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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


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第222話 俺が悪いのか?

 飛空艇『デーメーデール』不時着から2日後。

 小型飛空艇『コメットⅡ改』に乗って来た帝国の戦闘狂皇子アレキがやって来た。


 やって来た。と言っても、すでに師匠にラストエリクサーは渡しておりそれを渡すだけだ。



 『コメットⅡ改』の出入り口で俺と師匠がアイテムを渡している。

 本当はアンジェリカが手渡す予定だったけど、はここ最近の出来事で熱を出した。

 アンジェリカいわく、『クロウベル君のせいだわ』だろうな。




「これがラストエリクサーか……無能、いや厄災の魔女と思っていたが、たまには帝国の役に立つようだ」



 イラ。

 俺はともかく師匠の事を何て言い草だ。



「お前さぁ……師匠がいくらおっぱいがでかくていい匂いするからってそれは無くない?」

「……」

「……」



 俺以外の2人とも無言になった。



「おい魔女よ。こいつは何なんだ」

「帝国で引き取ってくれなのじゃ」

「断る! いや……戦力だけならありか?」

「っと。俺の進退を俺の目の前で話さないで、冗談ですって……言葉は間違えたけど、俺が言いたかったのは頼んだくせに態度大きくない? 成功するとも言ってなかったんだし」



 危うく帝国に身売りされそうになったので本題を伝える。

 さすがのアレキもそれは思っていたのだろう、俺を見ては不機嫌な顔ながら、舌打ちして来た。


 ここまで来て舌打ちは、何皇子って謝ったら死ぬ病気でもあるの? と言いたい。



「帝国領土内での手配は既に解除した。それ以上に望むのか? いや……魔女は金じゃ動かないと聞いた事がある。なるほど……男がいいか? 帝国兵士でよければ夜の相手をさせよう」

「いらんのじゃ……」



 何という事でしょう。

 師匠の夜の事情に若い男を褒美とか。



「俺がいるぐあああ! あっぶね。師匠、杖はまずいですって」



 俺に杖先を向けた師匠は何時でも攻撃が出来る姿勢だ。



「では、お前はどうだ? 若い女から年増まで必要な人数つけるぞ」



 男なら魅力的な話である。



「ドアホウ。別にワラワに気にせず受けるがいいのじゃ」



 推しの目の前で別な女性を抱きたい。しかも性欲だけで。って流石の俺でもドン引くよ?



「あの。俺はそんなに信用ないですかね?」

「のじゃ? 信用はしてるのじゃ?」

「だそうだ。希望する容姿がいれば宰相に連絡をいれろ」



 あれ?

