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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


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第296話 それぞれの思惑ってかクウガボケちゃった……

 個室の中、部屋にいるのはスザンナと俺とスザンナの手下2名の合計4人。

 俺は身振り手振りをいれてやっと、以下に俺は凄くはなく周りがすごい奴ばっかりだってのを説明し終わった。



「ふーん、珍しいねあんた」

「何が?」

「世の中には他人の成功ですら、自分の事にする奴が多いのに……聞いてた通りだよ」

「誰に!?」



 俺の事を外で言うやつにはお仕置きしないと、いやまぁ別に口止めとかそんな事は言ったつもりもないけど。



「あんたの大親友のクウだよ」



 クウ。まぁクウガでしょ……3文字とはいえ略したほうが呼びやすいもんな。

 さらに略した事によって、相手と親密だ。ってのを周りに知らせる。

 まぁそんな所でしょ。



「全然大親友じゃないけど、知人の1人」

「へぇ……クウはあんたの事を褒めていたよ」

「男に褒められても、いや女性に褒めらえた所で俺は師匠がいるんだけど」

「師匠? 恋人かい?」



 判断に困る。

 友達ではない師匠だし。

 では恋愛感情はあるのか? と言われると俺はある。

 でも別に師匠から俺に好き。等は言われてない……言われてないよな?

 しかし、肉体関係もあったりする。

 師匠から見たら俺はただのセフレと言うやつでは?

 


「うーん……そんな感じ」

「ふーん」



 聞いておいて興味ないのかい!



「本題といこう」

「別に聞きたい事はわかってるよ。親父が留守でね、代理のアタシでいいかい?」



 それは別にいい。



「当事者のほうが話早いし、それでいいよ」

「クウの剣を返せってやつだろ? 何度も言うけど返したさ。ほら昨日だってクウは食事をしに来た、その時に持っていただろ? 外で会っていたじゃないか」



 確かに昨日のクウガは剣を持っていた。

 でも、後から来たクウガは剣を持ってない……って事はだ。



「そっくりさんじゃないの?」

「あんな英雄と呼ばれる奴と同じ顔、背格好の奴が1人も2人もいるのかい?」

「いないか」



 自分で言っておいてなんだけど、そっくりさんだったら俺の名前知ってるのもおかしいもんな。



「なのにだ! あのクウはこのアタシに、剣を返せ。と言って来る……おかしいだろ? アタシ気を引くのに嘘までついて可愛いじゃないか。でも、限度があるよ、だから言ってやったのさ」

「何を?」

「クウとの子を身ごもったら返してやる。ってね」



 スザンナはお腹辺りを触って俺を見ている。

 なるほどなぁ……クウガとしては不本意な依頼でアリシアからの頼みでやったけど……依頼以外でやりたくはないと。


 ってかクウガにも好みあったんだな。

 アイツの事だから女であれば何でもいい。って思ってた。



「でも、現物の剣がないんだろ?」

「だから、クウに返したからね」



 俺もスザンナもお互いに無言になる。

 この話、落としどころが無いのだ。


 だって返した本人が受け取ってないから返せってごねてるだけ。




「こっちだって迷惑だよ。返した奴を返してもらってないってクウは言うし、ギルドや上のほうに報告があると大目玉さ、被害者。被害者だよ」

「だよな」




 別に嘘をついてるような感じはしない。

 見抜けるか? っていわえると見抜けないけど。



「で。まだ話を続けるのかい?」



 見えない選択肢が見える感じがする。

 『はい』を選んでも繰り返し。

 『いいえ』を選んで終わり。ってやつだろう。



「いやいい」

「話が分かる奴でよかったよ。誰か暗殺したい奴がいたら割引値段で対応してやるよ」

「まじで!?」



 といっても死んでほしい奴はいるが殺したい奴はいない。

 でもまぁ聞いてみるだけ聞いてみるか。



「皇子とかいけたりする?」

「…………暗殺うんぬんは冗談だよ。これでも上など付き合いがあるからね、あんた目がマジで怖いよ」

「こっちも冗談だって……嫌いな奴だけどあれが今死んだら帝国が大変になるのわかってるし」



 俺とスザンナはお互いに視線を合わせると小さく笑う。

 あぶない、あぶない。



 盗賊ギルドの個室からでて酒場部分へと出る。

 そこそこ繁盛しており俺はその足で別の酒場『竜の尻尾』へと歩いていった。


 この時間は主人のほうが店を切り盛りしていて、カウンター越しに俺を見ると、磨いていた皿を置いてはため息を出してくる。



「客だよ!?」

「お前は客じゃない! 今度はどんなトラブルを持って来たんだ?」



 失礼な主人だ。

 適当に頼む。と金貨1枚をカウンターにだして出された飲み物と軽食をつまむ。

 昼を少し過ぎたので店内は客がいない。

 もう少しすると女将さん目当てで混みだす時間帯だ。



「いや、盗賊ギルドでさ────」



 俺はここ最近の事を主人に愚痴る。

 俺だって弱音を吐きたい。というか、解決策が見いだせない。


 《《だって、クウガがボケはじめたちゃっただもん。》》


 剣を返してもらってるのに返してもらってないってさ、もうボケだよボケ。

 あれかな、何度も死んだり爺さんになったり子供になったりしたからかな?


 俺が知ってる癒し系の魔法でもボケ回復は知らない。



「なんだ。お前も大変なんだな」

「わかってくれる?」

「その、英雄だが……今朝も店に来たぞ?」

「へぇ……え?」



 それはない。

 だってクウガもアリシアも遠征にいったんだ。

 朝からこの店による時間はないはずだ。



「おかしくない?」

「何の話だ?」

「お、噂ってしてみるもんだな……来たぞ」



 俺は振り返るとボロボロのローブを着たクウガが『竜の尻尾』に入って来た。

 思わず目をこすってみると、やっぱりクウガだ。


 でも、ちょっとやつれてるようなそうでもないような。


 ああ。笑顔がないのか。


 そのクウガは俺を見ては思いっきり嫌な顔をする。


 俺がしたいわ!!

 お前のお願い事でこっちはあっちこっちいってるの!!


 クウガはいきなり店から出ていこうとする。



「ガラガラの店見て帰る事もないでしょ。ってか遠征いったんじゃないのか? 何か食べる? おごるよ?」



 店主が俺を見て小さい声で「珍しいな」と言ってきた。

 いやだって、ボケた人には優しくしないと……ちょっとかわいそうじゃん。



 クウガは足を止めて、俺から滅茶苦茶離れた場所に座った。

 もしかして、俺嫌われてるのか?


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