



 次の瞬間俺はクウガBの首を跳ねていた。

 すぐに師匠のハンカチを確認すると、ハンカチこそ本物であるけど指は作り物だ。


 これほど精工につくれるのか? ってほどの指で……じゃなくてやってしまった。


 思わずクウガの首を斬り落としてしまった。

 転がり落ちるクウガの首は俺をにらみつけていて……濃い霧の中俺の目の前に2人の人影が入り込んできた。



 女性の姿でロープから見える顔はアリシアだ。

 アリシアは俺をにらみつける。と、言う事はアリシアB。

 俺が声をかける間もなくアリシアBから炎があふれ俺を包み込んだ。



「クウガ君の仇!!」



 あっちっ! 全身が火傷で死ぬ。

 その耳に優しいアリシアの声が響く。



「並行世界の私! まだ間に合うから!! 魔力を使わないで!! ハイリザレクション!!! あっクロウ君。そっちは死なないように、しばらく待ってね」

「この状態で!?」



 全身が痛いを通り越して地獄にいるようだ。

 自分でも回復魔法を唱えるけど間に合ってない。

 もう死ぬ……と思った時、アリシアの優しい声が聞こえてくる。



「お待たせ! って……ほとんど再生してるよね?」

「ん?」



 俺は自分の手を見ると確かに火傷した皮膚の下から新しい皮膚が見え始めた。

 霧が晴れていき、会場の観客の姿が見えると審判が笛を吹く。



「勝者! 青の選手!!」



 クウガBは斬られたはずの首もついていて俺を信じられないような目つきで見ては震えている。



「………………まぁ全力で戦って負けたなら仕方がないよな」

「誰に言ってるのかな?」

「アリシアさぁ言い訳考えてくれない?」

「それどころじゃないと思うよ?」


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