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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


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第244話 結局アリシアさんに怒られました

 カポーっと良くわからない魔物が鳴いている。

 夜だけあって比較的静かで時折魔物同士の戦いの音が聞こえた。



「で。何の用です?」



 俺の心臓はどきどきだ。

 だって師匠が深夜に俺を外に誘ったのだ。

 家にはアリシアが寝ている。

 と、言う事はバレちゃだめな話に違いない。



「お主。真面目な顔なくせにベルトを取るな……なのじゃ」

「もしかして思ってる事と違う?」

「おそらく違うのじゃ」



 悲しい。

 俺はベルトを締めなおすと近くの岩に座る。



「じゃぁ俺が呼びだされる理由は……そういえばアリシアから説明受けたとはいえ話良く信じましたね」

「お主が他世界から来た。というやつか。今でも信じられんのじゃ、でもあのアリシアが言うのじゃ間違いはないじゃろ」



 すごく信頼されてる。

 気持ちは少しわかる、俺も師匠が多次元の師匠ですよーっても最初は信じない。

 そこでアリシアが『本当だよ』って言えば多分信じるし。


 俺の中の《《信用度》》はメーターが100あれば師匠20アリシア80ぐらいはある。

 まぁこれは信用であって信頼はまたメーターのふり幅違うんだけどさ。



「それにじゃ、ワラワとて処刑されたお主の顔は確認したのじゃ。処刑されたのが影武者には思えないし、そうなんじゃろうな……とじゃな」

「まぁ処刑に関してはしゃーないですね、非道だったらしいですし」



 処刑された事実を知ってるからこそ俺はそれを回避できたのだ。

 無かった事にはならないのかもしれない。



「俺としては師匠がこっちの世界にいけって手紙を貰ったので来たのですけど……何か俺必要な事あります? 無ければ帰りたいんですけど」

「ほう。帰るアテはあるのじゃ?」

「無いに等しいですね。あるとすれば――」



 俺は2隻目の飛空艇の話と、自動操縦ボタン。さらには古くなった船などを手短に話す。



「飛空艇で来たのじゃ? デーメーデールは現在北の地に停泊中、アリシア達は『コメット』に乗って帰って来てるのじゃ」

「コメットⅡ改などは?」

「ワラワは聞いた事はない……もっとも、帝国で秘密裏に開発していたらわからんのじゃ。そっちじゃ飛空艇が何隻もあるのじゃ?」



 確かに俺が貰わなかったら普通は1隻か。

 駄目だしを何度もして、ブチ切れたサンが改造してたしな。



「まぁお主の帰還はまた後で考えるのじゃ。いうてお主がこの世界に来た理由なぞ知らん」

「ですよね。能天気な師匠ならそういうとおもってま――だから攻撃魔法はっ!」

「小さい電撃なだけじゃ……お主一言余計だって言われないのじゃ?」

「その一言が素晴らしいって言われますけど」



 俺と師匠は無言のまま見つめ合う。

 杖を下げた師匠が思わずしゃがみこんだ。



「ええっと……背中さすりましょうか?」

「いやいい。病気になったら嫌なのじゃ」

「うい」



 触っただけでなる病気とか風邪とかそういうレベルよ。

 普通の人だったら泣くからねこのイジメ。



「本当に他世界のワラワはお主を弟子に取ったかと思うと死にたくなってきたのじゃ。お主アリシアの事を今でも好きなのじゃ?」



 好きって質問されても。

 もしかして、アリシアが俺の事が好きで体の関係でも持って欲しいって話?

