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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


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第264話 ふっ…………ロウの薬

 ベッドの中でごろんと寝返りを打つ。

 思い出すのはさっきの事。



「しかしまぁ。師匠がそこまで俺の事を考えてくれていたとは……」



 再生で大きな傷は治るとしてだ。

 師匠の言う通り年を取ってヨボヨボになっても師匠の横にいるのは忍びない。

 別に介護されたくて一緒にいるわけじゃないし。



「よし!」



 俺はベッドから起き上がると窓へと近づく、外の景色はまだ暗い。

 そっと部屋を抜け出して、事前に教えてもらった部屋へと向かった。


 部屋を小さくノックすると、幽霊屋敷のように扉が静かに開く。

 俺の目線には誰もいなくて一見するとホラー。

 種明かしをすると身長の差の問題で別にホラーでもなんでもないんだけど。


 腰した辺りから「こんな夜中にレディーを襲うのかしら?」とセリーヌの返事が返ってくる。



「ちょっと相談が」

「男って皆、夜這いをかける時にそういうのよね。丁度お腹減っていたし入って」

「夜這いじゃないし」



 可愛い笑顔、その子供姿に騙されそうになる。

 部屋の中は俺と同じつくり、テーブルに大きなベッド、簡単な作りであるがしっかりとした調度品。


 ネグリジェ姿のセリーヌが椅子に座り肌を隠すように布を肩からかけた。



「適当に座って」



 セリーヌがベッドに座るので俺は椅子に座る。




「で、メルママなら別の部屋よ?」

「いや、相談があって」

「そのままセリーヌを押し倒すのね!? セリーヌ人間の子は作らないの」

「そもそも出来ないだろ」



 俺が突っ込むとセリーヌは黙り小さく笑う。

 ネグリジェのスカート部分を小さく上げては俺を挑発してきた。



「試してみるかしら? 安心してメルママには黙っていてあげる」

「何も安心出来ない。あと俺はロリコンじゃない……と、思う」



 ロリータコンプレックス。

 確か未成年っても地球の世界観での話。

 未発達の女性にしか興奮しない。というやつで、この世界でもそういう風潮はある。


 でもまぁ、冒険者ギルドは10歳ぐらいから入れるし、結婚だって愛人ばっかりもOKだし結構黙認されてる。



「まぁいいわ。メルママじゃなくて、このセリーヌに相談は何かしら?」



 小さい生足をネグリジェから見せつける。

 かわいらしい足の指が動くので、見るやつが見たら大興奮だろう。



「絶対興奮しないからな」

「ふーん……そう言われるともっと挑発したくなるわ」

「いいから、話を聞けっての」



 子供のパンツなんか見て興奮なんてしないよ。



「セリーヌ乙女だから難しい事はわからないわよ?」



 乙女じゃなくてババアじゃん。とツッコミたい。

 でも、それをセリーヌに言うと師匠の事も持ち出されそうだからそれは言わない。

 師匠は言いの師匠は。

 恋愛もした事もないような悲壮感もあるし達観した女性が俺とラブラブになるとか、もうゲームの世界じゃん。


 ゲームの世界なんだけどさ!!



