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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


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第217話 時の城で英雄と練習試合

 頭の上に来る剣をぎりぎりでかわす。

 襲ってくるのはアーカスでその強さは地下遺跡で出会った裏アーカスと同じぐらい強い。


 必死に避けないと俺の首が飛ぶ。

 そりゃもう物理的に。


 いっその事範囲外に逃げたいが俺とアーカスの周りには半円の結界が張ってあり、その向こう側では師匠がニヤニヤしてる。



「少しは! 本気を!! 出して!!!」



 この短いセリフの間に三連撃。

 顔面を狙った回転斬りからの着地しての顎を狙った蹴り上げ、それも交わすといつの間にジャンプをしていて一気に俺の体を二つにしようとしての攻撃だ。



「1個でも! 当たれば! 俺が死ぬ!!」

「そういうのは当たってから言って!!」



 だから当たったら死ぬんだって。


 なんで斬りあいになってるか? というと、アーカスの練習相手がいないからだ。

 外のカイザーアイやカイザーラヴィットではアーカスの練習相手にはならず、こんな城で1ヶ月以上もいるとなると体がなまるらしい。


 しらんがな……で普通は終わるんだけど、師匠の推薦で俺が選ばれた。


 そりゃもう全力で拒否したよ?


 俺が意地でも試合をしない。って言うとアーカスがしゅん、としてさ……ちょっと可哀そうになったのは覚えてる。


 それでも拒否しようとしたんだけど、師匠が俺の腕をぎゅっと掴んで胸の方にもっていってさ。

 耳元で『お主の実力も見てみたいのじゃ。ほれ、こう頼んでるのにじゃ?』というんだもん。頷くしかない。


 俺の腕が師匠のおっぱいにあたるのだ。


 そこから返事をした記憶はないが気づけば嬉しそうなアーカスと対峙してたってわけ。



 どうせ場外に逃げればいいやって考えていたんだけど、師匠とステリアが俺が逃げれないように4重の結界を張った。


 そんなに信用無いのか俺は!


 なんとしても引き分けに持ち込みたい。


 だって仮にアーカスに勝ってみろ、練習地獄が待っている。

 じゃぁ負ければ? って話なんだけど、手を抜き間違えたら死ぬ。


 あとねー散々言ってるけど俺は狂信者じゃないっての、練習なのに真剣使うとか馬鹿じゃないの!?


 700年後はちゃんと練習用の剣で戦ってるよ!?



