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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


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第297話 ヤンデレクウガ君

 店主が俺に目配せをしてくる。

 その意味は『どうする?』って意味だ。


 現在俺は店主がいるカウンターに座ってる、一方『入って来い』と、中にいれたクウガは俺から離れた丸テーブルに座った。


 これじゃ話も出来ない。


 普通は店主や給仕に金を渡して料理を運んでもらうんだけど……俺はクウガの代わりに金貨を2枚出して「適当に」と伝え席を立った。

 目指すはクウガの前である。



「前に座るぞ」



 席に座り、飲み物を手渡す。



「…………てない」

「何か言った?」

「何もだ」



 うーん。

 めちゃくちゃ機嫌が悪そうだ。

 ヤンデレクウガに近い、不機嫌クウガって所か。



「ってか遠征はどうした」

「遠征…………そうか……だからか、いや別の者が行ってる」

「そうなの!? で……」

「なんだ?」



 うーん。

 本人にボケた? って言っていいものなのか。

 でも、俺知ってるけど……100%ボケたって人はいないのだ、退行化とか物忘れとかそういうのが大きくなると一般的にボケたって言われる。


 なんだったら人間は最初からボケてる。

 俺だって先月食べた物とか覚えてないもん。



「ってか剣あるならあるって……」

「剣?」

「だからその黒い剣。お前が俺に盗賊ギルドの娘から取り戻してほしいって言っていたやつ」

「ああ……そういう話だったな?」



 それ以外にない。

 なぜかマジックボックスに入れないで腰につけてる。

 歩くのに邪魔だろうに。



「この剣は凄いな……相手の致命傷になる所が頭の中に入り込んで来る」

「そういうやつだし」

「しかし、お前」

「お前?」



 いつから俺はお前呼ばわりになったのか。

 べっつにいいんだけどさ! そんなこだわってないしー、そうこだわってないしー!!



「………………クロウベルを見たが他の人間より斬る場所が多い」



 呼び捨て!?

 いやいいんだけどさ……突然すぎてそんな距離近かったっけ。いや遠い?



「斬らないでね?」

「………………」




 あの、返事してほしいんですけど。

 これじゃまるで敵意丸出しだし。



「大事な話がある、夜に共同墓地に来てくれ」

「え、嫌だけど?」



 クウガは黙って席を立つとそのまま外に出ていった。

 丁度主人が料理を持って来たので俺と顔を見合わせる状態だ。



「料理代金はもらったとはいえ……どうする? 食べるか?」

「食べるよ。もったいないし」



 2人前プラス、店主のサービス付きの料理がどんどんくる。

 食べては流し込みを繰り返す。

 全部食べたころに店内も混みだして来た。



 ──

 ────



「と、言う事があったんです」



 俺はすでに教会戻りほぼ自分の部屋になりつつゲストハウスにいる。

 そこで先ほどあった事を師匠に話した。


 師匠は珍しく眼鏡をしていて、古文書を見ては解読した文章を別の紙へと写し変えていく。



「へー」



 師匠がページをめくって新しい文字を書いていく。

 なんだこの、適当な返事。

 もしかして俺に興味ない?

 いや、もう少し様子を見よう、ちゃんと聞いてる可能性もある。



「で。俺はどうしたらいいんでしょうかね」

「ほー」



 師匠はページをめくって新しい文字を紙に写して行く。

 …………まったく聞いてない返事だ。

 歩いて数歩なのにとても遠いです。


 って事はだ。



 今なら師匠に言いたい放題できるのでは?



「……師匠のドスケベ」

「っ!? 突然何を言うんじゃ!!」



 俺のほうに古文書が飛んでくる、片手でキャッチするとベッドの上に置く。



「だって師匠話聞いてくれないし」

「そもそも、ワラワが1人でやる仕事を手伝うから一緒にしましょう。って言うからドアホウ……いやお主の部屋に来てるのであって。お主は一切やってないのじゃ。まぁこんな事と思って期待もしてなかったのじゃ」

「これからしますって!」



 そこまで言われたら俺だってやる時はやる。



「どうせ古文書が読めるってのも嘘なんじゃろ?」

「嘘じゃないですって、これなんて日記ですよね。光の船に乗ってもう1人の自分に会いました。など書いてるんですけど」



 俺は飛んできた古文書を師匠に返しながら聞いてみる。



「ほう。本当に読めるようじゃの……普通に読んだらそうなるのじゃ。まぁ暗号じゃろ。危険すぎる魔法はこうやって隠している場合があるのじゃ、船であって船じゃないのじゃ。もう1人の自分となると……分身うーん」

「へぇ……」



 もう1人の自分ねぇ。



「師匠が2人とか」

「考えたくもないのじゃ……じゃぁコレは読めるのじゃ?」



 師匠が他の古文書を俺に見せてくる。

 どれどれ。



「…………精霊が家事? であってます?」

「魔法が発達するほど精霊は消えていったのじゃ。それをつなぎ留めるのに契約し力を貸してもらう。等の方法じゃろうな」

「ほええ……あの」

「なんじゃ? 真面目な顔して」

「絶倫になる魔法ってないんですかね?」

「…………男性の性欲を不能にする魔法を探すかの」



 冗談ですやん。

 師匠が真顔になるので、俺は古文書の解読手伝いを始めた。


 夜になってミーティアも様子を見に来る。

 お馬鹿なミーティアは古文書解読なんてできるはずもなく、俺と師匠が解読したのを整理整頓しては紐で縛る。


 夕食を食べて、師匠の部屋に行こうとして蹴られてベッドに横になりぐっすりと睡眠だ。



「何か忘れてるような……まぁいいか」




 窓から差し込む光で目が覚めて柔軟体操。


 魔力のチェックもして今日も大丈夫そうだ。

 顔を洗いに部屋を出ると眠そうな師匠とばったり会った。



「…………徹夜ですか?」

「まぁその。中々に面白い呪文があってなのじゃ」

「どんなんです?」

「転移の門の仕組みを変える奴じゃ。並行世界にいけるかもしれぬのじゃ。もっとも、ほとんどが穴だらけの呪文で、正式な詠唱は無理じゃろうな。所でクウガはどうじゃったのじゃ?」

「あっ」



 完全に忘れてた。

 



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