 何か普通に話が進んでいく。



「ああ!!」

「なんじゃ!?」

「いや。何でもないです」



 そういえば、そういう世界だわ。

 別にハーレムが嫌われる世界じゃない。強い人間は何人も妻や愛人もいるし。

 クウガだって婚姻はしなくてもあちこち手を出しても、怒られはするが社会的には問題が起きてない。


 軽く性にオープンなのだ。

 つい、日本人だった頃の意識が強く出てしまったって感じかな。


 俺の父サンドベルでさえとっかえひっかえだしな。



「それよりもだ。あの飛空艇は王国産か? 帝国の『デーメーデール』を真似するとは悪趣味な」



 吐き捨てる皇子に俺は疑問符だ。



「いや帝国のでしょ」

「何を言っている、《《帝国には俺が出発する前日にデーメーデールは帰って来た》》」

「いやおかしいでしょ。ここにあるんだし」

「オレがウソをついてるいうのか?」



 うん。

 俺は即答で首を縦に振る。


 アレキ皇子は直ぐに剣を抜くと俺の首筋に歯を当てて来た、ちょっと力を入れれば斬れるだろう。



「ほう、動かないのか?」

「本気でやるならやるけど」



 アレキ皇子は舌打ちをして剣を収める。



「暇なら帝国に来ればいい。オレがウソをついてないかわかるだろう」

「師匠どうします?」

「ふむ。まぁいいじゃろ」



 師匠の許可がえると、皇子アレキは俺の腕を引っ張った。

 慌てて師匠の腕を掴もうとすると、師匠は俺の手を叩く。

 離れる師匠に閉まる扉。


 俺が叫び声を上げる前に『コメットⅡ改』は上空へと昇って行き、外にいた師匠は風圧から距離を置くのが見えた。


 次の瞬間『コメットⅡ改』は帝国へと一気に加速。

 聖都タルタルの景色が小さくなっていく。



「さて、好きに休め」

「おいいいいいいいいいいいいいいい!」

「なんだ?」

「俺は今すぐに行く。とは言ってないの!! また師匠と離れただろうが!」

「ちっ師匠師匠とうるさいやつだ。厄災の魔女メルギナスの狗め……お前がいったのだろう、帝国に来ると」

「行ってもいい。と行く。は違う!」

「同じだろ。違う部分を教えろ」



 え?

 アレキが堂々と俺に質問を返すので俺の方が戸惑う。


 ええと『行ってもいい』はいつ行ってもいい。によく使う言葉だ。

 『行く』は、その言葉だけなら『行く』頭に『今度』や『すぐ』などで時間の調整があるだろう。


 今回は『いつ行ってもいい』からの『行く』だからすぐに行くでもいいのか?


 あれ?



「所詮は狗だな、魔女の弟子らしいが頭のほうは弱い」

「ふっざけんな、俺はともかく師匠の悪口を」

「ほう……言ったらどうするのだ?」

「殺す」



 アレキ皇子が俺を見た後に小さく笑う。



「クックック」

「お前はコックか?」

「安い挑発だ。お前に帝国の民数十万人を導く力はあるのか? あるなら今ここで相手になろう」



 それこそ安い挑発だ。

 ってか、お前そんな重荷背負ってるなら戦闘狂になるなよ。

 矛盾してるだろ。

 途中で死んだらどうするんだよ。



「お前にあるとは思えないけどな」

「もちろんない。だから戦うのだ! 死ぬまでな! 死んだのであれば俺には帝国の民を導く力は無かったのだろう」



 完全に言い切ったアレキ皇子はもう何だがカリスマの固まりだわ。

 正直なめ腐っていたけど皇子だけはある。

 俺の怒りも抑え込まれるんじゃなくてかき消えた。



「わかったよ。帝都に戻ってクウガ達見たら帰るからね」

「好きにしろ……」



 コックピットでは、緊張していた兵士数人が操縦を続けている。

 俺はアレキ皇子から距離を取って座っていると、アレキ皇子が近くによって来る。


 黙ってアレキ皇子から距離を取ると、その横について来た。



 やだ怖い。


 寝室に連れ込まれて俺の貞操が奪われちゃう。

 もちろん冗談。



「狗よ寝室にこい命令だ」

「…………やだ」

「命令だ」

「やだ……」



 アレキ皇子が俺の腕を掴むと強引に引っ張る。

 慌てて床に両手を抑えるが力が強い。



「ってか辞めろ。周りの兵士も助けて! 目ぐらい合わせて」

「お前達はこの事は他言無用だ、帝国まで走らせろ」



 兵士は俺を見ないまま敬礼する。

 絶望だ。



「辞めろ! ってマジで魔法で船を落とすぞ!!」

「いいから寝室に来い!!」

「やあああああああああああああああああ!!」




 無慈悲に寝室の扉は開かれてしまっていく。

 『コメットⅡ改』に備えられてる簡易ベッドはとても豪華になっていてアレキ皇子専用だろう。


 だって天幕ついてるし。

 窓はどこだ。

 雲が見えるけど、あそこを壊して外に逃げるしかない。



「水りううううううううううう!?」



 俺の視界が突然暗くなる。

 頭から何かをかけられて慌てて取ると手触りのいいバスローブである。



「まずはリラックスをしろ。命令だ」



 いつの間にかアレキ皇子は上半身裸である。



「裸の付き合いだ。これよりオレは嘘はつかないし武器も持たない」

「もってるじゃねえか!」

「何の事だ?」



 ボクサータイプのパンツになってそれはもう武器である。



「どうした、早く脱げ」

「うえっ!?」



 俺の服が乱暴に引っ張られると大きなベッドに戻される。

 大の字になってしまって天幕を見るとアレキ皇子と目があった。



「さて……サンが喜ぶものを教えろ」

「いやあああ! やめ……師匠おおお! は? え?」






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