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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


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第242話 魔女に捕まる(捕まえる

 アンジュから寝る前に『友達になりましょうか?』と真顔で言われて傷ついた日から5日後の朝、『ハヤブサの腕輪』を受け取る日になった。


 ちなみにアンジュとは姉であり先生であり部下なので友達という感覚にはなれないので断った。

 悲しそうな顔をしたがようは尊敬してるからというと機嫌がよくなる。



 朝食後フランシーヌの屋敷前で挨拶をする。

 


「じゃぁ行ってくるから」

「頼みましたわ。わたくしも仕事ですので」



 会話だけ聞いてるとヒモ男がお使いを頼まれただけの感じになるが仕方がない。



「大丈夫です。私もついて行きますので」



 アンジュがメイド服のまま答える。



「いや、俺一人でいいけど」

「なぜです!?」



 最近のアンジュはちょっと怖い。



「いや、最近俺の後着いて来て怖いんだけど」

「そんな事一度もないです。ま、間違いなんじゃないでしょうか?」

「メイド服着たまま街中までついて来る人間はアンジュしかいないですけど!? そんな恰好であそこに行くと目立つし1人いればいいよ」



 俺が突っ込むとアンジュの顔がふくれる。

 30代後半でかわい子ぶっても、そんなにかわいくないからね。

 思わず口に出しそうになった。



「わかりました。では屋敷で待ってますので」

「はっはっはクロウベル殿はおもてになりますなぁ」



 爺さんがちゃちゃいれてくる。

 もてないからね。



「いえ、クロウベル様は最愛の人がいるとの事でしたので、スタン家最後のメイドといたしましてはその方に会わせるのが使命と思ってます」

「ほら。アンジュのは好意じゃなくて心配」

「どうでもいいですけど、馬車閉めますわよ」



 フランシーヌが先に乗り込んだ馬車で暇そうに俺達を見ていた。

 おっと。


 市街地まで馬車で送って貰い1人になる。

 途中で手土産を買い、すたすたとスラム街へと歩く、前回の俺を見ていたのか、薄着のお姉さんなどが俺を客として呼び込む。

 手土産の半分をそのお姉さんに渡しドンドンと先に進むのだ。


 人生何あるかわからないからね、気づいた時に根回しは大事にしたい。


 看板の無い道具屋。

 その引き戸をノックする。

 いくら俺だって2回目は直ぐに開けない、また着替え中だったら困るから。



「どうぞにん」



 ほらちゃんと返事がくる。

 立てつけの悪い引き戸を開くと、見知った顔が数人いた。

 1人は暗殺屋のくのいち事、アヤメ。


 それはいい。


 だって店の主人だもん。

 その横で俺を見ては固まってる男の方が問題だ。


 金髪で目の下にクマを作ったクウガ様さまである。


 引き戸を思いっきり閉めるのと扉越しに剣が突き刺さるのとほぼ同時だ。



「クロオオオオオオベエエルウウウウ!」



 こわっ!?

 勇者が出していい声じゃないよ!?

 憎しみ通り越してもはや愛!?



「って、冗談思ってる場合じゃないな」



 扉が蹴られ剣が引き抜かれると左から攻撃が飛んでくる。



「水盾!」

「光の矢!!」



 ほぼ同時に発動する魔法。

 俺とクウガの魔法が打ち消し合う。


 俺とクウガは距離を取るとお互いに無言だ。



「やっぱり生きていた……2年前に殺したのに……どんな魔法だい?」

「…………一応言うけど俺は同姓同名の弟」

「剣を通してわかる、お前はあのクロウベルと同じだ! それに、違うやつなら僕に斬られるはずだ!」



 うおーい!

 言ってる事やばいぞ。

 ようは、俺が防御したからクロウベルって事で、俺が黙って斬られれば人違い。って事だ。


 何所の魔女狩り?


