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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


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第245話 聖騎士アンジェリカか回り込む

 夜中に騒いでいた事をアリシアに怒られた俺と師匠は眠たいまま次の日の朝食を食べる。



「もう、2人で秘密の話するのはいいけど。騒ぎすぎだよ?」

「本当にごめんって。結果的には秘密じゃなくなったし」




 最初は秘密にしようとした俺と師匠だけど、あっさりバレた。

 まぁアリシアが『外でイチャイチャするの!? 私外にいるから小屋の方がいいよ』って言うもんだから。師匠があっさり『アリシアの事じゃ!』とキレた結果である。



「そういえばこの世界の俺と初めてあった時ってどんな印象?」

「うーん。寂しそうな人だなって……先生が怒る人だよ? 気になって友達になって見たかったのに」



 さすがはアリシアである。

 まぁ寂しかったんだろうな、この世界のクロウベル。

 突然親父と兄が死んで、アンジュも家を出る。

 魔法を覚えた事で自身が付いた俺は性格がねじ曲がって行くんだろう。

 自分自身の事ながら南無南無と心の中で手を合わせる。



「ならなくて正解だよ」

「ならなくて正解じゃな」



 俺と師匠の声がはもる。



「下らない話は後じゃ、先ずは朝食じゃな」

「うい」



 師匠が俺の方を見て何かいいたそうな、まぁいいか。

 今日の朝食はパンとクリームシチューといった女性に人気のメニューだ。


 師匠から『お主も作れ』と言われたので、親子丼を作ろうとして材料を頼んだら『朝から食えるかっ!』と、怒られた。


 そのやり取りを聞いてのアリシア特製の奴である。

 旨い。



「そうなのかなぁ。でも夢で見た向こうのクロウ君は思った通りの人」

「変態じゃったな」

「師匠にだけですよ」

「なお悪いわ!」



 シチューのお皿がからになったので、お代りをする。

 無言で出される師匠の皿と空になったアリシアの皿にも分け席に戻った。



「2人とも無理に動かなくても大丈夫だよ。こうして会えるはずのないお友達にも会えたんだし」

「魔力が無くなり続けるとどうなるんです?」

「死期が早まる、たまに魔力の無い人間を見るが寿命が短いのじゃ。詳しい事はアリシアには授業で教えた事はあるのじゃが……お主は?」



 あった気もする。

 が、全く覚えてない。


 7年前の授業の一つを覚えていろって無理無理、よっぽど強力な印象がないと。



「教わってませんね」

「ふむ……ワラワだったら必ず教えると思ったんじゃが」

「先生。長く生きるよりも何をして生きたかです!」



 アリシアが小さい胸を張る。



「ほう。という事はワラワは何もしなかったって事なのじゃ?」

「あっ……先生そう言う訳じゃ」

「うんうん。もっと言ったほうがいい師匠は歳だけ――いっ!?」



 空になった皿で頭を叩かれた。

 しかも縦! 脳天が割れる、割れてないかな。



「ごめんね。回復魔法唱えられなくて」

「いこれぐらいなら自分でなんとか……『癒しの水』」

「ふん。さてと……ワラワとアリシアは聖都に行く。お主は縛り付けて外でいいのじゃ、まぁ魔物に食われるかもしれないがいいじゃろ」

「駄目でしょ!?」

「一緒に連れて行きたくないし、置いていってもタンスなど開けられてもいやじゃしの。そうなると縛って外に放置しかないのじゃ」

「絶対にご迷惑をおかけしませんから!!」



 俺は拝み込んでついて行く事にする。

 外に放り出されるよりはいい。

 師匠の事だ、俺を縛るっていったら絶対解けないぐらいに縛り上げる気だろうし。


 土下座スタイルだ。

 目の前には師匠の足がある。



「先生……」

「ちっ一緒にいたくないし街の入り口で待ち合わせって事でいいのじゃ?」

「それで大丈夫です!」



 俺はやらしくないように師匠の足をマッサージしてご機嫌を取ると、何とか許可を得る事に成功した。


 俺が皿洗いをして片付けが終わると裏口からの出発。

 確か聖都いくのにも馬で数日かかった記憶がある。

 どうやっていくんだろ。