 うーん、俺には師匠がいるからなぁ……向こうのアリシアにバレないって言ってもさすがにそれは。



「やっぱり師匠とだけしたいですね」

「……何の話じゃ?」

「師匠とベッドインの話では?」

「そんな話していたか?」



 あ、やばい師匠がマジ切れしそうだ。

 修正しないと。



「アリシアに好意。ですよね! ええっと好きっても友人としてですよ、メシの時も言いましたけど、向こうでは俺、アリシア、それと死んでる俺の兄とともに師匠に魔法などを教わってます。姉弟子みたいなものですし」

「ふむ……早口じゃな」



 早口じゃないと、師匠が切れそうだし。とは言わない。



「アリシアは現在魔力が無い」

「無い?」

「魔力切れじゃ、今ではヒールも打てなくこの森で静かに治療をしているのじゃ」

「はいはいーそもそも、その魔力が切れたアリシアってなんで俺の事を? いくら占いが凄いフレンダから手紙を貰った。程度じゃ信じられないんですけど」



 ちょっとした疑問を問いかけてみる。



「ああそれに関しては聖女の力じゃな。もっとも……魔女の力と行ってもいいのじゃ、そもそもじゃ聖女、魔女、賢者、その下にある魔法使い、魔導士などなど全部人間がつけた名前じゃ。ギルドが無い時代などどれもこれも同じような物じゃしな」

「師匠が昔聖女って呼ばれていたのに今はビッチみたいなものですよね」

「ほうほうほうほうほうほう」

「師匠! 杖はまずいですアリシアが起きます」



 師匠は舌打ちして杖を閉まった。

 あぶね。

 時と場所を考えて欲しいよ、この師匠。



「フレンダとて占いの力は魔力による力が大きいのじゃ。アリシアの場合は知らないはずの事を知っていたり死んだお主のから夢で聞いたなど……」



 夢の中で向こうの記憶が混ざったって事か?

 デジャブの強化版みたいなものか。

 たまに『この場面見たことある』みたいなのがおこる事がある。大抵は勘違いなんだけど1000回のうち1回は本物じゃないか。と言われてるアレだ。



「治せない?」

「夢に関してはいづれ途切れるじゃろうと、フレンダによると逆回りの星に希望だそうじゃ」



 師匠は俺をじっと見て来た。

 逆回りって俺の事? 確かに死んだのが生きてるから反対なのも意味がわかるけどさ。



「俺に言われても。いや、アリシアの事は助けたいんですけど」

「じゃろな、アレの話ではクウガはアリシアの魔力を戻すためにお主の屋敷跡などを回ってるそうな」

「ああ。それであんな所に」

「最近来た手紙ではクウガは死んだはずのお主を見つけ、お主を殺せばアリシアの魔力が戻る。と思っているらしいの」

「え。じゃぁ俺死んだ方がいい?」

「そうじゃな」



 かぽーっという魔物の遠吠えが聞こえて来た。

 俺も師匠も会話が止まってしまった。

 師匠も何も言わないし俺も何も言わない。



「いやいやいや! このイベントここで終わったらダメでしょ!? 俺が死んだ方がいい。死ぬ。終わりのイベントになるんですけど!?」

「あまりにも何も言わないからアリシアのために死んでくれるのかと思っていたのじゃ。ワラワの中では、どんなふうに殺そうか手順を考えていた所なのじゃ。なんじゃ死にたくないのじゃ? 姉弟子のために死ねるとは英雄と思ってたいんじゃが」



 師匠から見て俺の好感度は上がっても死んでいたら意味がない。



「逆にクウガ殺せば呪いとけませんかね?」

「行けるのじゃ?」

「これが師匠が呪いにかかり、解くのにクウガをってあれば行けたんですけどねぇ、因みにこっちのアリシアってやっぱりクウガの事が好き?」



 師匠は「そうじゃ」と言って頷く。



「じゃぁ無理だ。ヒロインは主人公とくっつくべき」




 そもそもだ。



「千年以上生きたババ……師匠でもわからない事を俺に聞くのが間違えてる」

「ほうほうほうほうほうほうほう」

「………………師匠、心の声を聴くのは」

「思いっきり口にだして――」

「やっべっ水盾・連!!!!」




 師匠が杖を俺に向けてほぼ発動する光、俺の視界が真っ白に染まった。


 


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