 俺とて斬られたら痛いし、いくら再生持ちっていっても100%再生するとは限らないし、それに頼った戦い方はしたくない。



「アヤメ! 奴の首を落とせ!」

「にん!?」

「早く!!」



 どんでも命令が飛ぶ。

 俺の眼に細い糸見たいのが視えた。

 とっさに剣を首の前に持っておくと糸が切れた。



「なんのにん!」



 魔力の糸が何本も俺の周りに飛んでくる。

 邪魔だ。

 俺はアヤメをみるとアヤメが距離を取る。



「ひっ! こ、ころされるにん!」



 失敬な、見ただけだ、見ただけ。



「ちっ! この男! アリシアだけじゃなくてアヤメも!」

「違うって言ってるだろ!」



 クウガはポケットから青色の腕輪を手にはめると動きが一気に早くなった。



「うお!?」

「このスピードならお前を斬れる!」



 切上げの攻撃を避けようとするも間に合わない。

 俺は左腕でクウガの攻撃を止めると、血がだらだらと地面へと落ちる。



「なっ! 僕の攻撃を……」

「いい加減にしろよクウガ」



 残った腕で腕輪を引き抜くとクウガに蹴りを入れた。

 腹を抑えるクウガは俺を見ては睨んでいる。



「なぜ手加減する…………」



 いや。別に殺しても良いんだよ……こっちのクウガはあっちのクウガじゃないんだし。

 理屈ではわかっているんだけど、クウガから見たら怒るのももっともで。


 俺だってゲームを遊んでいて、死んだはずの雑魚キャラを見つけたら戦うよ、しかもそれが恨みある奴だった。



「手加減はしてない」

「今のだって蹴りじゃなく僕を斬るチャンスはあっただろ!!」



 そうなんだけどさ。



「本当の事を教えてやろうか?」

「…………なんだ?」



 クウガの動きが止まった。

 俺は腕に癒しの水を唱えながらクウガを見る。

 周りの気配も探らいないと先ほどからアヤメの姿が見えない。


 いーよな、仲間がいる奴は。連係がうまいんだもん。




「お前を斬りたくない。それだけだよ」

「ふざけた事をおお!」



 うん。本音作戦失敗。

 少しでも混乱させて逃げれないかなって思ったんだけど。



 クウガが突進してくると、俺の前に影が飛んで来た。

 メイド服の女はクウガの一撃を左へと流す。



「その心意気、お見事です!!」



 アンジュは目元だけ変なメガネをして自慢の剣を構えた。

 変装のつもりだろうか? 眼鏡の前にメイド服をなんとかしないと。



「誰だ!! そこを退け!」

「退きません! 冒険者ギルドの基本2条。いかなる理由があれど街中での私闘は禁止。一方的に斬りかかっているようにしか見えません」



 アンジュの大きな声が響くと何人かの男女が俺達の周りを囲う、どれも見た事ない人物だ。冒険者なのかな?



「それは……それはわかってる。でも退いてください!」

「いいえ」



 クウガは暫くにらみ合ったまま剣をゆっくりと収めた。



「わかった。冒険者ギルドの命令に従う…………『ホーリーキャノン』」



 なっ!


 クウガがその場に崩れ落ちる。

 アヤメがクウガを抱きしめ直ぐにジャンプした。



「アンジュっ周りの奴全員!! 逃げろ!!!」



 俺は力の限り叫ぶ。

 水盾・連を唱えるも発動が間に合わない。


 クウガが最後に唱えた魔法『ホーリー・キャノン』は光属性のレーザー魔法。

 人工衛星からのレーザーじゃないの? って俺は思っているぐらいに強い魔法。


 それこそ対古代竜などの魔法で街中で放っていい魔法ではない。


 俺だけなら生き残れる自信はあるが……空からの光、視界が真っ白になった。


 《《周りが蒸発すると思われる中》》、俺は《《尻を触っている》》。うん、見覚えのある尻だ。



「初対面でこれなのじゃ?」



 時代遅れの三角帽子。透き通るような銀髪で長い耳、隠しきれない大きな胸に弾力のある尻、甘い果物を思わせる匂い、これが師匠の加齢臭かもしれないいいいいいいいい!!



「足! 足踏んでますって!! い、いつの間にヒール付き靴を。穴空きますって」

「少しでも肉を落として身軽になっていいじゃろ…………で、どうするのじゃ?」



 見下した目がまた師匠らしい。

 俺は白い世界の中必死にアンジュを探す。



「アンジュ!!」

「だ、大丈夫ですかクロウベル様!」

「これをアレに渡して! …………そのありがとう《《アンジュ先生》》」



 俺は『ハヤブサの腕輪』をアンジュに投げた。

 キャッチした後にアンジュの「お気をつけて……」という短い返事が聞こえた。



 


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