表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

207/423

第207話 迷宮王はやっぱり敵だった!?

 ドクロの書かれた扉を開けて宝物庫に入った。

 あちこちに物が置かれていて整理整頓が全くできてない宝物庫。


 まるで。



「師匠の部屋みたいだ」

「あ”?」

「師匠、のじゃを」

「のじゃ」



 師匠が辛うじて『のじゃ』をつけてくれて話が進む。

 朽ちてない元聖王が先導して宝を餞別している。



「白の書だったな」

「そう。なんでもエリクサーでも治らない病気らしく、ラストエリクサーの材料を知りたいとかなんとか」

「ふむ。この時代に聖女はいないのか? もしくは聖王は?」

「どっちもいるけど、聖女は行方不明。聖王はよぼよぼ」



 世間話をしながら後ろから見る。



「あったあった。これじゃ」



 一冊の本を手に取り俺に手渡してくれた。

 中をぱらぱらとめくっても読めない。

 こういうのって普通俺にしか読めない『日本語』で書かれていて……これは!? ってなるパターンじゃないのか。


 そのまま師匠に渡すと師匠も中身を確認してマジックボックスに閉まった。



「師匠読めるんですか?」

「一応なのじゃ。問題は材料じゃが……まぁ帝国にレシピ伝えて勝手に作るじゃろ」

「投げやりな」

「皇帝が死のうが生きようが、あまり関係ないからなのじゃ」



 それもそう。

 俺もそのタイプだ。

 知り合いの女性だけは助けたいけどね。



「にしても宝多くない?」

「元々人間が使うには危険なアイテムばっかりだ。むやみに触らないようにしたほうがいいよ。中には呪いのアイテムもある。持ってみた前この懐中時計。針が1個しないだろ?」



 俺は朽ちてない元聖王から針1個の懐中時計を手渡してもらった。

 色は銀色で持ってるだけで体の中に魔力が通る気がする。



「針をちょっと回してみてみなさい」

「こう?」



 0の所にある針を適当に3の所に回す。



「ドアホウ。嫌な予感がするのじゃ」

「宝の自慢だよ? ここにある宝はこの世界を超えている。白の書だってその一つ。最近はここに来る人もいなくてね自慢をしたいんだ」



 自慢したい気持ちはわかる。

 俺もコレクターの気持ちは十分に理解してるつもりだし自慢もしたい。


 まぁ何も持ってないけど。



「いいね。8か……じゃぁそこの上にあるスイッチをカチっと押して!」



 俺は言われるままに銀色の懐中時計をカチっと鳴らした。



「っは絶対に駄目だよ。呪いが発動するからね」

「………………おま!!」

「えええ!? 本当に押したのかい冗談のつも――――」



 世界がぼやけた。

 朽ちてない元聖王も、師匠も一瞬で目の前からいなくなり俺の意識がどこかに飛んでいく。


 時間的に一秒も起ってない。

 経ってないはずなんだけど凄い遠くに来た感じがする。


 目の前には聖王の墓があり迷宮入り口というのがわかるが……門には鍵がかかっている。


 鉄格子をガチャガチャしても空く様子はない。

 周りを見ても外で待っているはずのフォック君もいない。



「まずったな……外見に騙された。人の好さそうな顔して、あれが素なのか攻撃なのかもわからなかった」



 もしかしたら、うっかりなのか。他人を罠にかけるのか上手いのか……残った師匠が心配だ。



「水竜!」



 俺は短く叫ぶと水竜が出てこない。



「あれ?」



 もう一度水竜! と叫んでみた。

 やっぱり出ない。



「古き契約により、我が血を我が肉を、精霊界にいる思念の力よ、その姿を我が盟友竜に変え、共に喜び共に戦え。水竜陣!!」



 うろ覚えになるけど、長い詠唱を唱えてみる。

 簡略化で出ないときはこの方法を試す。



「………………でないな。というか契約がされているように感じない」



 電話線を切られたような感覚と言うか魔力の動きが無い。

 試しにウォーターボールや水槍、水盾を唱えるとこっちは出る。


 水槍をだして聖王の墓を守っている鉄格子にぶつけても鉄格子は壊れない。



「師匠の事だから大丈夫と思うけど……いや、やっぱ危ないよな」

「そこの君! 今の魔法!?」

「ん?」



 突然に声をかけられて振り向くとアンジェリカが立っている。

 ………………アンジェリカのお腹がぺったんこだ。

 あっこれ、時間立ってる系だ。

 子供生まれた後か……と言うと少なくとも半年後ぐらいになる。



「アンジェリカ……また時間飛んだみたいだわ……師匠はどこに?」

「…………君の思ってる人じゃないんだけど? 私はアーカスって言うの君の名前は?」



 …………いや、聞き間違いだな。

 うん。アーカスがこんな所にいるわけがない。

 アンジェリカと同じ顔を持つ英雄アーカス。

 その同じ顔と知識がある裏ボスが裏アーカス。


 世代も違うし生きてるアーカスがいるわけがない。



「アンジェリカ。突然に走り出してどうしたんだい? おや、君は……?」

「っ!? ナイか!? いや…………!?」

「あっステリア。ええと聖王様の墓の前に変な人いて、魔物には見えないし保護した所」

「そうか。僕の名前はステリア、彼女の幼馴染で荷物持ち」




 ステリア。

 英雄譚の中で名前しか出ない人。

 俺の憶測と師匠の話からするにアーカスの恋人だろう、という人で。俺が嫌いな俺の前世の顔を持つ男。



「ステリア!! 私の恋人ってのが抜けてるわよ」

「未来の聖女様の恋人が僕には荷が重いよ」



 何を見せられているんだろう。

 精神系の魔法……幻影の可能性もある。

 可能性はあるんだけど、すべてが真実だって事を認めたくないだけかも。



「彼……どうしたんだろう。固まっているが」

「そうね?」

「アーカスは僕の後ろに、盗賊の可能性もある」



 めちゃくちゃ本人に聞こえてるからね。

 じゃなくて、整理したい。

 あの宝のせいだろう……俺の手にはない。



「いや。聞こえてる。ええっと俺の名前はクロウベル…………悪いけど名前だけしか覚えてないんだ」



 これで乗り切るしかない。

 こんな事なら歴史の勉強をちゃんとしておくんだった。

 アンジュが色々教えてくれたけど全然聞いてませんでした。



「大変! ねぇステリア。彼を保護しないと!」

「僕達がかい?」

「そうよ? 何か不満でも?」

「はいはい。じゃぁええっとクロウベルといったかな? 冒険者ギルドは覚えているかい?」



 俺は首を振る。



「もうステリア? 彼は記憶が無いのよ? 冒険者ギルドを知ってる訳ないじゃない」

「嘘かもしれないだろ?」

「ステリア!!」



 アーカスがステリアに怒っている。

 アーカスの方は俺を心配してくれてるが、ステリアの方は俺を警戒してる。


 ああ、警戒してくれて俺も落ち着くわ。

 その顔で笑顔で来られてもこっちが不快になるだけだし。



「…………イチャイチャしてる所悪い」

「イチャイチャはしてない!」

「あら、私はしてるつもりだけど……」

「アーカス!」



 話が進まないから手を前にして2人の会話を切った。



「耳の長い綺麗な女性と一緒だった気がしたんだけど、心当たりある?」

「ないわよ?」

「耳が長い……長寿族だろうか? 悪いが僕も見てはいない」



 そっか……。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