 師匠はポケットからペン見たいのを取り出した。



「あっ昨日の」

「試作品じゃがな。アリシアはともかくお主はちゃんと捕まっておけ。じゃないと空中で放り出されるのじゃ」



 アリシアは師匠の腰に抱きつく。

 俺の抱きつくスペースがないので、俺は師匠の左足にしがみ付いた。


 師匠が何か言いたそうに俺を見下ろすが、あとは背負ってもらうしかないんだけど。

 何も言わずにため息をはかると、ペンをパキっと折る。

 その瞬間に俺の魔力が一気に吸われた感じになった。


 世界が真っ白になる。



「――い。おーい!」

「はっ!? あれ。アリシア?」

「うん。アリシアだよ? って事でクロウ君ついたけど……」

「あえ?」



 まぬけな声が出た。

 俺の前には聖都の門が見えワープしたのがわかる。



「ついた……? 魔力がごっそりなくなったような」

「試作品じゃがらの。アリシア1人分の魔力をワラワとお主でカバーした感じじゃ」

「何かごめんね」

「いや、いいんだけど……」



 俺の魔力が空になるほどの魔力がいるってアリシアの潜在能力過ごすぎ。



「じゃぁワラワはちょっと書庫に行くからお主は適当に過ごしていろなのじゃ」

「え、俺も書庫に」

「すまんのじゃ。これから行く書庫は2人専用なのじゃ。おっと馬車がきたようじゃな。アリシアさぁいくのじゃ」

「クロウ君。ご、ごめんね」



 師匠はそういうとアリシアを連れて馬車に乗ってしまった。

 なのその、スネオシステム。


 スネオシステムというのは、普通にいけば多人数で使えるのを無理やり人数分だから。と言って断る奴だ。


 車でも詰めれば5人とか乗れるのに2人乗りだからって断るアレである。


 そして、仲間外れにされた人間は、泣きながら復讐を誓うのだ。

 ……まぁ今回は書庫に行きたい。というよりは師匠と居たい。というだけだしな。


 復讐はしないでやろう。


 と、言う訳で暇になった。

 これが小屋の中なら小屋掃除でもしたんだけど、それも先手を取られて封じられてしまった。


 待ち合わせの場所でベンチに座った。

 一歩も動かずに空を見て思考をまとめる。


 この世界に来た意味はわからないが、アリシアの魔力切れを治してあげたい。

 むこうでは同じ症状があったが、強制的に休ませる事によって治った。今回は休ませる事が無かったので悪化したという感じか。


 もちろんこっちの師匠だってそれぐらいの事は考えているだろう。

 俺に求められるのは師匠の知らない方法でアリシアの魔力を戻す方法だ。



「………………うん。あるわけがない」



 結論無理。



「と、言うかだ。千年以上生きてる師匠に対してゲーム知識しかない俺が勝てるわけがない。ポーション。エリクサー。ラストエリクサー。マナポーション。マナエリクサー。この辺は定番として師匠だってしってるはずだ。ようはステータスが視れればな……」



 俺は空を見上げると、突然俺の顔を覗いてくる女性と目が合った。



「君、ずっとそこにいるの?」



 長い金髪で俺の視界から空が消える。

 椅子の反対側から俺を見ていて不思議そうな顔だ。


 俺はこの顔を知っている、そうめっちゃ見覚えのある顔。

 そう聖騎士アンジェリカ。

 どこにでもいるな。とおもったがここが聖都なのを思い出す。




「おかしいな? こんな美人なお姉さんの声聞こえない?」

「考え事……聞こえてる」

「よかった。この街で治療も観光もしないでぼーっと椅子に座ってる人がいるって知らせ入ってね……よかったらお姉さん話聞くよ? こう見えてもお姉さんとても偉い人なんだ」



 でしょうね。



「どうぞ、お構いなく」

「んー自殺志願者ってわけでもなさそうだしなぁ。そうだご飯食べようか、おごるよ」

「…………だからお構いなく」



 アンジェリカは俺の前に移動した。

 俺は同時に椅子の反対側へと動く。



「こう見えてもお姉さん。男性が好きなんだ」

「………………絶対にお構いなく!! 好きな人いるんで!!」



 聖騎士ならぬ性騎士アンジェリカ。

 よだれを垂らして俺を逃がさないと回り込んでくる。



「忘れる事も重要だよ?」

「忘れてたまるかっ!」




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