第283話 10歳前後が一番かわいかった(ミーティア談
教会の小部屋に4人と赤ん坊が集まる。
左から俺、師匠、アリシア、ミーティアの4人。そして中央のベッドに赤ん坊になったクウガ。
「もうミーティアちゃんが育てる!」
ミーティアは赤ん坊をぷにぷに触って宣言しだした。
「あっよかったなアリシア。いい育て先がみつか……冗談だって。師匠」
アリシアの無言の圧が怖いので師匠に助けを求め顔を向けた。
「一応老化の薬もあるのじゃが、若返りと同じで量が少ないのじゃ」
「失敗はしないでほしいかな……」
アリシアが言うとミーティアが騒ぎ出す。
「うわ。このクウガ。おしっこした! おしっこ!! ど、どうしよう」
「どうしようってオムツ変えないと」
「そ、そうだよね!? ええっとじゃぁ……アリシアちゃんお願い」
ミーティアが自分でやれよ。と思ったがアリシアがテキパキとオムツを変え始める。
「手際いいね」
「孤児院によくいたからね。ミーティアちゃんのおしめも替えた事あるの」
「にゃははは……恥ずかしい」
「俺も覚えておかないと」
「先生との子?」
アリシアが変えながら俺に質問をしてきた。
師匠との子もあるが、本当に子ができるかは謎だし現実的に。
「いや、師匠の老後のために」
俺の肩がぽんぽんと叩かれた。
どうせ師匠のツッコミだ。
俺が振り返ると手じゃなくて杖がある。先端が光ると俺の視界は真っ白になって体中が激しい痛みと主に意識が飛ぶ。
「……くん! クロウ君!!?」
「ん?」
眼を開けるとアリシアの顔が見えた。
「あれ、アリシアどうした? あれ……何していたっけ」
え。ここどこ? 師匠腕を組んでは俺を見下ろして、ミーティアが赤ん坊のクウガを抱きしめ、アリシアは俺をのぞき込んでいる。
「ああ。壁まで吹っ飛ばされたのか」
壁には人がぶつかって出来た人型が見えた。
「知らないのは怖い事にゃのだ」
「突然猫語話してミーティアどうした?」
「な、何でもない! ミーティアは何も見てないからね」
まったくもって何の話だ。
アリシアを見ると「ええっとね」と説明しだす。
「先生がクロウ君を壁まで吹き飛ばしたんだけど……体の半分以上が消し飛んで」
「ん。もう一回」
「うん、体の半分以上が消し飛んで……先生が『再生するから黙ってみてろなのじゃ』って言うんだけど再生が途中で止まってね……私がハイ・リザレクションを唱えてやっと再生されはじめたの」
「師匠!?」
俺は抗議を込めて言うと師匠はばつがわるそうだ。
「な、なに。1日で多分4回目? の再生はやっぱきつかった。と確認出来たじゃけ良いだろう」
よくはない。
「そもそも、ドアホウがワラワをからかったりしなければ」
「そうですけど……」
「ミーティアちゃん、しばらくお肉料理食べれそうにない……」
「別に俺を食うわけじゃないからいいだろに」
「そうなんだけど」
「ばぶー」
っと。最後にクウガが喋りだしたので本題にいかなければならない。
俺の上半身は裸で床には燃えつきた衣服がある。
ベッドのシーツをマント代わりにして羽織り、師匠に「今度服買ってください」と言ってから動き出す。
「被害者のワラワが買うのじゃ!? …………そうじゃワラワのお古でも着るなのじゃ?」
「まじで!?」
「クロウ君、先生は女性だよ? クロウ君が着てどうするの? 先生もそんな冗談を言わないでください」
アリシアに怒られてしまった。
師匠の冗談はわかっていたけど、俺はくれるなら師匠の服をマジで貰おうとしただけに残念だ。
「まぁいいか。ほらおしめ替えたクウガをそこに。先生お願いします」
「まずはスプーン半分じゃな」
師匠はティースプーンに液体を入れてクウガに飲ませた。
体が膨張し衣服が破ける。
