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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


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第236話 この世の宝が全て詰まってる場所を占いで聞いてました

「気分を落ち着かせるお茶です」

「どうも」



 凄い静かな部屋だ。

 そもそもテレビやネットの無い世界なので夜と言えば読書ぐらいしかない。


 そりゃ酒場も儲かるって事よ。

 人類の歴史を考えるとテレビなどたった100年ちょっと、ぐらいの歴史しかない。

 それまで夜はこう静かに過ごすものだったのだろう。



「俺がここに来る事は?」

「星詠みです。占いの一つと思って頂ければ……隣の世界から来た恩師が困っている。と何年も前から……貴方のお名前だって昨日やっとわかったんです。初対面なのに恩師とは不思議ですよね」

「まったくだ」



 気分を落ち着かせる。と、いうお茶を飲んで座りなおす。



「では……占います」

「ああ、《《師匠の勝負下着が入ってるタンスを教えて欲しい》》」

「え?」



 フレンダが聞きなおして来た。

 聞こえなかったのかな?



「聞こえなかった? 若いのに耳が悪いとか? もう一度言うか絶対持ってると思う師匠のどえっちな下着――」

「聞こえてます!」

「ああ、そう?」



 じゃぁ何で2回も聞き直すんだ。

 俺の考えで言うと鍵のかかったタンスが怪しいと思うが、以前開けたらカビたチーズが出て来て慌てた事がある。

 師匠の家を探したけどノーマル下着はあっても他のがみつからない。


 俺だって好きで探したわけじゃない。

 師匠が『片付けろと……がみがみうるさいのじゃ。ドアホウがワラワの下着を握って興奮した所じゃな、それに《《普通の》》下着見られてもなぁ、よし、ワラワの下着を掴んだ罰というわけでドアホウ片付けるのじゃ?』と言って来たから片付けたわけで、俺だって下着を――。



「――の! あの!」

「え。はいはい。占い結果でた? 水晶でもなんでもいいけど」

「いえ。まだ……」

「ああ、星詠みって時間かかるんだね。何時までも待つよ」



 占い師は本物も偽物も知っている。

 例えば偽物は事前に対象者の名前を他の人物が聞いたりしてさも結果が出たように言う。


 その点フレンダは向こうの世界でも占い師。

 俺の名前も知っていたし信頼は爆上げだ。



「そうじゃなくて」

「まさか持ってないとか。フレンダだってティーバックの1つ2つあるよね」

「あのですね」

「まさかもっと凄いのある!? 胸を抑えるだけのとか」

「あの!」



 とうとうフレンダが立ち上がった。

 何かを言おうとした顔なので俺も言葉を止めてみた。

 座っている俺を見下ろす格好で自然と目が合う。



「この世界に堕ちた彼方はこの世界でやるべき事があるはずです!」

「無いよ」

「え!?」



 俺の即答でフレンダが驚いた顔になった。



「そもそも、俺は《《フレンダの占いを信じてる》》」

「あ……ありがとうございます、じゃぁ」

「だから、やりたい事とやるべき事は違う。俺がこの世界に来たのが運命というならこの世界で俺に殺された奴はどうおもう?」



 俺の顔を見て激怒して殺しにくるような奴がいる世界だよ?

 アレに言わせれば俺はここで死ぬ事が役割になる。



「それにクウガに殺されるのが俺の運命だったとしても受け入れたくないし、クウガを殺す運命って出たらどうするのよ、それに沿って従っていいのか?」

「そ、それは……」



 フレンダが泣きそうな顔になっている。



「ああ、別に怒ってるわけじゃなくて……そんな結果が出たら俺もフレンダも悲しむ。それが運命であれば占いをしなくても運命が動くさ」

「わ、わかってますけど……」



 《《よし、もうすぐだ。》》

 


「だから一番いいのは師匠の勝負下着の場所! 早く! 占い師! いや星詠みフレンダしかできない。君は未来師マリンダの弟子なんだろ!?」

「っ!? は、はい! わ、わかりました! お義母様(おかあさま)の名前まで、ではその人を思い浮かべてください」


 

 俺が『早く!』と急かしたのが良かったのか大きな水晶球を覗き込んでいる。


 俺自身は見えないが水晶に魔力が入って行くのが感じとれた。



 俺は師匠を思い浮かべる。

 俺の事を子ども扱いしては、人より長く生きてるからって年寄りくさい女だ。


 公式設定では魔女で元聖女と呼ばれていた長寿族、まぁエルフなんだろうけど……似合いもしない『のじゃ』を語尾につけるが、『エセのじゃ』いや『ビジネスのじゃ』の可能性も高い。