「何にキレてるのかしら? 乙女はもう寝てる時間よ? 要件は早くいってほしいわ」

「ああ、ごめ。俺の体には不死……ではないか再生(強)が付いてるってわかったわけだけど。不老の薬ない? あったら頂戴」



 俺のお願いにセリーヌの動きが止まる。



「驚いた……《《持ってないわよ》》?」

「なるほど、じゃぁこの世界のどこかにあるのか」

「あら。どうしてそう思うのかしら?」



 簡単だ。



「セリーヌは持ってない。と言っただけで、存在しない。とは言ってないし」



 俺の答えにセリーヌが満面の笑みを浮かべてくる。



「ずる賢くて大好き。確か昔の聖王がもっていたはずだけど……」

「え、もしかして朽ちた聖王って」

「あら、知ってるの? 彼はクロウお兄ちゃんみたいに竜の血の適合者だった人よ」



 確か墓から出ていったとか。

 この世界で探すの? むりげー。


 ゲームではちゃんとボスとしていたんだけどなぁ。



「現在行方不明。他に何かない?」

「うーん……クロウお兄ちゃんなら不老の効果あると思うんだけど」

「まじで?」

「ええ……竜の血の適合者でここまで再生の強い人見た事ないわ。亜人でも血の濃い人は長生きでしょ?」



 でしょ。って言われてもわからんがな。

 あっでも、亜人の里にいる長老は長生きって言っていたな。



「でもさ。不老と思って師匠の横で生きてるとするじゃん。30年後に俺だけが年取ってる場合もあるんだよね?」

「そうね。ダンディなお兄ちゃんになるのかしら? いいえ、もうオジサマね」



 それじゃダメなんだよ。



「俺は結果が知りたいの、今すぐに!!」

「ふーん。過去に飛んだり、並行世界にいったクロウお兄ちゃんでも知りたい事があるのね」



 少しだけ嫌味ったらしい言い方だ。



「もしかして、羨ましかった?」

「当り前よ。世界に君臨する種族が出来ない事を人間がするのよ? クロウお兄ちゃんからの話を聞いて考える事沢山よ……でもセリーヌ優しいから手助けしてあげるわ」



 セリーヌは突然に第3の眼に指を突っ込んだ。

 本当に優しい人は自分の事を優しいとは言わない、そう俺みたいに言わない。



「なっ!?」

「黙ってね」



 顔が苦悶の表情になると痛いのだろうか。

 その指は小さい小瓶を取り出した。

 透明な液体がまとわりついた小瓶には半透明な液体が半分ほど入ってるのが見える。



「はい。これを上げる」

「……………………」



 返事したくても黙れって言われたままだ。口元を指さして喋れないアピールをする。



「喋っていいわよ」

「………………拭くものない?」

「すごいわ、感謝やセリーヌの痛みの心配よりも、その言葉が出るのね」



 だってその小瓶。ねとっとした液体がついてるんだもん。

 ちょっと糸なんて引いてさ絵的にも触りたくない。


 セリーヌは壁に掛けてあった服からハンカチを取り出すと、小瓶を拭いて俺に渡してくれた。



「これが不老の薬?」

「クロウお兄ちゃん話聞いてたのかしら? 脳ミソもしかして入ってないの? 竜の血を飲んで脳が溶けてしまったのね」



 ひどい。

 何もそこまで言う事なくない? 幼女姿のセリーヌの罵倒なんて俺じゃなかったら泣いてるか、興奮してるかのどっちかだ。



「説明ぐらいしてくれる? じゃぁさ!」

「怒ったふりして逃げようとしてもだめと思うの」



 これもだめか。



「じゃぁ降参」



 俺は両手をばんざいしてお手上げをする。



「ふふ。不老の薬は持ってないの、でもクロウお兄ちゃんは不老になったかを知りたいのよね。で……老化の薬、あまりにも危険だから別空間にしまっていたの」

「へぇ……え、くれるの?」

「欲しいんでしょ?」

「欲しい」

「面白そうだからあげる」



 無邪気な顔なんだけど、ちょっとぞっとする。

 ああそうか、こいつら竜って『面白い事に協力は惜しまない』思えばナイもそうだった。



「まぁどうも」

「どういたしまして、部屋に戻って早く飲んでね、明日には結果がわかるわ」

「そうするよ」



 セリーヌの部屋から出て自分の部屋に戻る。


 ベッドに腰かけ背中から倒れる。

 ぼふっと音共に背中に心地よい感触が伝わってきた。



「ふう、さすがは竜だな。俺の欲しい情報から解決を導いてくれる。ええっと、水と服用で、飲む前に何か食ったほうがいいのかな」



 手には小瓶がありそれを眺める。

 これを飲めば不老かわかるって話なんだよな……飲めば? え。これ俺が飲むの!?


 ベッドから飛び起きる。



「まてまて、これで俺が不老の効果がだめだったら年取って終わりじゃん!? セリーヌ絶対それ知っていてこれをくれただろ!!」



 そんな危険なもの絶対に飲みたくない。

 文句を言ってこようか迷って迷って結局寝る事にした。 


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