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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


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第259話 何もない日

 フェーン山脈。

 俺の第2の故郷と呼んでいいだろう、近い将来に師匠と永住する場所である。


 聖都から師匠の案内で近くの『転移の門』につくと、そこからでワープしまくって師匠の家にある床下帰ってきた。



 師匠の家の地下室には『転移の門』が備わっていて、最初にセリーヌが階段を登っていく、次に師匠が階段を登り俺は師匠の尻を眺めては地下室から出ようとすると天井がふさがれた。


 地下室を抜けた先ではセリーヌの「メルママ疲れちゃったわ」に続き師匠に「あまり散らかすなのじゃ」と普段通りの声だけが聞こえる。


 俺は必死に天井を叩く。



「師匠! 師匠ってば!! まだ俺がいるのに地下室の扉閉めなくても! しかも押しても開かないし!! このやり取りもう《《3回目》》ぐらいなんですけど!?」



 鍵が開く音が聞こえ扉を開けてくれると師匠の顔がにゅ。っと出てきた。

 やっぱ鍵かけていたか。



「何やっても死にそうにないしその辺の地面でいいじゃろ? 今日から地下室がお主の部屋じゃ」

「よくない! 寒い!! 暗い!!! …………いや」

「ん。なんじゃ?」

「床下を掘り進めれば師匠の寝室下に行くと思うので、のぞき放題かなって」



 そう考えれば地下室生活も悪くないかも。

 日用品は『転移の門』を使うとして。



「いいから早く上がってくるのじゃ、それをするという事はじゃ。上から槍で疲れても問題はないじゃろ?」

「冗談ですって」



 大問題だ。

 師匠の事だから俺の目を狙ってついてくるに違いない。

 体の再生はするけど目はどうなんだろう、不死になれたのかも不明だし……本気で調べないとだめだなぁ。


 思いっきり気が進まない作業だ。



「来ないのじゃ?」

「あっ今行きます」



 よし、俺の体の実験は先伸ばしにしてまずは師匠の家に帰ってくる。




「まったく……居候が1人も2人も一緒なのじゃ。セリーヌと仲良くするのじゃぞ」

「俺のほうが先ですからね!?」



 生きてる年数は違えと師匠度で言えば俺のほうが先だ!

 ………………いや。あれ? 師匠とセリーヌは知り合い同士みたいだからもしかして俺のほうが後!?


 違う! 俺がセリーヌの情報を過去で教えた事があったからやっぱり俺のほうが先輩だ。



「聞いておるのじゃ? ドアホウよ?」

「え。はい聞いてますよ。夕食はピザとか」

「まったく聞いておらんじゃろ……部屋の掃除を頼むのじゃ。といったのじゃ」

「いつもやってますけど?」



 師匠の家に入りながら返事をする。

 今はまだ綺麗な部屋だけど、師匠1人で3日も頬っておいたらゴミ屋敷になってくるのだ。


 今も来ていたローブを壁際にかけては……床に落ちる。

 落ちたローブをみては、そのままで進む。


 俺はそのローブを手にとってはでっばりにかけた。



「クロウお兄ちゃん。召使いね」

「まかせろん」

「…………こんな召使いは嫌なのじゃ。それにワラワは頼んでないのじゃ」



 師匠が少しキレ気味だ。



「わかってますって俺が勝手にやってるだけですし。それに部屋の掃除っても常日頃から…………師匠耳ふさがないで」

「男のくせに細かい事をぐちぐちと」

「別にアリシアも言いますけどね」

「むぅ。せっかくドアホウの部屋を作ろうとしたがやる気がなくなったのじゃ。やっぱり地下室に押し……」



 なっ!?