「水盾・連!」



 俺の叫びで水の盾が出来ると、アーカスはその盾に当りぶっとぶ。



「やるぅ」



 アーカスが凄い嬉しそうで、結界の外からは「ほう……興味深い魔法だ」と「水系の盾じゃな」など気楽な声が聞こえて来た。


 いーよな外野は死ぬ心配なくて! それに俺が欲しいって言ってるラストエリクサーやエリクサーの小瓶を用意してるし。



「何度も言うけど!? 俺は別にチート級の強さじゃないしっ!」

「うぬぼれかも知れないけど! 私結構強い方よ!?」

「十分わかってるって!」



 だめだ、話通じない筋肉馬鹿だ。

 白黒はっきりしないと終わらない奴。



「あーもう怒ったからな!」



 俺がブチ切れ宣言すると、アーカスのほうは眼がキラキラになった。


 アンジュの剣を地面にさすとアーカスが攻撃に備えて距離を取る。

 優等生タイプで助かるよ、俺だったら相手が武器を置いたんだ突っ込むかもしれない。



「ウォーター!」



 ウォーターボール……水球でもなくもっと初級の水。スコールと同じ性質を持ってただ水を出すだけの魔法。


 俺の肩あたりから魔力で出来た水が流れ出す。


 外野のステリアの興奮した声が聞こえてくる。



「ウォーター……水魔法の初期で普通はコップ1杯の水しか出ないはずだ。まるで滝のように……アーカス気をつけて! 足元にどんどんたまっている」



 説明どうも、でも外野が助言したらダメじゃん。



「足元にたまるって事は結界ね……なるほど、私をおぼれさせる気ね。でもまぁ……その前に倒すけど」



 アーカスはアーカスの剣を一振りすると突進する構えをしてきた。



「ウォーター! ウォーター!! ウォーター!!! レイン!! ウォーター!!! 水盾。 水盾連!!」

「えっ!?」



 俺が魔法を連打するものだから動きが鈍る、結界内に一気に水がたまると足首からふくらはぎ部分まで水があふれてくる。


 これではアーカスの自慢の動きが出来ないはずだ。



「やるわね……息止め勝負ね!」



 だから何でそんなに嬉しそうなんだ。

 この方法は依然俺が対ヴァンパイアの時にした結界内に水をためて溺死させる方法の亜種版である。


 結界外に俺だけが使える空気穴が出せればいいんだけど、それはない。


 なので……。



 俺はズボンのベルトを外す。



「え?」

「あっ恥ずかしいからこっち見ないで貰える?」



 ぼろん。と俺の自慢の息子をパンツの外に放り出す。


 もちろん、アーカスや師匠には見せないように。

 後は体を震わせて、放尿した。


 ジョボボボボボボボッボボボボボボ……1分以上しただろうか、すっきりした俺は息子を閉まってベルトを締める。


 考えが追い付いて無いのだろう、アーカスも黙るし、周りの師匠達も黙っている。



「さて、俺はいいんだけどさ……時間がたてばたつほど俺のおしっこ入りの水が顔まで……いや口や鼻の中まで入るんだけど」

「うえええええええええええええええええええええええ!!! 信じられない!! えええ!? そんな事する!?」

「うん」



 アーカスが俺の方に泳いで来ようとする。



「あっこの辺濃いかも」

「っ!?」



 泳ぎが止まった。

 突然に結界の外にいるステリアの方を見始めた。




「ステリア! ど、どどどどうしよう!?」

「大丈夫。男性の尿を飲んでも死にはしない、今泳げば多少口の中にはいるかもしれないがアーカスが勝てる!」

「………………ステリア! 私だから平気って思ってない!?」

「魔物の返り血と一緒だろ……」



 ステリアの話も分かる。

 返り血もおしっこも基本同じだもんな。

 酷い時なんて魔物のうんちが顔につく時もある。



「一緒じゃないわよ!」

「僕は勝てる方法を聞かれたから言っただけだ!!」



 頃合いか。

 俺は別に2人を喧嘩させたいわけじゃない。

 この試合を終わらせたいだけなのだ。



「アーカスさん!」

「っ!? な、なにっ!?」

「俺を卑怯と思う?」

「今まで戦った中で一番卑怯よ!!」



 うーん。悪役令息本領発揮でちょっと嬉しいほめ言葉だ。



「同じ事をすればいい」

「へ?」

「いやだから俺も嫌がる事。俺と同じように水の中におしっこすればいい」

「で、出来るわけなっ――」

「勝てるのに?」



 アーカスの顔が混乱してる。

 水はもう腰まで来てる。

 視界の端に師匠が結界から離れるのが見えた、同時に師匠が掛けた結界2枚分が壊れる。

 うんまぁ、そうだよね、よし畳みかけよう。



「海とか温泉とかでお湯の中ですると気持ちいいよ?」

「し、した事ないわよ!!」

「じゃぁ初体験だ」

「しょたいけん…………」

「そう、ゆっくりと」

「ゆっくりと……」



 アーカスはベルトに手をかけてズボンを降ろそうとした所で、結界がはじけ飛ぶ。

 魔法の水がダムの結界の様に周りに飛び散りステリアにも掛かる。


 師匠は事前に離れていたので魔法の水もかかってないようだ。


 茫然としてるアーカスをよそに俺は円の外に出て敗北宣言をした。



「はい俺は負けました」

「え? ええ!? はぁ!?」



 アーカスは下着を見せたまま大混乱だ。

 咳払いをしたステリアがアーカスに声をかけ始めるのが見える。



「ごめん。僕がその……見てられなかった。アーカス混乱し過ぎだよ。その……戦いの最中に恋人が露出プレイしたらその」

「うえ!? ええ、ろ、露出?」

「気づいて無いのか、君はクロウベル君の挑発に乗って下半身を出そうと。僕の結界を取る作戦だったのだろう」

「………………うあああ!!」



 アーカスは恥ずかしさなのか剣を持って俺に突進してきた。

 何時もの切れがなく、これであれば俺でも反撃できそうで、アーカスの肩と股下に手を滑り込ませて地面へと投げた。


 倒れたアーカスの顔の前にアンジュの剣先を突き付ける。



「はい。本当にお終い」

「…………ま……負けました」



 やっと負けを認めてくれた。

 俺はルンルン気分で師匠の方に行くと師匠が一歩離れる。

 俺は一歩近づくと師匠はまた一歩離れる。



「師匠! じゃねえ! メルさんなんで」

「良くもまぁあんな卑怯な戦い方をするのじゃ……」



 俺は周りを急いでみる。

 アーカスはステリアに慰めて貰ってこっちを見てない。


 チャーンス。



「俺の時代ににいる耳の長い魔法使いに教えて貰いました」

「なっ! …………のじゃ」



 うん。

 嘘だけどね。

 でも今の師匠には確かめる方法はない。



「とにかく勝てと。相手を混乱させろ。と」

「……確かに我が言いそうな……なのじゃ」



 俺だって試合はしたくなかったんだし、師匠にも少しは混乱を与えてもいいだろう。




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