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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


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第249話 お節介すぎる二人

「ま、参った!」



 男の声が練習場に響くと、アーカスは練習用の剣を男が倒れている地面に突き刺した。


 敗北宣言をしたのはギルドマスターアスランで、汗一つかいてない満面の笑みを浮かべてるのはアーカス。


 すぐにステリアがタオルを私に行くのが見えた。

 俺は四つ這いになっているギルドマスターのほうへ行く。



「と、いうわけで練習試合はアーカスが勝ったので、俺へのお咎めは無し! ということで」

「…………やむえん」



 よし。

 そもそも最初から悪い事はしてないのだ、怒られる理由はない。



 立ち上がりくるっと回転する。

 タオルで顔を拭いているアーカスにハイタッチをした。



「よくやった! アーカスさん!」

「褒められるのは嬉しいんだけど何か複雑だよ! いい練習にはなったけど納得いってないからね?」

「あのにっくきギルドマスターなんて見てみろ。膝が笑って立てないようだ」

「話聞いてた!? 全然憎んでないよ!?」

「追撃するなら今のうちだけど」

「しないからね!?」



 アーカスが必死に否定する。



「もったいない。ここはコテンパンにやっつけてどちらが上かわからせるべきなのに」



 俺が助言を言うと、剣を杖代わりにしてギルドマスターが立ち上がった。

 聞こえていたんだし、根性で立ったのだろう。



「はぁはぁはぁ……俺はまだ立てるぞ! じ、実力の半分もだしてない……他の地域で英雄と言われ始めてるギルド員をつぶすわけにはいかないからな、はっはっは」

「じゃぁ、連戦で俺とやる?」



 ギルドマスターアスランは固まり俺を凝視する。



「話によると君はアーカスより強いんだろ?」

「冗談、全然よわいよ」

「君の背後でアーカス君が何度もうなずいているな」



 俺は弱いからね。

 もちろん。本気の殺し合いならまだわからないが普通の強さで言えば俺は弱い。

 と、思ってる。



「連戦はしたい所だが…………これでもギルドマスターの仕事が忙しいんでな。またの機会にしてもらおう」



 ほかの職員が小さく笑うと、肩を借りて練習場から出ていった。

 残ったのは俺とアーカスとステリア。



「助かったよ、俺はこの時代で名前を残したくないし」

「ああ! クロウベル君そっか未来人だっけ……」

「こちらが見た所、たんに面倒をアーカスに押し付けたようにしかみえなかったけどな」

「何の事か……まぁ今回はさくっと終わらせてさくっと元の時代に帰るよ」

「ええええ! もっと遊ぼうよ」



 アーカスが駄々をこねる子供か。

 前よりもわがままになった?



「師匠……いや。メルさんに会いたいけど俺も忙しいし問題が山積みで……幸い帰るのにはステリアが考えあるって言うからそれに頼る形になるけど」

「その辺も詳しく聞いてない。聞こうと思ったら湖畔で暴れてるっていうから苦情がこっちに来たんだ」



 ごめんって。

 練習場から出て歩きながら話す。

 と、言っても俺が伝える事は少ない。



「原始スライムから原始の種を取りたい」

「聞いた事がないな……アーカスは?」

「私もない」

「8192分の1で出るアイテムだから」



 アーカスが立ち止まるので俺も立ち止まる。



「誰が数えたの?」



 もっともな質問だ。

 あまりに的確な質問で俺の脳が一瞬フリーズする、まさに8192分の1ぐらいの確立だろう。 



「アーカスの言う事もわかる。冒険者ギルドでこの辺の魔物図鑑を見た事もあるがそんなアイテムは聞いた事ないな」

「俺が嘘ついてるっていいたいの!?」

「そうはいっていない……君しか知らない情報があるんだろう。とはいえ8192分の1というのは……2人とも先に進んでくれ」



 そう言うとステリアは俺達から離れていく。



「よかったねクロウベル君。ステリアがやる気出してる」

「あれで?」

「そうあれで。以前あった時も色々感謝してるみたいだよ?」

「俺としては何もしてないんだけどな、逆にあの顔が嫌い」

「そうなの!?」

「そうだよ。中身はいい男だけどな」



 一応フォローしておく、アーカスの彼氏だし。

 アーカスもフォローが聞いたのか嬉しそうな表情だ。



「ってか2人とも予定はないのか? 魔族のなんちゃら倒したんだろ?」

「クロノスね。四天王だからまだ3人いるんだけどしばらくは無いかな……メルさんと小竜のナイが戻ってきたら北の大地に行こうかなって所。メルさん達が戻ってくる予定日が2ヶ月後……一応戻ってこなかったら私達2人で行くんだけどクロウベル君一緒には……」

「あーごめん」

「だよね。うん、未来に帰れなくなるもんね」



 こうして2人で歩いてはいるが、別に仲間とかではないんだよな。

 そもそも俺1人でいいわけで……。



「まぁ俺1人でやるからいいよ」

「はぁ!? そういうところだよ!? 頼りないかもしれないけど、クロウベル君から見たら生まれは全然早いんだし私はお姉さんよ、お姉さんに任せなさい!」

「その理屈で言えばお祖母さんだよね?」

「うん。聞こえなかった」



 ちなみに俺とアーカスの距離は1人分もない。

 聞こえないはずはない。



「何も言ってないからな」

「そう? 危うく剣を出してクロウベル君の足に落とす所だったよ」



 怖い。



「手伝ってくれるのは嬉しんだけど、それで未来が変わるのが怖いんだって……俺が正体言わなかったのもそれなんだけど、そもそも誰に聞いたんだ?」

「クロウベル君の行動見ていたらバレバレだったよ?」



 まじか。



「今度から気を付けるよ」

「うん。今度から気を付けてね」



 ステリアを酒場の外で待つ。

 しばらく待つとステリア俺達を見つけては手を挙げてくる。



「待たせた」

「待ってないけどな」

「………………原始のスライムから落とす原始の種。その情報を冒険者ギルドで聞いてきた。やはりギルドマスターも知らないそうだ」



 そりゃそうだろう。

 裏ダンジョンに出てくる原始スライムからのドロップだし。



「だが! クロウベル君が嘘を言ってるとは思えない。この時代にきて嘘をつく必要性がないから。この地図を見てくれ」



 酒場のテーブルに地図を広げた。

 昔の地図……じゃないか。この時代の地図と思う、俺の知らない地名や地形ばっかりで変わらないのは聖都タルタンの近くにある湖、あと離れた場所にある大きな森。

 と、言うことはこの森の中にある湖は精霊の湖かな?



「君がいた時代とは違うだろうが……この場所に迷宮がある」



 ステリアが地図に赤バツを付けた。

 湖畔の近くに、というか聖王の墓に近いなこの場所。


 現代ではこの迷宮知らないな……すたれてるのかな。



「普通の冒険者は入れない迷宮で地下32層に原始スライムの巣がある。という噂だ」

「ほう……ありがと、じゃっ行ってくる」



 俺が席を立つと腕をつかまれた。

 右はアーカスに、左はステリアだ。



「何?」

「なんで1人でいこうとするのかな? 手伝うよ?」

「同感だ、君から未来の事を何も聞いてないまま1人にしたくない」



 アーカスは善意。

 ステリアは策略で俺を手伝おうとしてくれる。

 個人的に1人のほうがいいんだけど……。


 両脇を英雄に囲まれては逃げる事も出来ない。



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