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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


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第294話 クウガだよな……?

 盗賊ギルド。

 名から見れば極悪非道のギルドに見えるが実際はそうでもない。

 冒険者ギルドで扱えない仕事があったり、ちょっと危険な仕事がある。など。

 他にも野良盗賊を冒険者ギルドと連携して取り締まったりもする。


 まぁ野良盗賊というか、俺と一緒だったノラも正史ルートでは盗賊ギルドに所属してるはずだ。



「流石の俺もギルドの詳しい場所は覚えてない」

「……知らない? じゃなくてです?」

「どちらにしても、案内頼む」



 教会のシスターに少し出かけてくる、と伝言だけ残して帝都の中を2人で歩く。

 のんびりと歩きながら黙っているのも暇なのでクウガに話しかける。



「しかし……いいなクウガは」

「何がです?」

「いや、女性をとっかえひっかえ……ハーレムじゃん」



 俺の一言にクウガの足が止まる。



「本当にそう思いますか?」

「……思うよ?」

「僕が一番に好きなのはアリシアなんです! そのアリシアから困ってる女性がいるから抱いてあげて。って言われるんですよ!? 僕がどんな気持ちで毎回女性を抱くが知らないんですか!」



 偉く力説してる。

 わからんでもないけど、例えば俺が師匠からアリシアを抱いてやれ。って頼まれるみたいなもんだろう。



「『アリシアの事が好きなんだ』って言えばいいのに」

「言いました! 言いましたけど『幼馴染なだけだよね?』って」

「幼馴染としての好意はあるんだけどなぁ……」




 もしかして、アリシアがこんな淡泊になったのって俺が関係していたりしないよな。小さいころに振ったからこうなったとか。

 そうなると、アリシアには絶対に幸せになってほしい。


 クウガの足が突然止まる。



「どうした?」

「あっクロウベルさん。この先まっすぐ行った先にある鷹のマークの酒場。愛言葉は『黄昏よりも暗き者』です」

「何その呪文……ってかおい!?」

「ちょっとお腹が痛いんで!!」



 全然痛そうに見えないクウガが俺から離れると路地に入って消えていく。



「え!? 路地でうんこするの!?」



 慌てて路地を覗き込むと、尻を出したクウガいなく反対方向へと消えていった。

 声をかける暇もなく背中を見送ると「何を立っているんです?」と聞き覚えのある声がした。


 振り向くと皇女サンだ。

 それも街中バージョンで作業着姿、久々に見た姿で思わず「おっ」と声が出た。



「サン……だよね?」

「それ以外に見えましたら、その目玉は節穴……いえ脳が小さいんでしょう。おかわいそうに」



 この毒舌はサンしかいない。

 これだけ毒舌しても顔は綺麗だし気品もあるし、憎めない。

 というか、人によってはご褒美だろう。



「そこまで言う? ってか珍しいなその姿に街中で」

「これでも、王位継承権はありませんし自由なんですよ。所でクウガさんを知りませんか?」

「…………どうして?」



 知らないも何も今ここにいた。

 一応は探りを入れてみる。



「侍女達に手をだして困ってますの。いっそのこと切り取ってしまおうかと思いまして。必要な時にアリシアさんに付けてもらえば安心でしょうし、その案を出来るか教会に行くところですわ」

「へ、へぇ……知らないな」

「そうですか。万が一知っているのであれば貴方も同罪ですわね。是非に一緒に切り取りましょう。つける時に間違えて付けたらどうなるんでしょうかね」

「冗談でしょ!?」



 そんな事で斬られては困る。

 最近やっと使い道出来たというのにだ。



「冗談ですわ。あれもこれも全部冗談……こう言っておけばクウガさんの女遊びも減るでしょう?」

「減るのかなぁ……今まさにその女遊び関連で盗賊ギルドに向かう所なんだけど」



 俺はサンに事情を話す。

 サンのほうは全部聞いた後に深いため息を出した。



「クウガさんクラスになると、その子供が欲しいと人気者になりますからね……良かったですわね貴方は不人気で」

「冒険者ランクなんてあげてないしな、師匠がいればそれでいいし」

「もし、剣がオークションに掛けれていたら知らせなさい。仮にも城で寝泊まりしてる客人ですので、競り落とすのには協力しますわ。それでは」



 サンは見えないドレスをつまんで礼をすると人ごみに消えていく。

 俺も気合を入れなおして盗賊ギルドに向かった。


 一般人お断り、そんな空気がにじみ出てる酒場の前でクウガが顔を下げて石の階段に座っている。



「先回りか。クウガお待たせ」



 クウガは俺を見ると驚いた顔になり、表情が固まった。



「クロウベル……か?」

「さん。はどうした……ってかまぁ良いんだけど……てか、剣持ってるじゃん」



 クウガはボロボロのローブを着ており、その中には黒い剣を持っているのが見える。アーカスからもらった剣だ。




「ああ……これか。そうだな……」

「じゃぁ俺は帰るよ?」

「どこにだ!?」

「どこって……とりあえずは教会だけど」



 何だ、何か変だな。

 でもクウガはクウガだしな。

 俺は手を伸ばしてクウガのほっぺを両方から引っ張ってみる。



「はあへ!! 離せ! 何をする!!」

「何って偽物だったら困るから……」

「偽物……この僕が!? いや……そうなのかも」



 いよいよ大丈夫か?

 さすがの俺でも心配になるよ。



「あんまり酷いならアリシアに見てもらえば」

「アリシアもいるのか!?」

「いるでしょ」



 なんなんだ。

 何かかみ合わない。変な違和感を感じる。



「いや、そうかアリシアもいるのか……少し1人させてくれ」

「俺はお前に呼ばれたのに!? なんてわがままなんでしょう! って冗談を先に言って、クウガがそれでいいならいいけど……」



 情緒不安定すぎるクウガの用事が終わった。

 師匠にケーキでも買って帰るか……と数歩歩いて、サンがクウガを探している事を思い出して振り返る。


 先ほどまで座っていた場所にクウガいなく俺は辺りを見回した。



「消えた……?」



 まるで幽霊みたいに。


 


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