あっという間に大人になり……。
「………………クロウベルさんですよね……お久しぶりなきが。しかしこの俺の恰好は……ここはどこです。それに……」
「見た目は40代か……少しやつれたな。とりあえず下隠したら?」
「俺が裸で40代!? ミーティア鏡を」
ミーティアは顔を《《手で隠すふり》》をして、おっさんクウガに鏡を手渡す。
「本当に俺なのか……? さっきまで幸せな所にいたような。俺がこの年齢で皆が年を取ってないのがおかしい! 何の冗談なんですか!?」
「ええっと。それを含めて説明もしたいんだけど」
どうしよう。
「あっクウガ」
「なんです?」
「説明するのと、説明なしで元のクウガに戻る選択肢があるんだけど……どっちがいい?」
「クロウベルさんじゃないんですし、説明を」
ちっ。
時間かかるんだよなぁ説明。
ゲームならなぜか全員が事情知っているから話早いんだけど。
「簡単に言うと、お前が老化の薬を飲んでしまって、俺と師匠が解決する薬を持って来た。薬の量の調整でクウガの姿がその姿に」
「そうなんですか……それは申し訳ない」
全裸のおっさんクウガが俺に頭を下げてくる。
何と情けない。
これが英雄と呼ばれた主人公の姿なのだろうか。
「ざまあ!」
「っクロウベルさん!?」
「いや、何でもない」
俺の背後から師匠が小さく「心の声か?」と言うとミーティアも「うわ、本音ってやつ? サイテー」など聞こえてくる。
「で、これ以上の説明いる?」
「そうだったのか……確かにクロウベルさんから小瓶を奪うようにして飲んだ記憶が」
「そういう事。じゃっ師匠今度は逆の」
「うむ」
今度は若返りの薬だ。
困惑してるおっさんクウガにスポイトで出したぐらいの1滴だけを渡した。
それをおっさんクウガが飲むと体全体が縮んでいく。
「どうでしょうか? 治りましたでしょうか?」
年齢は10歳前後のショタクウガが誕生した。
同じ茶髪でも若い時のほうが透き通ってる、先ほどあった無精ひげもなく声変わりもしてない。
「うわーー!! ミーティアちゃんこれがいいこれ!!」
「ミ、ミーティア!?」
「かわいい! かわいい!! これなら浮気もないよね!?」
「は、離れて!」
「照れてるーかわいい」
完全にミーティアにロックされたショタクウガ助けを求めるように手を出し始めてる。
「うーん……先生。元の姿に戻してあげたいな」
「まぁアリシアがそういうなら。ほれクウガこれを舐めろなのじゃ」
師匠がクウガの口にスプーンをいれると手足が大きくなり体系も変わる。
初老クウガが出来上がった。
「うげっ! ミーティアちゃんこのクウにいちゃん……? はちょっと要らないかな」
ミーティアが瞬時に離れた。
「ミーティア……」
髪に白髪が生えて50代から60代と言う所か。
全体的に弱弱しい。
「メルさん。量が多かったようです」
「記憶はそのままなのじゃな……調整が難しいんじゃこれ、量もすくないしの」
──
────
「もうこれでいいんじゃないかな?」
俺が言うと、鏡を見ているクウガは不満そうだ。
「そうですかね。もう2年ぐらい若かったようなきがするんですけど」
「じゃぁ。もう一度飲むか?」
「遠慮します」
と、いうのも。
微調整が難しく、青年クウガ出来上がるまで30回以上は繰り返した。
「飲むも何も薬も無いのじゃ。あとはビンを割って舐めるぐらいじゃな」
「失敗したら終わりだよ?」
「ミーティアちゃんは、ショタクウ兄ちゃんが良かった……」
ショタになっても兄ちゃんなのか、疑問は残るが何とかクウガを青年までもどした。
「じゃっクロウベルさん。本気の試合しましょう」
「……なんで!?」
俺は悪くないのにクウガは俺を殺そうとしてる。




