第211話 消えた師匠を探す方法
昔のタルタンの街。
結果から言うと被害はそこそこ、魔物の群れが現れた。と、言う事で防衛に成功はするが街の外が被害を受けた。と報告で知った。
アーカス達は冒険者ギルドに引っ張られて席を外している。
『後で剣の事詳しく聞かせてね』とハート付きの圧で言われ、俺は解放された状態だ。
助けた師匠と俺は安全なカフェの中で食事をする。
「ここなら安心です師匠」
「その師匠と言うのは……初対面じゃよな?」
「初対面ですね」
「…………」
師匠が押し黙ってしまった。
「ええっと。じゃぁメルって呼び……呼び! 呼びましょうか!!!」
「……なぜ興奮するなのじゃ。そもそも名前教えたかなのじゃ」
師匠の眼が細目になってあらステキ。
「思ったのです」
「何をじゃ」
未来の師匠は俺とあった時に初対面と言ったはず。
詳しく覚えてないけど、過去にあったなどは無い。
1つ!! 過去の歴史に介入した事により未来の歴史が変わる節。
これは、俺がアーカスやステリアに関与し、そうなったらどうしようて事実。
2つ!! 俺が師匠と出会った結果があったとして、未来での師匠は何も言わなかった。と、言う事はだ。
目の前の過去の師匠とイチャラブしても問題はない。この可能性もあるのだ。
「色々と……それよりキメランごときに師匠体を丸めて何してたんですか」
「…………一般人が魔物を見たらそうなるじゃろ」
「一般人ならね」
師匠は周りを見回した。
以前よりも小ぶりであるが細い耳がピクピク動く。
「お主、魔族か?」
「は? 俺?」
「魔族には変態がいると聞いているんじゃ……」
「一応人間です」
未来のね。と心の中で付け加えておく。
「まぁいい。これは助けてもらったお礼ですのじゃ」
テーブルの上にミレニアム金貨を6枚出した。
この時代の価値は解らないけど6枚って事は1人2枚で分けろって事だろうな。
「じゃ」
師匠は素早く立ち上がって足早に歩き出す。
俺も素早く立ち上がり師匠の後をついては、尻を見る。
前を歩く師匠が後ろを振り返りもせずに早歩きになるので、俺も自然と早歩きになる。
「ちっ」
大きな舌打ちが聞こえ、師匠がもう走りだした。
俺も急いで走ると師匠は俺目掛けて銀貨を投げつける、慌ててかわすと、それでも俺は追いかける。
これ拾ってる間に逃げられる奴だ。
いくつかの角を曲がった瞬間、なんと! 師匠の姿消えていた。
上を見ても飛んだ形跡はない。
前方は道はあるが見渡しがいいし師匠の姿は見えない。
「となるとだ」
師匠と旅しして師匠が姿隠しの魔法を使っている所を見た事がない。
透明マントの可能性が高いだろう。
透明になった師匠をどうやって見つけるか。
俺は先日大きく考えた。
鼻で大きく息を吸う。
地面に鼻をつけては師匠の匂いをたどる。
「うん。この匂いは……」
俺は180度回転して壁にアタックした。
壁なのに弾力があって俺はマシュマロに包まれた。
このマシュマロ離さなくていいよね。
「どああああああああああ!?」
「どああ?」
透明マントを脱いだのだろう、至近距離で師匠の顔が見える。
不思議な事に顔が引きつって俺を本気で剥がそうとしてきた、俺は悲しい。あんなに信頼し合った仲なのに。
「豚かお主は!! なぜ、ええい! 離せ」
豚ではない。
ちなみに透明マントの見分け方は別の方法も考えてあって、水魔法で俺を中心に雨を降らせればいい。
マントをつけた人間は浮き上がる。
でも、それじゃ抱きつけない……じゃない、逃げられそうだったので匂いにしただけだ。
「逃げなければ離します」
「いいから! お主! どさくさに紛れてどこを!?」
「うおっと!? 想定外な場所を」
腰を抑えていたらズボンの中に手を入れてしまった。
「逃げないのじゃ! いいから離せ!」
「名前に誓って?」
それまで騒いでいた師匠が、感情が無くなったかのようにスンとなった。
俺も腰に抱きついたまま上を見る。
おっぱいに隠れて顔は見えにくいが一応目線は合う。
「誓うのじゃ」
「では」
俺も腰から手を離すと、周りで見物していた人がそそくさといなくなる。
「まぁ立ち話もなんですしカフェに戻りましょう」
「で…………何者じゃ?」
「未来の旦那です」
「…………殺すぞ」
過去に来てまで師匠に殺されたくはない。
「まぁその歴史の傍観者です」
正直に言おうか迷ってちょっとはぐらかしてみた。
察しのよい師匠なら色々とわかってくれるかもしれない。
現に胸の下に腕を組んで俺を黙って見ている。
俺もその師匠を黙って見つめ返す。
「ふう……はぐらかす。という事は……透明マントの存在も知ってる、我の事も知ってる。であれば……いや、そういう事もあるのじゃな……であれば何年先か……で、その傍観者が我に何の用なのじゃ」
「知恵を貸して」
「傍観者が?」
「そう傍観者が」
師匠が小さい声で『馬鹿なのじゃ……』って呟いた。
だってしょうがないじゃない!
未来から来たっても戻るのが1年前ならいいよ? 何百年も戻されたらどうしようもないよ。
「この時代で頭の良い人って師匠ぐらいしか見つからなくて」
「……この先に何があったかは知らないし知りたくもないのじゃが師匠は寄せ」
「ではメル」
「……殺すぞ。敬称ぐらいつけるのじゃ」
2回も殺害予告をされてしまった。
別の読み方しろって言うから呼び捨てにしたのに。
「はいはい。メルさん、これでよろしいでしょうか!」
「見事な逆切れなのじゃ、いうてどの時代の我を知っているのが知らないのじゃが、どんな知恵じゃ?」
俺は冒険者ギルドでも確認した。時計に似た秘宝を知らないが聞いて来た。
「こっちでは聞かないのじゃ」
「え。使えな……いっ!」
師匠は俺の足のすねを蹴って来た。
折れるかと思ったぐらいに痛い。
「あーーー! いた。クロウベル君、どこいっていたのよ!?」
「アーカス。無理に探さなけても……ってクロウベル君。まだこの街にいたのか……出てってくれると話が早かったのに」
ギルドの用事が終わったのか、アーカスとステリアに俺は再び捕まった。