「師匠。よく見たら掃除は1ヶ月に1回。いや1年で1回でもいいと思い始めました。師匠だってよく使う物を置いてるだけですし。俺が間違ってましたしアリシアにもきつく言っておきます!」

「ドアホウ……」

「クロウお兄ちゃんのそういう所大好き。ねぇメルママ、セリーヌのお部屋はあるのかしら? 前はメルママと一緒だったわ」

「それもドアホウに頼め。数日はワラワと一緒のベッドになるじゃろ」

「じゃぁ俺も一緒のベッドですね」



 師匠が近くにあった瓶を俺に投げつけてきた。

 手でキャッチしてそのラベルを見る。

 ドクロマークが描かれていて、これ絶対に触ったら危ないやつだってわかる。



「冗談ですって。俺はソファーで寝ますよ……ってか部屋をどうやって?」

「物置として使ってる部屋が2つあるじゃろ。そこをなんとかじゃな」




 嬉しい。

 やっと俺の事が師匠に認められた。



「どういう風の吹き回しです? 俺に部屋とか、自分で言うのもなんですけど」

「………………こっちの世界に戻ってきた褒美じゃ」



 まったくもって意味がわからん。

 そりゃこっちの世界がメインなんだし戻ってくるけど?



「ふふ。メルママってば照れてるわ」

「セリーヌどういう事?」

「セリーヌ乙女だからピンと来たのよ。クロウお兄ちゃんは向こうの世界でもメルママに会ったのよね?」

「まぁ……会ったけど?」



 あの俺にデレてる師匠を置いてまでこっちに戻ってきたのだ。



「クロウお兄ちゃんだったら、どの世界でもメルママの事をほっとかないと思うの。でもクロウお兄ちゃんは向こうのメルママを置いてまでこっちの世界に戻ってきた。目の前にいるメルママはそれが嬉しくてクロウお兄ちゃんにご褒美をくれてるのよ」



 ふえ!?

 師匠Aは向こうの師匠Bを置いて帰って来た俺の事を大事と思ってる!?




「セリーヌよ。飼っていたドブネズミが戻ってきただけの褒美じゃ!」

「ふふ照れるわ。魔女と人間、身分違いの恋。どんな感じになるのかしら」

「いやぁ照れるなっ」



 師匠は無言で寝室に行ってしまった。

 怒らせたかもしれん。

 俺とセリーヌは顔を見合わせ、セリーヌはにやにやするし、たぶん俺もにやついてる。



「っと。師匠! 師匠ってば、そんなに怒らなくても」



 俺は必死に師匠の寝室の扉を叩く。

 背後でセリーヌが「必死すぎてかわいい」って声が聞こえてくる。

 別にセリーヌに可愛い。と、言われたいわけじゃない。

 俺は師匠に言われたいんだ。



 扉があくと師匠の顔が見えた、不機嫌そのもの。



「うっさいのじゃ!」

「俺ってかわいいですよね」

「………………本気で怒っていいのじゃ?」

「ご勘弁を」

「ドアホウとセリーヌにかまうよりも寝たい。と思っただけじゃ」



 ああ、俺もそうだけど師匠も寝てないもんな。

 別に徹夜がきついとかそう言うわけじゃなくて家に帰って来たんだし当たり前の行動だ。


 何も用事がなければぐーたらな生活がゆるされる民。



「じゃぁ静かにします」

「好きにしてくれなのじゃ……」

「そういう事ならセリーヌの出番ね」



 何が? セリーヌは師匠の寝室へと滑り込んだ。



「セリーヌも一緒に寝てあげるわ」

「好きにせい。ドアホウも部屋は明日でいいのじゃ、寝ておけなのじゃ」



 俺の返事も聞かずに寝室の扉が閉まった。

 ふむ暇になった。

 

 さすがに2人が寝てるのに物置としてる部屋を片付けてると煩いだろうし。

 俺も寝てもいいんだけど、せっかく一人になったんだし何かしてもいいし。


 ぶっちゃけ俺が欲しい師匠のグッズは寝室にある。



「えー……不死の確認するぅ……?」



 自答自問で考えるも最悪な事を考えて却下する。

 1人でやって死んだら元も子もない。



「今日は寝るか……こう何もない日もたまにはいいだろう」



 


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