第241話 友達の友達は友達ですか
看板の無い道具屋。
その道具屋の中に招き入れられお茶を出されている状態だ。
壁には鎖鎌、刀、ヌンチャクなど昔の日本人が使う武器みたいのが並んである。
「でアヤメの店に用あるにん?」
くのいち使用の衣装に着替えたアヤメが俺達に話しかけて来た。
年齢はまだ少女っぽさがみえ、くのいちの衣装もちょっとえろい。
まぁその変は気にしないと言えもっと大事な事がある。
「それは置いておいて、もしかして俺呪われてない? これってハーレムの呪いな気もするんだけど……俺は師匠だけいればいいだけぐふっ!」
「貴方うるさいですわよ。そんな変な呪いあるわけないじゃないですの!」
俺の意見は無視されて腹に一撃を食らった。
あるんだよなぁ……。
「さてアヤメさんといいましたね。この街の大貴族フランシーヌとは私の事ですわ!」
「にん?」
「さぁ『ハヤブサの腕輪』を返しなさい! いたっ」
俺はフランシーヌの頭を叩く。
別に先ほどの恨みでじゃない、絶対に違うので3回ほど叩く。
「ちょ! 3回は多くありません!?」
「静かに。ええっとアヤメさんだっけ? 初めまして俺は旅の者で、こっちは本当にこの街の貴族でフランシーヌ。この人が持っていた『ハヤブサの腕輪』なんだけど色々あったらしくこの店で売ってるんじゃないかなって、調べたわけ。で吹っ掛けてもいいから売ってくれない?」
いきなり訪ねて返せっても通る物も通らなくなる。
忍者服を来たアヤメって女性は腕を組む。
アッ売りたくない感じかこれ。
「ふっかけていいから、この家金持ちだよ?」
「売るもなにも無いにん」
「いや無いってあるでしょ」
現にアヤメがここに居るんだし、クウガは腕輪を希望しなかったルートに入ってる。
「先日来た友人に貸したにん」
「貸すなよ」
アヤメはそっとクナイを見せて来た。
「ごめん」
「あなた……少しは交渉を。え? 私の家の『腕輪』を貸したのですの!?」
「あれは、アヤメの物だにん」
「私のです!」
「アヤメだにん!!」
2人の女性がテーブルをはさんで所有権を争っている。
世界は違えとどこでもある話なんだよなぁ。
《《盗品の物は誰の物?》》 というやつだ。
遺跡などでも所有者の管轄問題あるし、ぶっちゃけるとこの世界貴重なアイテムが出たら『迷宮から出た』と報告される事が多い。
ほら迷宮から出たアイテムは『見つけた人優先だから』
「じゃぁ俺達がその友人から買えば問題ない?」
「問題ないにん」
ぐるぐるるーと吼えてるフランシーヌのえりをひっぱってテーブルから剥がす。
「ほら、問題解決したぞ」
「解決してま――」
「それにその腕輪だって爺やの物だっていってもさ。爺やが作ったわけじゃないし元々『ピラミットの秘宝』だろ? 血縁者が返してくれって言ったらどうするきなんだよ」
「それはフリク家が買い取ったので問題ありませんわ!」
うーん。
話が通じてない。
「それと同じなんだよ、この道具屋の人は。ルートはともかく現在はこの人の物、俺達はそれを買う。それだけ」
「それは……」
「覗きのくせにいい事いうにん」
「覗きじゃないからね、で友人と連絡は? とれる?」
「数日で帰ってくるっていっていたにん」
じゃぁこの話はお終いだ。
という事でお開きにする。
「5日後ぐらいにまたくるよ」
「わかったにん」
「その前にこの店にあるのを見て行っていいかしら? 面白そうな物沢山あるわ! これは剣?」
フランシーヌが指をさしたのはいわゆる刀というやつ。
さすがに日本刀という事はないはずだ。
東邦刀とでもいうのかな。
「刀だよ。特殊な作りで金属を薄くたたき切れ味をよくした奴」
「こっちの固い木はなんですの!?」
次に竹で出来た槍を聞いてくる。
竹やりが珍しいな、こっちの定番と言えばヒノキの棒だ。
それに匹敵するぐらいに簡単で作れる殺傷能力の高い武器。
「ああ、竹やり。この辺では生えてないけど直ぐ伸びる植物で中は空洞。でも周りが固いので加工しやすいんだ」
「あなたが先ほど額に受けていたのは?」
「手裏剣。クナイタイプで鉄などで出来た投てき武器。殺傷能力は低いから普通は先端に毒などをぬる」
「怖いぐらいに詳しいのですのね、彼女引いてますわよ」
日本人だしな。
アヤメの方を見ると俺の顔を見ては嬉しそうだ。
「火の国の事詳しいにん!」
「…………昔本で呼んだ程度だよ」
「にん……」
変なフラグは立てたくない。
秒でへし折った。
「あら、そこは嘘でも詳しい。って言えばもてないあなたでも話す気かっけになったんじゃないですの?」
「俺には思ってる人がいるからいいの。これでも相思相愛よ」
願望を混ぜておこう。
「とても恋人がいるようには……」
「妄想はかわいそうだにん」
「はいはいはい。この話は終わり! 帰る。じゃぁ5日後に来るよ」
先に店をでると、後からフランシーヌもついて来た。
屋敷に帰り、これで罰ゲームもお終いだ。
途中で馬車を拾って屋敷につく、先回りしていた爺さんやアンジュが出迎えてくれた。
フランシーヌが馬車から出た瞬間に爺さんがフランシーヌに抱きつく。
「お嬢様! ききましたぞおお! この爺のために何と危険な。このような事を」
「離れてくれませんの、べ、別に爺やのためじゃないですし」
ああ。そういえば少しツンデレあったなこのフランシーヌ。
同じ名前のフランシーヌでもまだかわいげはある。
「私はクロウベル様の事を信じてましたので」
俺の前にはアンジュが他のメイドのように出迎えてくれた。
「気配が怖いんだけど、昼間の事怒ってる?」
「昼間? 私は今日のこの屋敷から一歩も外にでてません」
「…………それで押し通す気?」
「出てませんし! 目も大変にいいです!!」
言い切られてしまった。
まぁ俺もアンジュと戦いたくはないので深くは探らないでおくか。
どうせ爺さん辺りに頼まれた事だ事だろう。
「じゃぁ5日後も頼みますわね」
「は? 罰ゲームは終わりだろ……」
突然の命令に思わず聞き返す。
「私、貴方と違って忙しいんですよの!? 毎晩飲み食いしてる方とは違いますしー取りに行くだけですわ。はっまさか……そんな事も出来ない……いえ。そうですわね可哀そうな子……口だけの男だったなんて」
見え見えの挑発だ。
「素直にお願いします。ぐらい言えないのか……だから友達いないだよ」
「なっ!! い、いますわよ!!」
「どうせフレンダだろ。それ以外に」
「い、いますわ!! ええっと……ですわね。あの花やの子とか――」
指を折っては数えている。
かわいそうになって来た。
「そんなあなただって友達いますの!?」
「……………………この話はお終いにするか。なに5日先に取りに行くわ。腹減ったし入ろう」
背後でアンジュが「クロウベル様……」と悲しそうな声が聞こえるし。
フランシーヌの背後で爺さんがこれまた悲しそうな声で「お嬢様」と呟いてる。
俺だって。
俺だってこっちの世界にはいいないだけだ!
向こうの世界に帰ったら友達なんて……友達なんて……だめだ酒を酌み交わせる人間はいても友達となると……うう。