 胸は大きく。非公式の同人ではKカップとかもはや化物で、実際見た感じはちゃんとDかEぐらいだろう。


 アニメでは脱いだらAからFに変わる子などもいるが風呂で見た感じ同じぐらい。



「す、すごい魔力がどんどん水晶に集まっています」



 師匠の事ならもっと思い浮かべれる。


 尻。

 俺は良く知らないが安産型と言われる尻で、俺の事を男と思ってないなど言う癖に、触ると怒る。

 減る物じゃないし、代わりに俺のも触っていいですから。と言ったら窓から吊るされた事もある。


 最近は情けで、俺と一晩を共にしてくれるチャンスを何度かくれたけど、情けは無いよな。


 俺は実力で師匠を攻略したいのだ。

 この気持ちがあとちょっとでも足りなかったら『ありがとうございます!』といって師匠の部屋に言っていただろう。


 その辺を姉弟子でもあり友人のアリシアにオブラートに包んで相談した事がある。


 結果は「クロウ君本気で気づいてないの?」とよくわからない言葉を貰う。



「《《待って!》》 魔力が多い!」



 フレンダの嬉しそうな悲鳴が聞こえて来た。

 しかも『《《もっと》》』と来たもんだ。


 髪は銀髪で、魔力が切れると黒になる。

 人間社会では黒い髪のほうが魔力があると言われているらしく俺は黒だ。


 反対な所がなおよし、やっぱエルフは銀髪が一番だ。

 次に外見。

 700年前からあの状態、いや気持ち若かったかな? とにかく外見があまり変わってない、あの調子ならあと1000年はあのままかもしれない。


 錬金術のアイテムで退行化のアイテムがあれば10本ぐらい飲ませてみたいもんだ。

 『わたしめるぎなす9さい』とか見たい。

 その場合恋愛ではなくて育成計画になるし、そんな師匠が彼氏が出来た。と言ったら俺はたぶん、そいつを殴る。


 殴った後で血の涙を流しながら祝福を祝うさ。


 そんな仮定の話など俺としてはどうでもよく、やはり早く不老不死になり師匠の横に立ちたいが解決方法がわからない。


 不老不死といえば、どこかの竜の血を飲んだ。という事で再生体質になった。


 問題なのはこれ痛みがある事。

 切られれば痛いし骨も折れる。ただ半身が吹っ飛んでも生えて来た。


 おっと、これは俺の話だったな。

 ええっと師匠の事だったよな、あのずぼらさも、また味があっていい。


 普通1000年以上生きたら綺麗好きになるんじゃないの? 『直ぐ片付けるのじゃ』と言いながら部屋を汚す。

 金は持ってるくせに金勘定が不得意。


 この不得意の所は昔聞いた事があるんだけど……『人間の金なんぞ価値がいきなり変わるのじゃ……』と嘆いていたっけ。


 同じ金なのに金貨という物に変わった瞬間に突然ゴミになったりその100倍の価値になったりだもんな。わからんでもない。


 金勘定に関しては俺も得意ではないけど師匠よりはまし。と思ってる。




「待って! 待って!! クロウベルさん! 水晶玉にひびがっ!? きゃっ!」


 

 待ってと言えば『惚れさせてみるのじゃ』と宣戦布告もらったっけ。この占いが終わったら師匠の攻略の糸口を探すがああああ!?


 俺の真横で水晶玉が割れた。




「フレンダ危ない! 水盾っ!」



 フレンダの手を引っ張ると俺の背後に滑らせ水晶玉の破片からフレンダを守った。


 暫くそうした後に水盾を解く。



「大丈夫かフレ……ンダ……あれ? 怒ってる?」

「当たり前です! 何度も《《待って》》っていいましたよね!?」

「《《もっと》》って言ってなかった?」



 フレンダは首を横に振った。

 じゃぁちゃんと言ってくれないと。



「言ってません!! それに占いの途中で気づいたんです、なんで私が見ず知らずの女性の下着。それも……そのド……を探さないと駄目なんでしょうか……普通帰る手段ですよね? それにこの世界でその、下着が見つかった場合どうするんですか……」

「そりゃ、俺のいた世界でも同じ所にあるだろうから。もしくはこっちの世界で借りてから、俺のいた世界の師匠に見せて反応を楽しむ」

「うわ…………」



 俺が魔法を出してまで守ったのにフレンダは俺から遠ざかる。



「あの、鍵はかけなくていいので……うわ……」



 廊下に出た後も俺に「うわ……」を繰り返してフレンダは遠くの部屋に消えていった。鍵のかかる音だけが聞こえ、残ったのは割れた水晶玉と俺だけの静寂。



「…………帰るか……」



 どうやら俺の探し物は『星詠みフレンダ』でも見つけられない物らしい。




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